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ニルヴァーナやジミヘンの「新曲」を制作、AIプロジェクトの真意とは?

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Photo illustration by Griffin Lotz for Rolling Stone. Photographs used in illustration by Frank Micelotta/Getty Images; Agencia el Universal/AP; Michel Linssen/Redferns/Getty Images

カート・コバーン、ジミ・ヘンドリックス、ジム・モリソン、エイミー・ワインハウス……27歳の若さで亡くなった「27クラブ」による”新曲”がAIプログラムによって制作された。その背景にはメンタルヘルスへの認知を広める新プロジェクトの存在があるという。

【動画を見る】ニルヴァーナ、ジミヘン、ドアーズ…AIソフトで製作された「新曲」

1994年にカート・コバーンが亡くなってからというもの、ニルヴァーナのファンは彼が生きていたらどんな曲を作っていただろう、と思いを巡らせてきた。だが、彼が自殺する数カ月前にニルヴァーナが収録した、しわがれ声の粗削りな混乱を憂う「ユー・ノウ・ユーアー・ライト」や、R.E.M.のマイケル・スタイプとコラボレーションするか、あるいは完全にソロとして活動するかもしれない、と仲間内に漏らした言葉を除いて、彼が残したものは疑問符ばかりだ。

そこへ今、とある団体が人工知能ソフトウェアを使ってコバーンの作曲スタイルをまね、ニルヴァーナの”新曲”を作成した。ギターリフは穏やかな「カム・アズ・ユー・アー」風の爪弾きから、『ブリーチ』の「スコッフ」のような狂おしい激情まで幅広い。”太陽が君に降り注ぐが、俺にはさっぱりわからない”(The sun shines on you but I dont know how)という歌詞や”知ったことか/太陽におぼれて、俺は満ち足りている”(I dont care/I feel as one, drowned in the sun)という驚くほど高揚的なコーラス部分も、いかにも情感的なコバーンらしさを備えている。

だがボーカルを除いて――ニルヴァーナのトリビュートバンドのフロントマン、エリック・ホーガンが担当――言い回しからなりふり構わぬギターパフォーマンスにいたるまで、曲のほぼすべてはコンピューターの産物だ、と曲を作成したクリエイターは言う。コバーンの自殺という悲劇に目を向け、現存するミュージシャンが鬱で助けを得られることを示すのが彼らのねらいだ。

「Drowned in the Sun」というこの曲は、ジミ・ヘンドリックス、ジム・モリソン、エイミー・ワインハウスと、いずれも27歳で他界したミュージシャン風の曲をコンピューターで作曲・演奏するというプロジェクト「Lost Tapes of the 27 Club」の一環。いずれもAIが各アーティストの楽曲30曲弱を分析し、ボーカルメロディやコード進行、ギターリフ、ソロパート、ドラム・パターン、歌詞をつぶさに研究して、”新曲”がどんなサウンドになるかを予測して作り出された。このプロジェクトを手がけるのは、メンタルヘルスに悩む音楽業界関係者を支援するトロントの団体Over the Bridgeだ。


ニルヴァーナ風の「Drowned in the Sun」

「もし僕らが愛するこれらミュージシャンが、メンタルヘルスのサポートを受けられていたらどうなっていたでしょう?」 Over the Bridgeの理事メンバーで、広告代理店Rethinkのクリエイティブディレクターでもあるショーン・オコナー氏はこう語る。「なんとなく音楽業界では、(鬱が)日常化していて、美化されています……彼らの音楽は、苦悩そのものと見なされています」

AIプログラムによる曲作りのプロセス

曲を作成するにあたり、オコナー氏とスタッフはGoogleのAIプログラムMagentaを使用した。特定のアーティストの楽曲を分析して、作曲スタイルを学習するのだ。かつてソニーもこのソフトウェアを使ってビートルズの”新曲”を作った。エレクトロポップ・グループのYachtは、これを使って2019年のアルバム『Chain Tripping』を制作した。


ビートルズ風の「Daddys Car」



Lost Tapesプロジェクトにおいて、Magentaはアーティストの楽曲をMIDIファイルで分析した。自動演奏ピアノと似たような仕組みで、ピッチやリズムをデジタルコードに置き換え、シンセサイザーに出力して曲を再生する。コンピューターは各アーティストの音符のチョイスやリズムの癖、ハーモニーの嗜好をMIDIファイルで検証し、新しい音楽を作る。それをスタッフが詳しく調べ、最高の部分を取り出すのだ。

「入力するMIDIファイルが多ければ多いほど、出来もよくなります」とオコナー氏。「僕らも1人のアーティストにつき20~30曲をMIDIファイルで用意し、それぞれサビの部分、ソロパート、ボーカルメロディ、リズムギターに分けて、1度にひとつずつ入力しました。曲全体をいっぺんに入力すると、(プログラムも)どんなサウンドにするべきか混乱してしまうんです。でもリフの部分だけたくさん用意すれば、AIが書いた5分の新しいリフが出来上がります。そのうち90%は聞くに堪えないような代物ですけどね。それを全部聞いて、面白そうな部分をちょっとずつ探していくんです」


エイミー・ワインハウス風の「Man, I Know」

オコナー氏と彼のチームは、人工ニューラルネットワークと呼ばれる一般的なAIプログラムを使って、同じように歌詞も作り出した。アーティストの歌詞を入力し、出だしの数語を選んでやると、プログラムが音韻や抑揚を予測し、歌詞を完成させた。「試行錯誤の連続でした」とオコナー氏は言って、スタッフはMagentaが生成したボーカルメロディに音節がぴったりフィットする言い回しを求めて「何ページも」歌詞を精査した、と付け加えた。

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