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【映画感想】ノマドランド

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アメリカ・ネバダ州に暮らす60代の女性ファーン(フランシス・マクドーマンド)は、リーマンショックによる企業の倒産で住み慣れた家を失ってしまう。彼女はキャンピングカーに荷物を積み込み、車上生活をしながら過酷な季節労働の現場を渡り歩くことを余儀なくされる。現代の「ノマド(遊牧民)」として一日一日を必死に乗り越え、その過程で出会うノマドたちと苦楽を共にし、ファーンは広大な西部をさすらう。

searchlightpictures.jp

 2021年、映画館での4作目です。
 平日の朝からの回で、観客は僕も含めて3人。

 映画館も、新型コロナウイルスの流行の影響で、活気がないというか、閑散としています。
 そりゃ、この状況だと、よほど観たい作品じゃないと、わざわざ映画館に行こうとは思いませんよね。『シン・エヴァンゲリオン』や『名探偵コナン』は、新型コロナの影響がなければ、もうちょっとお客さんを呼べているのではないかと思いますし、『鬼滅の刃』がなければ、映画館はいったいどうなっていたことか……と、考えずにはいられません。

 第93回アカデミー賞の作品賞と監督賞(クロエ・ジャオ)、主演女優賞(フランシス・マクドーマンド)を受賞したこの作品。
とりあえず、「アカデミー作品賞を獲った作品は、選り好みせずに観てみる」という自分の決め事にしたがってきました。

 僕にとってのアカデミー作品賞受賞作は、「興行成績と作品の評価が両立しているもの」(たとえば、『タイタニック』や『ロード・オブ・ザ・リング』)と、作品賞を獲らなければ、僕は興味を持たなかった作品(『グリーンブック』や『ムーンライト』)に大別されていて、後者を個人的に「『ドライビング Miss デイジー』系」と僕は名づけてきました。この映画、大学の講義で見せられたのですが、「なんなんだこの淡々とした映画は……これが『アカデミー賞』なのか?」と、当時の僕は驚いたんですよね。

 最近のアカデミー賞は、意図的に「授賞することによって、地味な作品を世に出す」ようにしているのではないか、とも思うのです。

 それはそれで意味があることなのだろうけど、「今年は『タイタニック』の年だったよなあ!」という盛り上がりがないのはちょっと寂しい。今年は、主演男優賞で予想外の結果となり、「アメリカのアカデミー賞は、『ガチ』なんだなあ」と、ネットではけっこう話題になりました。『日本アカデミー賞』の『東京タワー事件』を思い出します。

今年は、『鬼滅の刃』で良かったんじゃないかなあ。『罪の声』は、けっこう良い作品ですけど。

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 やたらと前置きが長くてすみません。

「アメリカの『ノマド』というか、車上生活者たちって、こんな感じなんだなあ……」
 というのが、この映画に対する僕の感想のほとんど全て、ではあるんですよ。

 ジェシカ・ブルーダーのノンフィクション小説が原作だそうなのですが、たしかに、ノンフィクションっぽいロードムービーになっています。

 本当に「ノマド生活」をしている人たちが主要人物にキャスティングされているんですよね。

 どこからが映画化の際に埋め込まれた演出なのかわからないところはあるのですが、日本の映画に出てくる「キャンピングカーで『道の駅』を渡り歩いている人たちとは、スケールが違うのです。

 そして、車上生活者って、「世捨て人」的なイメージを持っていたのですが、アメリカではノマドのコミュニティもあって、そこでノマド同士が集まって交流もしているのです。

 アメリカ人のどんな状況でもコミュニティをつくりたがるところに圧倒されるのと同時に、車上生活にも「コミュ力」が求められるなんて、なんかめんどくさいなあ、とも考えていました。
 そんなに「ひとりがイヤ」なら、わざわざ車で放浪しながら生活しなくても良いのでは……

 この映画を観ていると、あの広大なアメリカでも車上生活というのは簡単ではないのです。
 当然のことながら、ガソリン代はかかるし、車のメンテナンスも必要です。オートキャンプ場みたいなところに停めるのも、1か月に3〜4万円くらいかかります。

 作中では、「Amazonで期間限定の労働者として仕事をしているときには、その駐車料をAmazonが負担してくれる」という話が出てきました。

 Amazonって、ノンフィクションなどで採りあげられるのを嫌がる会社というイメージがあったのですがこの映画では、そういう「ノマドが働きたいときに仕事をくれる存在」として、けっこう好意的に描かれている印象です。

 だからこそ撮影させてくれたのかもしれませんし、Amazonの「必要なときに、必要なだけ人を雇う」のと、アメリカで「ノマド」という生き方をしたい人たちのライフスタイルは、けっこう相性が良いのかもしれません。
 
 それは、企業に都合良く時間を切り取られ、搾取されている、とみるべきなのか、Amazonのような企業があるから、働きたいときだけ働くことが可能な時代になったのか。

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