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無策を繰り返す政府からの休業要請にエンタメ界が上げた「狼煙」

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東京は緊急事態宣言が5月末まで延長になった。延長はもはや恒例。2度あることは3度だ。エンタメ業界からの視点となるが、この3度目の緊急事態宣言は過去の2度とは同じではない。深刻な影響を受けている多くの業界団体や関係者は、コロナ対策を1年実施した経験とデータをリアルに集積しており、ただ無条件に上(政府及び自治体)から言われたことに従うのではなく、経験とデータをフィードバックして活かすべきという声となった。

無策を繰り返す政府の要請にエンタメ界が上げた「狼煙」

5月5日「日本音楽事業者協会、日本音楽制作者連盟、コンサートプロモーターズ協会、日本音楽出版社協会」の4団体が共同で「緊急事態宣言の延長に際しての声明文」を出した。

その主旨を要約すれば、コンサートや演劇やミュージカルや演芸等のライブエンターテイメントに対し、判で押したように「無観客開催の要請」が出ているが、ガイドラインを守り感染症対策を実施してきた現場では「1年近くにわたり、公演会場からのクラスター発生は報告されて」おらず、「感染者報告ゼロのエビデンスを積み重ね、ライブ会場は決して感染リスクの高い場所ではないことを実績によって示して」きたので、「政府に対し『無観客開催要請の撤廃』を強く」申し入れたいというものだった。

――ここに補足するなら、例えばライブ公演においてリハーサルや稽古を要するものは、本番に至るプロセスで出演者やスタッフに検査陽性が確認された時、ガイドラインに沿った対応がなされ、公演継続の可否がシビアに判断され、この1年の間に幾つもの公演が中止や延期の措置を取ってきた背景ありきの声明ということだ。――

そして、5月6日には、全国の映画館や劇場等で構成される「全興連(全国興行生活衛生同業組合連合会)」が、ほぼ同様の声明を発表した。きちんと安全対策を実施している結果「観客席側での感染事例は1件も確認されていない」。ゆえに「休業・無観客配信の要請」は、エビデンスに基づかないもの、という主張だ。

感染症に対して科学的、実証的なデータを判断材料にしませんか、という主張・・・それは超訳すれば「無観客だと食えなくてオワリますから」である。

前述した2つの声明は上に対して無策を繰り返すなという態度を表明し、それに広く賛同を呼びかけるエンタメ民の「狼煙(のろし)」のように見えた。

劇場と映画館 緊急事態宣言延長で分かれた明暗


だが、この2つの狼煙は志を同じくしつつも、5月7日に発表された東京都による緊急事態宣言延長の方針の中で、立ち位置を二分する。「劇場」や「演芸場」は「5000人以内かつ収容定員の50%以下」に緩和されたが、「映画館」(及び美術館・博物館)は休業要請対象のままとなった。

判断の分かれ目となった東京都の言い分は「人流」。劇場や演芸場よりもシネコンなど映画館のほうが、人流の分母が大きく人出を誘発する、という話らしい。劇場OKで映画館NG・・・いったいどういうデータに基づいた判断なのかよくわからない。

――ここに補足すれば、緊急事態宣言となった4月25日以降、都内のミニシアターの多く、例えば、岩波ホール、渋谷ユーロスペース、シアター・イメージフォーラム、新宿ケイズシネマ、ポレポレ東中野、飯田橋ギンレイホール、下高井戸シネマ、池袋シネマ・ロサ、下北沢トリウッド、ラピュタ阿佐ヶ谷、等々が時短を取り入れて営業継続という自主判断を取ったことは真っ当な判断だと思う――

こうして5月上旬の東京は、緊急事態宣言の延長に際し、劇場OKで映画館NGというエンタメ興行のねじれに包まれてしまった。

とはいえ、「無観客開催要請の撤廃」を望む狼煙のひとつが永田町経由で都庁を覆い、状況を動かした事実は、エンタメにまつわる2021年5月上旬の出来事としてとても重要なことだろう。

「社会生活の維持に必要」寄席の主張が賛同集める


そして、この3度目の緊急事態宣言に際し、エンタメ民側の最初の狼煙が都内寄席から上がったことを忘れてはならない。

4月25日に発出された緊宣(もはや略す)により、東京都から「無観客開催の要請」を受け、寄席側「新宿末廣亭・上野鈴本演芸場・浅草演芸ホール・池袋演芸場」(の中の浅草演芸ホール)が、「(寄席は)社会生活の維持に必要なもの」と主張、寄席は変わらずに観客有りの営業継続を発表した。

これにメディアが食いつき、ニュースとなって拡散すると、寄席がお上の通達に背いた、意地を見せた、とかナントカの賛同を集めてにわかに炎上。寄席が神輿のごとく担ぎ上げられた。

口さがない芸人がこれに対し、「寄席は社会生活の維持に必要」というのはタテマエであり、「寄席は・・・寄席と芸人の生活の維持に必要」というほうが当たっていると指摘していたが、まあ、そのほうが本質だろう。

とはいえ、寄席からすれば「無観客では食えない」「補償金1日2万円もらったところで食えない」のであり、政府・東京都からすれば「緊宣だって言うのに余計な水差すな」という対立の展開になってしまった。

すぐさま政治家が懐柔に動き、東京都はワンランク強めの「休業要請」に切り替え、その結果、寄席が上げた狼煙は3日で消えた。寄席は4月30日まで営業し、5月1日からの休業を受け入れた。

とはいえ、寄席が上げた狼煙は、前述2団体が上げた狼煙へとつながり、今現在の状況に至ったと俯瞰できる。

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