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立憲民主党に利用された宝島社の「タケヤリ意見広告」

新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず「まん延防止等重点措置」や「緊急事態宣言」が全国各地に広がる中、大手出版社の宝島社が全国紙に掲載した政府のコロナ対策批判意見広告「このままじゃ、政治に殺される」に対して賛否両論が巻き起こっている。

この意見広告は、

「ワクチンもない。クスリもない。タケヤリで戰(※注・旧字)えというのか。このままじゃ、政治に殺される。」

と言うもので、カラー見開きで5月11日付の日本経済新聞、読売新聞、朝日新聞の全国紙3紙に掲載された。

「緊急事態」と記された広告は、コロナウイルスをめがけてタケヤリ風の模造の武器を手にした少女が向かうイメージ画像が描かれている。宝島社は、23年前の1998年から、商品だけでは伝えきれない「企業として社会に伝えたいメッセージ」をコンセプトに「意見広告」を出してきており、今回もその一環の企画だった。

令和にタケヤリ?ターゲットは誰なのか

宝島社プレスリリースより

しかし、そんな企業理念はともかく、今回の意見広告――戦時中の雰囲気の中で、タケヤリで敵に立ち向かう訓練をする少女たちの姿を使って、政府のコロナ対策を批判したのは、意見広告として、どれだけのインパクトがあるのだろうか。正直言って疑問が残る。

実際、広告を目にした30代のサラリーマン男性は「全くピンと来なかった」とした上で、

「そもそもコロナウイルス自体が目に見えないものですから、見えないものにタケヤリで立ち向かう感覚が理解出来ません。それを少女の画像で描いたのは、何かジェンダー的な意図でもあるのでしょうか?このメッセージをどの年代に訴えたいと思ったのか…ターゲットが分かりません。

20代、30代は新聞を読まないでしょうし、見たとしても内容的にピンとこないと思います。だとしたらターゲットは60代、70代でしょうか…。このコンセプトで意見広告を打つとしたら、海外から入ってきたイギリス型とかインド型と言われる変異株、あるいは東京五輪の開催を巡っての意見広告にした方が、よほど意味があったと思いますね」

などと手厳しいが、週刊誌の編集担当者は、

「今年の4月上旬から議論されてきた意見広告だそうです。この広告で訴えたかったことは『この1年は、一体何だったのか』『(国民に)無理を強いるだけで何一つ変わっていない』『今こそ、怒りの声を上げるべきだ』とのメッセージだったわけですが、改めて見直すと自粛生活で溜まったストレスを発散したかっただけのような感じですね。

出版社としては時代の最先端を目指してきたはずの宝島社が『緊急事態』と明記してまで出した意見広告としては失敗だったのではないでしょうか」

確かに、全国紙3紙にカラーで見開き広告を出稿するとなると、制作費なども含めたら億単位の予算がかかる。それだけの予算を使うのであれば、宝島社としての姿勢や主張、あるいは力強いメッセージのようなものを示すべきだっただろう。

「結局は政府に対する批判でしかなかったのが残念です。そもそも新型コロナは未知のウイルスだったため、ワクチンや特効薬の開発には難題もあったと思いますし、日本のワクチン開発の遅れについては、これまでの政治運営だけではなく、マスコミにも大きな責任があったことは紛れもない事実です。実際に今回のワクチンについても何かと不安を煽っていたのはマスコミですからね。医療崩壊などを見ていると、政治を含めた日本の構造的な問題が一気に噴き出したわけですから…」(社会部記者)

立憲民主党・埼玉県13区総支部長「私の兄が担当した広告」

三角そうた公式WEBサイト

そんな中、今回の意見広告に関して「私の兄が担当した」とツイッターに投稿したのが立憲民主党の三角創太(そうた)氏の後援会だった。三角氏は、立憲で埼玉県13区の総支部長を務めているが、確かに、広告の制作スタッフ一覧にはAE(アカウントエグゼクティブ)「三角啓一郎」と明記されている。

三角創太氏の後援会アカウントは、意見広告が掲載されるや「私の兄が担当した広告、たまたまですが党本部もリツイートしてくださいました!笑」とツイート(削除済み)。

「私の兄」と書いていることから、三角創太氏本人がつぶやいたと考えるのが妥当であろう。

「余りにお粗末な出来事と言うほかありませんね。小泉今日子が代表取締役を務める所属事務所『明後日』のツイッターアカウントも、賛同のコメントをつけてリツイートしていましたが、現実には宝島社の名前を利用した立憲民主党の意見広告と見られても仕方のないことです。

さすがに三角氏の『私の兄が…』は軽率過ぎますが、おかげで意見広告が立憲に政治利用されていたと思われる結果になってしまいました。宝島社は、今年1月にも感染症対策を題材にした新聞広告を出していますが、今後は訴求力が弱まる可能性があります。意見広告に対しては掲載後の反響が大きかったと言っていますが、実際には批判の方が多かったのではないでしょうか」(出版関係者)

今回の意見広告は、3大紙に掲載することでネットへの波及を狙ったものだったと言えそうだが、三角氏の行動だけは誤算だったに違いない。いずれにしても「意見広告」が、掲載後は立憲民主党による政治利用の「タケヤリ炎上広告」と化してしまったことだけは否めないだろう。

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