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選択肢が多過ぎる現代社会は不幸でもある

本来、僕たちは本当に大切なこと、仕事や、家庭において重要なことってそんなに多くないはずです。例えば新規事業やサービスを開発する際に、競合と比較してどうしてもあれもこれも重要と思って取り組んでしまい、結果として時間もコストも費やしてしまうことがあります。そんな時、「このサービスのコアは何か?」を考え、コア以外を削ることで優先順位や問題が明確になり、利用者にも提供者の意図がシンプルになって伝わりやすくなります。

僕らは自由で豊かな、物や情報が溢れる社会で生活できているわけですが、あれもこれもと、選択肢が多過ぎることは実は不幸なのではないでしょうか?


■選択肢が多過ぎると選ばなくなる

コロンビア白熱教室の講師や「選択の科学」の著者でもあるシーナ・アイエンガー教授をご存知でしょうか?

コロンビア大学ビジネススクール教授で、20年以上「選択」について実験と研究をされてきた方です。彼女は、「選択権を持つことは生き物の基本的欲求である」と言い、自由であることの大切さを説いています。
例えば、動物園で管理されている動物は、野生の自由な動物より寿命が短い。野生のアフリカ象の寿命は56歳なのに、食糧に困らず安全なはずの動物園の像の寿命は17歳だそうです。 一方で、アイエンガー教授のジャムの法則と呼ばれる実験が選択肢が多過ぎるとどうなるか、TEDのスピーチでも非常にわかりやすく紹介してくれています。

日本語字幕は、こちらからご覧下さい。
あるスーパーは品揃えが豊富で有名で、観光客が来るほどの人気でした。そこで実際に、選択肢が多い方が売上が上がるのかジャムの試食で実験をしました。24種類のジャムが並べられていたときは買い物客の60%が試食しましたが、6種類のときは40%しか試食されませんでした。しかし、24種類のジャムの場合、買い物客の3%しか購入せず、6種類のジャムの場合、買い物客の30%近くが購入しました。


つまり、選択肢が多い方が少ない方に比べ1/10しか購入をしなかったのです。他にも401kの金融商品の選択できるファンドの数が多い方が、加入率が下がるという結果が出ています。確かに、レストランに多過ぎるメニューを見た時や、リモコンの多過ぎるボタンを見てうんざりすることはないでしょうか? 僕らは自由が多く、一昔前に比べると本当にたくさんの選択肢があり、自分の意思で決められることが多いです。昔と比べなくても、貧困国、共産主義、または地方で生活する人と比べると、先進国の都会はしがらみもなく、管理も少なく、様々なチャンスに溢れています。
それなのに都会で生活する方が疲れ、目も輝いている人が少ないのはどうしてでしょうか?それは選択肢が多過ぎて選択できなくなっているからかもしれません。そこに気づいて、断捨離で物をできるだけ持たない生活や、Iターンで地方で働くなど、選択肢を減らしたシンプルライフを選ぶ人が増えているのではないでしょうか?
アイエンガー教授は、商品やサービスを提供する企業の場合提供する選択肢を減らすことで、売上が上がり、コストが下がり、利益が上がると言います。これは、選択肢の多過ぎる生活をしている僕たちにも当てはまるように思います。

■就職活動は選択肢が多過ぎることが問題ではないか?

以前、新卒の就活に違和感があり、「就活生に告ぐ」という記事を書きました。その時は、誰もが平等に企業へエントリーできるにも関わらず、実は平等ではないことに気付いて欲しいという想いがありました。今、それに付け加えて言えるのは、インターネットで誰も1万社ほどの選択肢があることが、不幸の始まりだったのだと思います。

今はそれに加えて、ソーシャルメディアで様々な情報が就活生を襲います。新卒一括採用について僕は否定していないのですが、就活生が多過ぎる選択肢と情報に囲まれていることで、選択できない状況になっているのだと思います。

アイエンガー教授は、そんな選択の際に4つの解決策を提示しています。
  1. カット(選択肢を減らす)
  2. 具体化(写真、体験で想像できる)
  3. 分類(意味のあるカテゴライズ)
  4. 複雑さへの慣れ(簡単な選択から慣れる)
就活生で考えた場合、まず最初にするべきは選択肢を減らすことです。購入意思のある客が、スーパーで何十もの種類の商品を見た時に選ぶのは、自分の知ってるブランドの商品か、商品点数が多い商品を選ぶ可能性が高いそうです。それは、テレビCMなどで知っている会社や、採用人数の多い会社を選んでしまうのと同じです。選択肢が多過ぎること選べないことだと認識し、シンプルライフではないですが選択肢を絞ってシンプル就活した方が最も良い選択ができる可能性が高いです。

具体化に関しては、実践型の長期インターンシップやアルバイトをしておくとどんな会社かわかるでしょう。1日や1週間の短期インターンシップや人から聞いた話だけでは、想像できるものではありません。または、パフ社が提供している職サークル のように、膝を付き合わせて、顔の見える採用をしようと学生一人一人と向き合う会社とのイベントに参加するのもいいかもしれません。

分類に関しては就活ナビの分類は意味をなしていません。業界が一緒でも、同じ大企業でも、全然違います。意味のないカテゴリで選択しても不幸なだけです。

複雑さへの慣れに関しては、最初に選択肢を絞ることで見えてくるものがあるかもしれません。

1999年に僕も就職活動をしていましたが、インターネットでの就活が始まったばかりでした。今ほど選択肢は多くなかったですし、情報も多くありませんでした。ただ当時、これからは「選択の時代」だと、何かのエントリーシートで書いた覚えがあります。選択肢が非常に増える社会において、選択する力がある人が前に出るのではないかと。それは確かに今でもそうだと思いますが、一方で選択肢を減らす力の方が今は求められているのではないでしょうか?

就活生に関わらず、非常に多くの選択肢がある場合、自ら減らすか、周囲の人が減らしてあげる手を差し延べるのも救いになるのかもしれません。

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