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ワクチン“抜け駆け接種”批判は妥当か? 廃棄対策どう進める? ワクチン接種好例に学ぶ

 全国の自治体で新型コロナのワクチン接種が進んでいる。しかし、ワクチンの管理をめぐってある問題が浮上している。

【映像】キャンセル分のワクチンは「年齢を問うことなく教職員から」話題の“三条モデル”(11分ごろ~)

 神戸市ではワクチンを誤って常温で保管、960回分のワクチンが廃棄された。また、沖縄県豊見城市でも保管ミスで150人分が廃棄された。さらに、茨城県城里町では42歳の町長が「私自身が感染しては集団接種事業が停滞する。キャンセル分を活用して私も受けた」と、医療従事者の接種会場で市民や高齢者に先駆けて接種。兵庫県や岐阜県でも同様の事例があり、「立場を利用した抜け駆け接種だ」など批判の声が上がっている。

 一体何が問題なのだろうか。ニュース番組『ABEMA Prime』では、ワクチン接種の最前線にいる現役の市長、医師ともに考えた。

 新潟県三条市長の滝沢亮氏は「“抜け駆け接種”という言葉を今初めて聞いた」と驚きを隠せない。滝沢氏は「全国的にワクチン準備の“抜け”がある」とした上で、ワクチン廃棄を防ぐため、キャンセルで余剰になったワクチンを教職員の接種に流用する“三条モデル”を紹介。教師に絞った一番の理由は、新型コロナの感染拡大で起きた“休校”にあった。

「三条市は昨年来、新型コロナの影響で学校が数日間か休校になった。学校、教育は一番に守らなければならない。先生は学校に何人もいるし、学校は市の中にまんべんなくある。個別の接種会場や集団接種会場などは、どこかの学校と近いことが多い。だから声をかけて、『キャンセルが出たら行ってください』と言いやすい。現場に届きやすいと思って、小学校、中学校、そして保育園を選んだ」

 一方、大阪府寝屋川市ではワクチン接種の優先順位を図で“見える化”した独自モデルが話題になっている。“寝屋川モデル”は順調に進んでいるのだろうか。大阪府寝屋川市長の広瀬慶輔氏は「大阪では今、医療が大変厳しい状態にある」と心境を吐露する。

「医療がひっ迫した状況の中、一刻も早くワクチンを打ちたいご高齢の方がたくさんいる。抜け駆け接種の問題は、地域によって受け止めが違う。我々の大阪も含めて、切迫した地域でその話を聞くと『命を軽んじられた』とそういう思いで受け止める人が多いだろう」

 “寝屋川モデルでは、市独自の接種順位を設定するとともに、接種ゲージグラフを公開し、接種時期、接種券の送付時期などの目安を明示。広瀬氏は「市民の皆さんを不安にさせないことが重要だ」という。

「電話をかけてもなかなか予約が取れない状況になると、やはり市民の皆さんが不安になり、より混乱に拍車がかかる。こまめな順位付けは重要だ。どのような順番で行うのか、事前に公表することは大きな意味がある。市民の皆さんに冷静に受け止めていただき、しっかり順序を理解していただいていると思っている」

 大阪府寝屋川市も新潟県三条市と同じく、教職員の優先順位は上になっている。広瀬氏は「かなり国の決めている基準よりも、細かく優先順位を決めた」といい、キャンセル分についても独自で優先順位を設定。

「通常の高齢者施設や介護施設の従事者だけではなく、学校の先生や保育士など、特にクラスター感染が発生する可能性のある場所については、余り分ではなく市に配分されたワクチンの持ち分の中から優先的に接種を行う」

 三条市と寝屋川市のモデルについて、新型コロナの最前線に立つ医師はどのように見ているのだろうか。岡山・薬師寺慈恵病院院長で救急医の薬師寺泰匡氏は「準備を行ったことがすでにすばらしい」と評価する。

「ワクチンはいかに早く打つか、いかに広めるかが最重要課題。そして、確実にキャンセルが出てしまうと思う。キャンセルが出たときにどうするか。それを公にしていることは、市民にとってとてつもなく大きい。順位付けの中身もすばらしく、準備を行っただけでも満点をあげたいくらいだ。公平性を表にどのように出すか、これがとても重要だ。参考になる」

 “抜け駆け接種”の批判に違和感を持っている薬師寺氏。薬師寺氏によると、新型コロナのワクチン管理は難しく、6時間以内というタイムリミットがあるという。

「新型コロナのワクチンは、輸送自体が超低温でなければいけない。また、一番の問題点は一度溶かすと6時間以内に投与する必要がある。溶かしてしまえば常温だが、それを6時間以内に使わないと厳しい。1つの注射剤から6本取れて『5人分は打てたが、残り1人分をどうしよう』となったとき、問題は時間だ。6時間以内にその1人を見つけないといけない。だから準備がすごく大事になる」

 余り分をその場の誰かに投与するのはダメなのだろうか。想定される混乱について、薬師寺氏は「『ワクチンあるよ』と人がたくさん来てしまうと『ごめんなさい、今日はあと3人までです』となってしまったとき、パニックになってしまう。それはよくないので、ある程度の優先順位は事前にしっかりと作っておくべきだ」と述べる。そして現状、どのように優先順位をつけるかどうかを含め、すべて自治体に委ねられている。

 自治体任せの運用の中、三条市の市長・滝沢氏は「少しでもいろいろな自治体で情報を共有したい」と語る。

「ノウハウを共有したい。その意味で13日にツイートした。やはり、どこの行政もそうだが、FAX、メール、電話の世界だ。積極的な情報共有はかなり厳しいと思う」

 全国で増え続ける新型コロナの感染者数。一日も早い収束を迎えるために、自治体それぞれに工夫が求められている。

(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

▶︎映像:現役医師「ワクチンを早く打つメリットはない」 社会全体で広める重要性(解説:30分ごろ~)

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