- 2021年05月19日 11:47
【読書感想】勉強する気はなぜ起こらないのか
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勉強する気はなぜ起こらないのか (ちくまプリマー新書)
作者:外山 美樹
発売日: 2021/04/08
メディア: 新書
Kindle版もあります。
勉強する気はなぜ起こらないのか (ちくまプリマー新書)
作者:外山美樹
発売日: 2021/04/16
メディア: Kindle版
怠けたい、相手と比べてしまう、無気力だ……。
そうした気持ちを少し変えるためには、
心理学の考え方が役に立つ。
「やる気」のメカニズムから自分をみつめなおそう。
【目次】
第1章 やる気は内からくるのか、外からくるのか
第2章 なぜ誘惑に負けてしまうのか
第3章 目標設定で差をつけよう
第4章 やる気を左右する周囲の存在
第5章 ネガティブでも大丈夫 第6章 やる気がなくなったとき
「勉強する気はなぜ起こらないのか?」
誰もが、人生で一度や二度は(どころじゃないと思いますが)抱く疑問だと思います。
勉強がテレビゲームやマンガみたいに面白かったら、こんなに苦労しなくてすむのに、って。
読者のみなさんには、やる気が出るのをぼんやりと待つのではなく、自分でやる気をコントロールできる人になってほしいと願って、この本を書きました。自身の心の持ちようなど、ちょっとしたことでやる気は劇的に変わるのです!
この本では、心理学の知見を踏まえて、やる気のメカニズムを紹介していきます。やる気を自分でコントロールできるようになるためには、その正体をきちんと理解する日露があります。ところどころ、小難しい心理学の理論も出てくるのですが、なるべくわかりやすく説明するように心がけました。また、心理学の実験で明らかになった意外で驚く発見についても多く触れるようにしました。
みなさんは、やる気についてその正体をきちんと理解して、やる気に左右される人生を送るのではなく、やる気を手なずける人生を送ってください。
この新書は、中高生くらいをメインターゲットにしているみたいなのですが、もうすぐ生まれて半世紀になる僕が読んでも、「なるほどなあ」と感じるところがたくさんありました。
著者は、「やる気」とは何か、について、最初に説明しています。
やる気には「内からのやる気」と「外からのやる気」があるのです。
では、内からのやる気と外からのやる気の違いはどこにあるのでしょうか?
それは、内からのやる気では、行動をすることが目的であり(簡単にいうと、「やりたいからやる!」、外からのやる気では、行動をすることが手段である点です(「〇〇したいからやる」、「〇〇したくないからやる」)、言い換えれば、「目的―手段」の観点から、やる気を分類しているのです。
心理学では、「外からのやる気」が見出されたほうが、早かったのだそうです。
実は、人間(やある種の動物)に内からのやる気が存在することが広く認められたのは、1970年代に入ってからになります。中高生の読者のみなさんにとっては昔のことと感じるかもしれませんが、心理学の歴史からいえば割と最近のことといえるでしょう。それまでは、人間が行動を起こすのは、すべて、外からの働きかけによると考えられていたのです。
(中略)
行動主義心理学が主流であった1950年代まで、人間の行動も動物と同じく、学習は適切に報酬や罰を与えることによって、成立すると考えられていました。つまり、人間が行動を起こすためには、先に説明したオペラント条件付けのねずみのように、アメとムチの力が必要であり、外からの働きかけがないと、われわれは行動を起こさないと考えられていたのです。
最近は、子供の「好きなことを伸ばす」「楽しむことを大事にする」というような考えが一般的になっているのですが、長い間、とくに小さな子供に対しては、「外からの条件づけ」が重要だと考えられていたのです。
この「外からのやる気」というのは、「自発的なものではないから『内から』に比べると行動を起こす力が弱いし、持続性に乏しい、と言われていたのですが、現在は、この「外のやる気」も「典型的な外からのやる気(何か買ってもらえる、とか、やらないと怒られるなど)」「プライドによるやる気」「目標によるやる気」「自己実現のためのやる気」の四つに分類され、後ろの二つの「外からのやる気」は、望ましいやる気と考えられているそうです。
実際、「楽しくて、自分からやりたくて仕方がないこと」を仕事にして食べていくのはかなりハードルが高いですしね。
さて、読者のみなさんに、またまた質問です。
人生で成功するために、もっとも必要なものは何だと思いますか?
頭の良さ(知能、学力)や学歴でしょうか。身体的魅力(かっこよさ、かわいさ)でしょうか。それとも経済力(お金)でしょうか。
実は、これらはすべて不正解です。どれも多少なりとも必要かもしれませんが、「もっとも」必要なものではないのです。
答えは、「我慢強さ」です。心理学の学術用語では「自己統制」や「セルフコントロール」といいます。意外な答えですよね。私も最初はそう思いました。でも、今では、なるほどなぁ納得しています。
ただし、これについてはいろいろな考え方(学説)がありますので、興味のある方は調べてみるとよいですね。
でも、我慢強さが重要であるというのは、まぎれもない事実です。だって、人生において、我慢しなくちゃいけない場面って、数多くありますよね。
イチロー選手が、糸井重里さんとの対談で、こんな話をされています。
「キャッチボール〜ICHIRO meets you」(「キャッチボール〜ICHIRO meets you」製作委員会著・糸井重里監修)より。
イチロー:これね、大事なことなんですよ。
僕がよく小さい子に言うのは、「野球がうまくなりたかったら、できるだけいい道具を持ってほしい。そしてしっかりとグラブを磨いてほしい」ということと、「宿題を一生懸命やってほしい」ということ、なんですね。
宿題をやる意味は、宿題そのものだけではないんですよ、実は。
なんでぼくがそれを大事だと思っているかというと……大人になると、かならず上司という人が現れて、何かをやれ、と言われるときがくると思うんですね。
子どもにとっていちばんイヤなことは、勉強することなんです。
よっぽど勉強が好きな人はおいておいて、キライなことをやれと言われてやれる能力っていうのは、後でかならず生きてきますよ。
ぼくが、宿題を一生懸命やってよかったなと思うのは、そこなんですね。
プロ野球選手という個人が優先される場所であっても、やれと言われることがものすごくあるわけです。だったら、一般の会社員になって、そんなことは毎日のことのはずです。だから、小さい頃に訓練をしておけば、きっと役に立つと思うんです。
やれと言われたことをやる能力を身につけておけば、かならず役に立つ。
「自分は野球が好きだからそれだけやっていればいいや」といって宿題を放棄してしまったら、おそらく、後で大変な思いをすると思うんですよね。
僕がいままで接してきたなかにも、すごい才能はありそうなのに、努力が続かなかったり、気に入らないことがあったらすぐにキレてしまったりして、挫折してしまった人がたくさんいました。
僕自身も、ずっと「キレて投げ出したり、周りに暴言を吐いてしまったりしそうな自分」と闘い続けているのです。



