記事

高校応援団のパワハラ指導!?

イメージ

東日本の数々の高校で行われている「応援歌練習」というある種の「伝統」が、話題になっています。入学直後の新入生たちに、応援歌を指導する伝統なのですが、その教え方がまるでパワハラだというのです。

そのことを報じたwebメディア「Smart FLASH」によれば、「突然、在校生の応援団員と有志が教室に来て、机や黒板を叩きながら脅す」「入学前に歌詞を渡されていた10曲近い応援歌を歌わされ、少しでも歌詞を間違えたり、止まったりしてしまうと『どうして覚えてこなかったんだ』と罵声を浴びせられる」など。

https://news.yahoo.co.jp/articles/3e5b676cc8bb9f03d9a18c8b084fff893d547e38

記事では東日本の複数の高校で同様の「伝統」が続いており、「恐怖の1週間」や「過呼吸で途中退出」などの証言が掲載されています。直接殴る蹴るということはないのですが、机や黒板を叩いて大きな音を出したり、机を蹴飛ばしたりして、脅します。リチャード・ギアの「愛と青春の旅立ち」の鬼軍曹みたいなイメージです。

これ、本気でやっているのではなくて、いわゆる「ドッキリ企画」で、練習期間の最後には、さっきまで怒鳴っていた先輩たちが「脅してごめんね」なんて言って急に優しくなって、急にフレンドリーになるというオチです。

これが、学校の仲間に加わるためのイニシエーション的役割を果たしてきたわけですが、やられたほうは本気で怖かったりするわけです。

戦前の旧制中学からの系譜を受け継ぐいわゆる伝統校と呼ばれるような学校では全国で見られる伝統なのですが、特に東日本にはこの伝統が色濃い傾向があります。旧制中学というのはもともとすべて男子校だったのですが、男子校の中で応援団というのは特別な存在感をもっていました。

戦後、GHQの指導の下に教育改革が行われ、公立の高校の多くは共学化しましたが、東日本では男子校や女子校が温存されました。東日本担当のGHQ指導者が、ほかの地域に比べてゆるかったからだといわれています。男子校という環境において、応援団の文化は生き残りやすかったと考えられるのです。

何十年と受け継がれるボロボロでつぎはぎだらけの学ランを着て、冬でもゲタを履いている応援団部員が校内を普通にうろうろしている学校もあります。それ自体は微笑ましい文化のようにも見えるのですが、入学して間もない右も左もわからないうちに脅されると、怖いひとには死ぬほど怖いようです。前述の記事には「自殺を考えた」という衝撃の証言まで出てきます。

そのような学校を出た卒業生たちからしてみれば「え、そこが問題になっちゃうの?」とショックだとうろ思うのですが、恐怖の感じ方はひとそれぞれ。いくら「ドッキリ」だとしても、強制はいまの時代には難しくなっているのかもしれません。

ボロボロの学ランやゲタ通学の応援団文化は、受け継ぎたいひとが受け継いでいけばいいと思います。受け継いでいってほしいと思います。一方で、応援歌指導のやり方は、「伝統」の名の下に正当化され惰性で続けるのではなく、死ぬほどの恐怖を感じてしまうひともいるという前提で見直すべきなのかもしれません。

たとえば、「自発能動」を標語とする仙台第一高校では、応援歌練習はやるのですが、先輩達が大声で「大きな声を出してくれ!」「集まってくれ!」と「お願い」することが伝統になっています。応援歌も上からの命令ではなく、あくまでも自発能動でなければならないという考えからです。これだけでもだいぶニュアンスは違うでしょう。

惰性では伝統は残せません。伝統の本質を問い、時代に合わせて良き部分を残し、悪しき部分を変えていくという、手入れがときどき必要です。今回は悪い形で注目されてしまいましたが、だからといって伝統を全否定するのではなく、ぜひ応援団の文化をうまい形で残す方法を、高校生たちには考えてほしいと思います。

※2021年5月20日のFMラジオ「OH! HAPPY MORNING」でお話しした内容の書き起こしです。

あわせて読みたい

「教育」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    昭和の頑固オヤジ!JASRACと闘い続けた小林亜星さん

    渡邉裕二

    06月23日 08:04

  2. 2

    平井大臣の発言を文春が捏造か 内閣官房が公開した音声には企業名なし

    和田政宗

    06月23日 12:48

  3. 3

    軽自動車はEV化で高価格に 「交通弱者」が増加するいま改めて考えたい軽自動車の役割

    森口将之

    06月23日 10:51

  4. 4

    「すべては首相続投のため」尾身会長の警告さえ無視する菅首相の身勝手な野心

    PRESIDENT Online

    06月23日 08:26

  5. 5

    小池百合子知事、静養へ。1,400万都民の命を預かる重責に心からの敬意を

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

    06月23日 08:23

  6. 6

    低すぎないか、日本の物価水準

    ヒロ

    06月23日 11:31

  7. 7

    ”タコ山”だって守られたい?~「TRIPP TRAPP」高裁判決から6年、いまだ見えぬ境界線。

    企業法務戦士(id:FJneo1994)

    06月23日 10:09

  8. 8

    パソコン作業は腰への負担が1.85倍。腰痛対策には“後ろ7割”の姿勢を - 酒井慎太郎

    幻冬舎plus

    06月23日 08:40

  9. 9

    「まだ気を緩めるな」マスコミや専門家はいつまで"コロナ禍"を煽り続けるのか

    PRESIDENT Online

    06月23日 15:11

  10. 10

    赤木ファイルの開示・・財務省は徹底的な再調査を行うべき

    大串博志

    06月23日 09:13

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。