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【ウォルマート】、ネットスーパー展開に危機感!業界トップも危機意識からDX投資?

■ウォルマートの直近(2021年1月期通期)の売上高は前年比6.7%増となる5,592億ドルとなり、通期の売上高としても過去最高を記録した。

ウォルマートUSの既存店ベースも同8.6%の増加と好調さを維持しており、ネットスーパーを含むEコマース売上も同79%の増加だった。

新型コロナウイルス感染拡大によりチェーンストア最大手もその恩恵を受けた企業だ。

しかし実際には、ウォルマートはネットスーパー展開でかなりの危機感を感じている。

テック業界ニュースサイトのリコード(Recode)が入手した内部資料によると、ウォルマートの役員はパブリクスやターゲット、アルバートソンズ、さらにはインスタカートに対して相当な焦りを感じていることを明らかにしている。

100ページに及ぶ市場分析はコンペ前に行った2月の説明会でウォルマートが広告代理店各社に配布した資料。

資料にあるスライドには「成長の原動力であった食品で、我々のシェアが急速に失われている」とあり、その横にはパブリクスやアルバートソンズ、ターゲットなどの競合企業のロゴが並び、競合店が伸長しながらウォルマートが縮小している統計も記載されている。

食品についての別のスライドには「ウォルマートは(他社を)リードしておらず、品質価値をプラスしなければならない」と掲載しているのだ。

また昨年9月にローンチしたサブスクリプション「ウォルマート・プラス(Walmart +)」についても、更新率は上向いているものの改善の余地がまだあると指摘している。

年間98ドル(月額12.95ドル)となる定額制サービスにはスーパーセンターにある食品や日用品、オモチャ、家電品などを対象に無制限で無料で当日宅配を受けられる他、ガソリン割引や店内での買い物時でのセルフスキャニング・チェックアウトも特典となっている。

更新率や無料トライアルからのコンバージョンなどに改善すべき点があるとし、新しい特典を加えることが急務だとしている。

約3,700店のスーパーセンター等を使い人気のカーブサイド・ピックアップでウォルマートはネットスーパー展開で最大のシェアを持っているがパンデミック以降、互角になるほどのインスタカートに攻められている。

資料にある図表ではパンデミック以前、インスタカートのシェア20%に対してウォルマートのネットスーパーシェアは40%と示されていた。

オンデマンド買物代行&宅配サービスの最大手に対してウォルマートは2倍も大きく上回っていたのだ。

今年2月時点のグラフではウォルマート31%のシェアに対して、インスタカートが30%と肉薄しているのだ。

 ウォルマートは今年2月、今年度(2022年)の設備投資額に140億ドル(約1.47兆円)近くを投じる方針を示した。

ウォルマートはこれまでにないほどサプライチェーンや自動化などEコマース等へ投資し、国内にある4,700店以上の店舗網を生かしたシームレスなオムニチャネル化を実現すると宣言したのだ。

ウォルマートの設備投資額は2021年1月期で103.0億ドルだった。そこから40%も設備投資を増やすのは、ウォルマートのトップや役員がネットスーパー展開に相当な危機感があったということをこの資料から浮かび上がらせている。

実際、資料にあるスライドにはネットスーパー首位を維持するためウォルマートはドローン宅配やロボット物流のマイクロ・フルフィルメントセンター(Micro-Fulfillment Center:MFC)などのイノベーションに投資すると結んでいる。

 堅調を維持しながらもウォルマートほどの大企業であっても、危機意識を抱いているということは大いに学ぶべきところでもあるのだ。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。

テック業界ニュースサイトのリコード(Recode)が入手したウォルマートのブツは機密資料です。競合店にシェアを奪われている実態を示した資料は、投資家を不安にさせるので公にはできません。ただしウォルマートが持っている危機感は企業にとって健全でもあります。というかウォルマートの社風には、役員等が常に競合に対して危機意識をもっています。

今回の内部資料は2月に発表された設備投資の背景をよく物語っているものとも言えます。それまで100億ドル前後だった設備投資額を一気に140億ドルまで引き上げるのですから相当な危機感があったということです。単にイノベーションに投資すれば良いというものでもありません。

ウォルマートは昨年11月に商品棚をスキャンしながら在庫管理するロボットを突然クビに、1,500ヶ所まで拡大したピックアップタワーを先月いきなりスクラップにしています。DXイノベーションも選り抜きながら、最適化を図っているのです。競合や未来に対するばく然とした不安感ではありません。

 一方で対照的なのが先日、当ブログで取り上げた非DXなトレーダージョーズ。危機感をもってDXを急ぐウォルマートに対し、トレーダージョーズはスーパーマーケット業界のアーミッシュ。この姿勢の違いで数年後、どうなっていますかね?

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