- 2021年05月14日 11:02 (配信日時 05月14日 09:15)
いま富裕層がタワマンには目もくれず、「地方の一軒家」を建て始めたワケ
1/2パンデミックによって消費のあり方が大きく変わった。投資家の藤野英人さんは「10年前は都心に豪邸を所有するのが富裕層の象徴だった。しかし今は地方に一軒家を構えるほうが価値が高い」という——。
※本稿は、藤野英人『14歳の自分に伝えたい「お金の話」』(マガジンハウス)の一部を再編集したものです。

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/elenaleonova
僕が東京のタワマンから逗子の家に引っ越した理由
僕自身は今、何にお金を使っているのか?
会社の社長をしていると言うと、「豪華な家や車にお金をかけているんでしょう」と思われがちですが、実はそういったものへの執着はそれほど強くありません。
今、僕が一番お金を使っている対象は「つながり」です。
家族とのつながり。
会社の仲間とのつながり。
友人とのつながり。
地域とのつながり。
自分の心や体とのつながり。
この1年を振り返って、大きな買い物だったなあと思い出すことの一つが、自宅の庭をアウトドアガーデンに改修する工事をお願いしたことでした。
キッチンとつながる窓の外にひさしをつけて、床に石を敷き詰めて。
雨の日でもアウトドア感覚で、家族や友人とバーベキューを楽しんだり、サンドイッチをほおばったりできるスペースをつくったのです。
こういうスペースをつくったのは、これまで以上に家族との時間を豊かに楽しめそうだし、お客さんも呼んでゆっくりと会話を味わえる時間をつくれそうだと考えたから。あれこれプランを描きながら少しずつ改修をするのも、ワクワクする時間でした。

藤野英人『14歳の自分に伝えたい「お金の話」』(マガジンハウス)
ちなみに、僕の家は神奈川県の逗子市にあります。海と山に囲まれ、陽光と穏やかな風に恵まれた、空気もきれいな地域です。
とてもお気に入りのわが町ですが、実は1年前までは東京の高層マンションに住んでいました。
マンションの中には好きなピアノを運び込んだり、景色のいい部屋を選んだりしていて、それなりに満足できる生活を送っていました。ところが、2020年の春を境に、僕の人生のデザインが根本から変わったのです。
きっかけは全世界を襲った新型コロナウイルスでした。
お金の使い方の変化は、「人生の変化」そのもの
僕が社長をやっている会社、レオス・キャピタルワークスでは、働き方のルールを原則在宅勤務に変えて、僕自身もオフィスに行かずに自宅で仕事をする日々に。これは大きな大きな変化でした。
そして、気づいたのです。これまでの生活はすべて「東京にあるオフィスで毎日働き、東京に暮らす」という一つの“型”を前提にしていたんだと。その型の中での幸せの最大化を目指していたのだと。
型はたった一つじゃない。いろんな選択肢があっていい。
そう考えた結果、暮らしの拠点を自然豊かで明るいエネルギーが溢れる場所へと移してみようという新しいアイディアが浮かんだのです。
引っ越しをした後には、新たな家族として犬を2匹迎えました。名前は「だんご」と「おもち」です。愛くるしい2匹は、家族に笑いと安らぎをもたらしてくれました。
新しい町に引っ越したり、住まいに合わせて家具をそろえたりするのには、結構なお金がかかります。でも、僕は積極的な自分の意思として「新しい暮らしのデザイン」にお金を使おうと決めたのです。
そして、この新しい暮らしの目的はやはり、「家族や仲間とのつながりを深めたい」というものでした。
在宅勤務で家にいる時間が激増したので、日常の中の楽しみとして「食」にもお金をかけるようになりました。
と言っても、野菜は家庭菜園で育て、パンはホームベーカリーマシンで焼くというものなので、年間何百回も会食目的の外食をしていた頃と比べたら、全然お金はかかっていません。
野菜の苗や園芸用の土、肥料にこれほど出費したのも人生で初めてでした。
お金の使い方の変化は、そのまま「人生の変化」なのだと実感しています。
成功者の変化「ヤフー川邊社長は房総半島の自宅で動物たちと戯れる」
同時に、周りを見渡してみたときに、いわゆる「成功者」と呼ばれる人たちの「お金の使い方」が変わってきていることにも気づきました。
僕は投資家という仕事柄、超がつくほどの大金持ちの社長さんとも交流があります。彼・彼女たちのお金の使い道の象徴といえば、10年前には「都心の一等地の豪邸」や「豪華な専用クルーズ」の所有でした。
ところが、インターネットの発達により、「いつでもどこでも仕事ができる」という新しい前提が広がる中で、都心から離れた郊外に土地を買って、広い家に住み、都会にはない時間の流れや交流を楽しむ人たちが増えてきたのです。
ヤフー社長兼Zホールディングス社長の川邊健太郎さんは、房総半島の海辺にカントリー調の家を建てて、動物たちと戯れながら暮らす生活を始めました。

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/gorodenkoff
都会のように充実したインフラがない分、不便もあり、ある意味「非合理性」を追求した生活なのかもしれませんが、緊急会議にはヘリコプターを飛ばして参加するという「合理性」も兼ね備えたハイブリッドライフです。
川邊さんの枠にとらわれない自由な発想力に、僕も刺激をもらいました。
「つながり」のほか、お金をかけているのは「自分磨き」です。
英語を勉強したり、本を読んだり、トレーニングマシンの上に乗って歩いたり走ったり。自分の心と体を磨くための時間とお金は、この1年でとても増えました。
ただ、この自分磨きも「なんのためにやっているか?」と突き詰めて考えると、「つながりをつくるため」だと思います。
英語を勉強すれば、たくさんの人とコミュニケーションが取れるようになる。本を読んでいろんな知識をつければ、会話が楽しくなる。定期的な運動で健康を維持すれば、いつまでも人に会いに行ける。こうした目的意識の元、楽しみながら続けています。
「人間」という字が表すように、人は“人との間”にいろいろなものを生み出す中で、その生涯を満たしていく生き物です。
長い人生を、人とつながり、つながりから豊かさを生み出せるように。
僕は意思をめぐらせながら、つながりにお金を使っています。
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