海外にサーバーを置いて行なわれるインターネット賭博の事を、一般的にオフショアゲーミングと呼びます。オンライン上では、このオフショアゲーミングに対して、その取次ぎ代行業(アフィリエイト業)を行なっている業者が「海外のオンラインカジノ合法国で営業されているため違法性はない」などと宣伝して廻っている例が多数みられますが、これは間違いです。まず、本投稿を読んで頂いている皆様に大前提として理解頂きたいのは、我が国において刑法の違法性を阻却する特別法の元で行なわれている公営競技や富くじのオンライン販売を除いて、オンライン賭博は如何なる形態であれ違法行為です。
我が国の刑法では185条、186条において、賭博行為およびそれを常習とする常習賭博行為の双方を禁じており、ネット上であってもその行為者が日本国内に存在している限りにおいては、ここに賭博罪、および常習賭博罪が適用されます。これは例え海外のサーバーを経由していても、その行為者が日本国内に存在する限りは違法になるその他の多くのインターネット犯罪と同様です。
これら、インターネット賭博に関する犯罪は、2006年辺りから特に悪質性の高いインターネット賭博「カフェ」(海外のネットカジノに接続できる設備を設けて、顧客に賭博をさせる営業)の摘発が始まり、すでに警察側からは自宅よりこれに参加することも同様に違法であるという見解が示されています。
読売オンライン:ネットカジノ (2006年9月23日)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hokkaido/kikaku/086/2.htm
…ネットカジノは、インターネットで海外のカジノサイトに接続したパソコンを使い、「バカラ」などの賭博を行うシステム。自宅で1人でも参加できることから、若者らがテレビゲーム感覚で手を染めるケースもあり、同署は「ネット賭博の違法性を認識してほしい」と警鐘を鳴らしている。…
また、オンライン上では「インターネット賭博カフェと自宅でのネット賭博は違うので安全」などという説明をしている業者も居ますが、これも間違いです。海外にサーバーのあるインターネット上での賭博行為は、その立証に大きな労力が掛かるため、「悪質なもの」および「立証がし易いもの」から摘発を行なっている(ネット賭博カフェが反社組織の財源となっている例が多い)だけであり、現在の摘発が「カフェ」を中心に行なわれているからといって、個人PCで行なうオンライン賭博に違法性がないワケではありません。
さらに言えば、賭博罪は必要的共犯(罪の構成要件として胴元とプレイヤーの両方の存在が必要となる犯罪)なので、胴元側が海外に存在しており立件不可能であるインターネット賭博は罪が構成され得ないと説明をしている業者もありますが、これも非常に怪しいところ。賭博罪は確かに必要的共犯ではありますが、胴元側の賭博開帳行為が可罰的(法によって罰する事が出来る)であるか否かは関係なく、その行為そのものの存在を立証できれば賭博を行なった側の罪の構成要件は満たされるという論は当然存在しており、警察庁や法務省はその立場を取っていますので、少なくとも逮捕&起訴までは行なわれ得ると考えておくべきでしょう。
また、そもそも警察が立件できないからインターネット賭博をやっても良いんだという考え方は、証拠のない完全犯罪ならば罪を犯しても良いんだという考えにも似たものであり、そのような考え方自体が社会的に許容されるものではありません。結論としては、オンライン賭博は止めましょうということです。
…と話が大幅に逸れた上に長くなってしまいましたが、次の投稿でこれらオンライン賭博におけるイコールフッティングの話に戻ります。
つづく