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【トレーダージョーズ】、非DXスーパー!アプリもねぇネットもねぇで、競合さ行ぐだ?



■全米第2位のスーパーマーケットチェーンであるアルバートソンズが先月、第4四半期(1月~3月期)決算を発表した際、注目されたのがネットスーパー売上だった。ネットスーパーを含むデジタル売上高は前年同期比で282%の増加となった。

パンデミック以降、アルバートソンズのネットスーパー事業は急拡大しており第1四半期(4月~6月)は前年同期比276%の増加、第2四半期(7月~9月期)も同243%増、第3四半期(10月~12月期)も同225%の増加だった。

アルバートソンズでは四半期連続して前年同期から200%を超える増加となったことで売上全体の約10%はネットスーパー経由ということになるのだ。

ネットスーパー急伸に伴い、食品スーパーチェーン第2位もデジタル・トランスフォーメーションを積極的に進めており、直近でもIT大手のグーグルと複数年契約を締結したことを発表している。

例えばグーグルのAIを活用することで顧客の買い物体験を向上したり、ネットスーパーの新規客を増やしたい考えだ。

全米トップのスーパーマーケットチェーンのクローガーは先月、ネットスーパー専用倉庫としては最大級を誇るセントライズド・フルフィルメントセンター(Centralized Fulfillment Center:CFC)をオハイオ州モンロー地区で正式に稼働を始めた。

モンローCFCはオハイオ州だけでなく、ケンタッキー州やインディアナ州の一部も配送エリアとしてカバーする。フロリダ州グローブランドにある(最近テスト稼働した)CFCでは同州に1店舗しか店を持たないため、グローブランドCFCは顧客宅への配送に特化したものとなる。

クローガーはネットスーパー物流の他、ラストワンマイルで自動運転車を使ったテストを数年前から開始しており、ドローンを使った配達もテストを開始する。クローガーも果敢にDXに投資している。

チェーンストア最大手のウォルマートもDXで過去最大となる投資を行う。ウォルマートは2月、今年度(2022年)の設備投資額に140億ドル(約1.47兆円)近くを投じる方針を示した。

ウォルマートはこれまでにないほどサプライチェーンや自動化などEコマース等へ投資し、国内にある4,700店以上の店舗網を生かしたシームレスなオムニチャネル化を実現するためだ。

例えばウォルマートは今年初め、ロボット物流のマイクロ・フルフィルメントセンター(Micro-Fulfillment Center:MFC)を本格的に拡大していくことを発表した。

100ヶ所近くMFCを作ることでカーブサイド・ピックアップやデリバリーにローカルベースで対応するのだ。その他にウォルマートも自動運転車やドローン等のテストも行っている。

 一方、DXに全く関心のない食品スーパーもある。42州に500店舗以上展開するトレーダージョーズだ。

日本人にもファンが多いトレーダージョーズでは北米にある中小の食品スーパー600社以上と契約しているインスタカートと提携していないばかりか、オンデマンド買物代行&宅配サービス業者の買い物さえ全面的に禁止にしている。

トレーダージョーズには7つの指針があり、「実店舗こそブランド(The store is our brand)」というポリシーにより、パンデミックにあっても、顧客から頻繁にリクエストされてもネットスーパー展開を断り続けているのだ。

トレーダージョーズでは年間30~35店を新規に出店しており、ネットスーパーを展開する食品スーパーを競合にすることもある。

が、商品構成の約9割がプライベートブランドを占め「実店舗こそブランド(The store is our brand)」を含め「誠実さ(Integrity)」や「商品力(Product Driven Company)」「カスタマーサービス(Wow customer service)」「非官僚主義(No bureaucracy)」「カイゼン(Kaizen)」「私たちは全米に展開する近所のスーパー(We're a national chain of neighborhood grocery stores)」のポリシーで集客できるトレーダージョーズにはコストをかけてまでネットスーパーを始める理由がないのだ。

トレーダージョーズのCIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)のロン・グリックマン氏が先週、ソフトウェアカンパニーが行ったインタビューでIT化やDXについて興味深いことを答えている。

約30年におよぶIT専門家としてキャリアをもつグリックマン氏は2013年にトレーダージョーズに入社。

同氏のインタビューでは多くが店側サイドのソフトウェアやハードウェア、セキュリティのアップデートについて話しているのだ。しかし顧客対応のイノベーションについては(店からメーカーへの)ペーパーベース発注からコンピューター発注に更新したことにとどめている。

700万ページにおよぶ注文書をタブレットに置き換えたことで、スタッフが顧客により時間を割けるようになったと胸を張っている。

店のスタッフが自分たちの賞品について顧客にどれほど時間をかけられるかが自分たちの仕事と定義しているのだ。

結局のところグリックマンCIOはトレーダージョーズのDXについて言及を避けている印象だ。

 トレーダージョーズにはPBに強い商品を数多くもっている。ネットスーパーをやらない理由でもあるのだが、諸刃の剣にならないことを祈るばかりだ。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。良く言えばトレーダージョーズは古き良き時代の食品スーパーになります。当ブログではあえて悪く言う必要もないと思いますが、アメリカ小売業が掲げるカスタマーファーストの視点からすればDXしないトレーダージョーズはカスタマーセカンドと言われても仕方はありません。今の時代、一般的にいって「商品、ほしけりゃ店に来い」はさすがに通じません。

トレーダージョーズには武器となる、そこでしか手に入らない強い商品があります。ただ競合となる食品スーパーやチェーンストアはITやネットスーパー等に投資しているわけではありません。トレーダージョーズに倣うべく、プライベートブランド等で商品開発にも力を入れています。クローガーやアルバートソンズではプライベートブランド商品の売上比率をあげようとしています。アマゾンやウォルマートに影響を受けないよう当然、PB商品もさらに洗練されるでしょう。このままDXしない状態ではトレーダージョーズもいずれジリ貧になると思います。

 吉幾三さんの「俺らこんな村いやだ」的にいえば「アプリもねぇ、ネットもねぇ、WiFiもともと飛んでねぇ、ボピスもねぇ、ロボもねぇ、生まれてこのかた、見だごとぁねぇ」では顧客ばかりか、若くて優秀な人材も「俺ら競合さ行ぐだ」になります。

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