記事

入管法改正案 反対する人は3千人の送還忌避者を放置し続けろというのか???

不法残留者・送還忌避者の現状(出所:法務省)

国づくり、地域づくりは、人づくりから」を信条に、「日々勉強!結果に責任!」をモットーとする参議院議員赤池まさあき(比例代表全国区)です。

 法務省が提出している入管法改正案が、衆議院において審議されています。その法案について、著名人を巻き込み、反対の声が広がっていると言います。私が疑問に思うのは、反対する方々は、3千人以上いる送還忌避者をこのまま放置しろというのでしょうか。

入管法改正案について、以前ブログで取り上げました。

3月7日「不法残留者8万人 送還忌避者3千人をゼロへ 今国会で入管法改正へ」

我が国には、現在8万人の不法残留者がおり、所在不明となり、大半は不法就労となっていると思われます。そして、摘発等をして、退去強制手続を行い、帰国する人は年間1万人いますが、送還忌避者が約3千人もいます。

今回の入管法改正案は、この送還忌避者約3千人をゼロにしようというものです。

3千人以上いる送還忌避者増加の背景として、3点あると入管当局は指摘しています。

①難民認定申請による送還の停止(申請は何回でもできる)

②送還先国の受入れ拒否

③送還妨害による搭乗拒否等

そして、現行入管法上、送還までは原則収容となっており、送還忌避者の増加にともない、収容が長期化して、拒食事案や仮放免された者による逃亡事案が発生するという悪循環となっています。今回の法案審議の過程でも、収容長期化による死亡事案が問題視されました。

●約3千人の送還忌避者の実態

 入管当局がまとめた送還忌避者の実態は以下です。

 令和2年12月末(速報値)によると、以下です。

送還忌避者:約3,100人

(収容中:約250人、仮放免中:約2,440人、手配中:約420人)

その内、送還忌避者で1年を超える実刑判決を受けた者:約490人(全体15.8%)

(収容中:約100人,仮放免中:約350人,手配中:約40人)

さらに、1年超実刑判決者で3年超の実刑判決者:約310人(全体10%・実刑者63.3%)

(収容中:約60人,仮放免中:約230人,手配中:約30人)

 送還忌避者というと難民申請を受け付けてもらえない人がよく報道されているのですが、その中から入管法以外の犯罪者、それも1年以上の実刑となると、薬物や強盗等、再犯の重大な事件の被疑者が1割以上も出ていることを私達はよく知る必要があります。その事実を見過ごすことはできません。

 送還忌避者の実態について(令和元年12月末現在) (moj.go.jp)

●今回の入管法改正の内容は

  そこで、今国会において入管法について以下3点を改正しようとしています。

⑴庇護・在留を留めるべき者を適切・迅速に判別

⑵在留を認められない者の迅速な送還

⑶長期収容の解消及び適正な処遇実施

 具体的には以下です。

⑴庇護・在留を留めるべき者を適切・迅速に判別

現行法務大臣の広範は裁量による判断で出す「在留特別許可」について、考慮事情等を明示し、申請手続きを創設し、不許可の理由を告知する規定を整備し、難民認定手続から在留特別許可の判断を分離します(入管法第50条)。

そして、難民条約上の難民ではなくても、難民に準じた保護(補完的保護)すべき外国人を「補完的保護対象者」と認定し、保護する制度を創設します(入管法2条と61条)。

さらに、難民認定制度の運用を見直して、難民該当性に関する規範的要素を明確化し、難民の出身国情報を充実し、難民調査官の調査能力を向上させていきます。

つまり、我が国の難民認定が厳格で、圧倒的に少ないので(申請の1%未満)、難民でなくても、その実情に応じて、保護していこというものです。「#難民の送還ではなく保護を」というハッシュタグ(ラベル)をつけて、ネットにおいて反対運動を展開しているのですが、この保護制度創設を否定しようというのでしょうか。

また、難民認定申請といいながら、実情は就労目的である場合は、一昨年度からは特定技能制度が開始されています。

⑵在留を認められない者の迅速な送還

現行入管法では、難民認定手続中は、例外なく一律に送還が停止されてしまうために、送還停止の例外規定を創設します(入管法61条)。

本邦からの退去や帰国のための旅券発給申請を命令できる制度を罰則付きで創設します(入管法55・52・72条)。

そして、自発的な出国を促すための措置として、自発的に出国した者に対して、上陸拒否期間を短縮(5年→1年)する出国命令対象者を、出頭した者に加え、摘発された者にも拡大します(入管法24・5条)。観光での再入国は不可。その上で、退去強制手続を経て自費で退去した者の早期の上陸を可能とする措置を創設します(入管法53・5条)。

今回の法改正では、以上⑵の部分だけが取り上げられて、強制送還の強化だと反対している人がいるのですが、⑴も見て判断してほしいと思います。

⑶長期収容の解消及び適正な処遇実施

 長期収容から、監理人によって社会の中で監理する制度を創設します。当然逃亡した場合には保証金と罰則がかかります(入管法44・52・72条)。

 仮放免の見直しとして、要件・基準を明確化し、不許可の理由を告知し、逃亡した場合の罰則を整備します(入管法54・72条)。

 ハンストの場合等、強制治療に関する規定を整備し、常勤医師の兼業の要件を緩和し、その他適正な処遇の実施に関わる規定を整備します(入管法55条)。

 やむなく長期収容の場合は、そのまま収容せずに、社会で監理する仕組みを作り、ハンスト対応としての医療措置も入れてあります。

 法改正後に、実際入管当局によって適切に運用がなされるのかどうかという課題は当然残ります。それはそれとして、しっかり注視していく必要はあると思います。

 だからといって、今回の入管法改正案を反対するのは、いかがなものかと思います。繰り返しますが、送還忌避者3千人をそのまま放置しろというのでしょうか。

あわせて読みたい

「出入国管理及び難民認定法」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    菅首相のG7「はじめてのおつかい」状態を笑えない - ダースレイダー

    幻冬舎plus

    06月17日 08:40

  2. 2

    70代の死亡者も1年間で1万人に1人。コロナは「国家的危機」ではない。

    青山まさゆき

    06月16日 15:40

  3. 3

    「日本の将来はよくなる」と思う18歳は9.6% 若者から夢や希望を奪う大人たち

    笹川陽平

    06月17日 09:19

  4. 4

    女性天皇と女系天皇をひとくくり 毎日の恣意的な記事に騙されるな

    和田政宗

    06月16日 21:28

  5. 5

    山尾志桜里氏「今回の任期を政治家としての一区切りにしたい」

    山尾志桜里

    06月17日 15:40

  6. 6

    調布の地上被害は「陥没・空洞」だけではない リニア大深度工事への波及は必至

    郷原信郎

    06月17日 09:49

  7. 7

    記念撮影にも呼ばれず……G7で相手にされなかった韓国・文在寅大統領

    NEWSポストセブン

    06月16日 11:25

  8. 8

    通常国会 説明不足のまま問答無用で閉会した菅政権に苦言

    大串博志

    06月17日 08:23

  9. 9

    低調な通常国会、閉幕へ。生産性を上げるためには野党第一党の交代が必要不可欠

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

    06月17日 10:00

  10. 10

    元プロ野球選手・上原浩治氏の容姿に言及 コラム記事掲載のJ-CASTが本人に謝罪

    BLOGOS しらべる部

    06月17日 13:12

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。