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- 2013年01月07日 00:14
軽減税率導入 ~ 「都合のよいルールを守ることと、新しいルールを都合よく捻じ曲げることが得意」な新聞業界の歪んだ策略
「日本人はルールを守るのは得意だが、全く新しいルールをつくり出すのは下手だといわれる」
6日付の日本経済新聞の社説「国力を高める(4) 国際ルール順守だけでなく創出を」の書き出しである。
また、同じ6日付の朝刊では、「軽減税率導入、2段階で 公明が自民に提案へ」という見出しで、「公明党は生活必需品などの税率を低く抑える軽減税率について、消費増税の時期に合わせて2段階で導入する案を自民党に提示する。税率を8%に上げる予定の2014年4月段階では対象品目を一部の食料品や新聞に限定し、15年10月に10%に上げる際に拡大する」ことが報じられている。
消費増税という「新しいルール」作りの旗振り役を務めたこの新聞は、自らが推進してきた「新しいルールを守る」ことはせず、軽減税率という「全く新しいルールを作り出す」「新しいルールに抜け穴を作る」ことで、自分達だけは消費増税の影響を受けない環境を作り出そうとしている。独占禁止法における「特殊指定」の問題といい、日本の新聞業界は、「自らの都合の悪いルールを守ることは苦手だが、都合の良い全く新しいルールを作り出すのは上手」な業界のようだ。
業界を挙げてロビー活動をして来た新聞業界が、公明新聞を発行する公明党からの提案という形で日刊紙を軽減税率の対象にしようとするという姑息さには感心するばかり(公明新聞は日本新聞協会の会員ではないが、公明党の2011年度の収入約127億円の62.2%の79億円が「公明新聞収入」が占めている)。
「対象品目を一部の食料品や新聞に限定」して軽減税率を導入することは、その線引きに際して、政治的な利権が発生するということ。公共事業に関わる利権には強い批判を浴びせる日本の新聞も、軽減税率導入に関連して生じる利権には何の関心もないようだ。
「社会保障の充実・安定化と財政健全化の同時達成のための社会保障と税の一体改革では、消費税率5%引上げによる増収分は全額を社会保障の財源にし、国民に還元します」(政府広報オンライン)
ここに掲げられているように、消費増税は「増収分は全額を社会保障の財源にし、国民に還元する」ことを前提に、半数近くの国民が致し方なしとして受け入れているもの。しかし、「低所得者対策として」という尤もらしい枕詞を付けた軽減税率を導入することで、社会保障費の財源が減るのみならず、特定の業界に利権を生むことになる。こうしたやり方を国民が受け入れると考えているのだろうか。
また、「書籍や医薬品などへの適用は10%に上がる予定の15年10月以降になる見通しだ」とされているが、日刊紙が医薬品に先駆けて軽減税率を適用される必要性や、新聞と書籍を区別するその理由に関しては全てブラックボックスにされている。
昭和22年に制定された「独占禁止法」の「特殊指定」で競争から守られている立場にいながら声高に「規制緩和」を叫び、消費増税の必要性を声高に主張して来たにもかかわらず、陰で日刊紙を軽減税率の対象にすることを政治家に働き続ける新聞業界。こうした茶番劇を何時まで続けるつもりなのだろうか。
「全く新しいルール」が求められているのは、「都合のよいルールを守ることと、新しいルールを都合よく捻じ曲げることが得意」な新聞業界である。
6日付の日本経済新聞の社説「国力を高める(4) 国際ルール順守だけでなく創出を」の書き出しである。
また、同じ6日付の朝刊では、「軽減税率導入、2段階で 公明が自民に提案へ」という見出しで、「公明党は生活必需品などの税率を低く抑える軽減税率について、消費増税の時期に合わせて2段階で導入する案を自民党に提示する。税率を8%に上げる予定の2014年4月段階では対象品目を一部の食料品や新聞に限定し、15年10月に10%に上げる際に拡大する」ことが報じられている。
消費増税という「新しいルール」作りの旗振り役を務めたこの新聞は、自らが推進してきた「新しいルールを守る」ことはせず、軽減税率という「全く新しいルールを作り出す」「新しいルールに抜け穴を作る」ことで、自分達だけは消費増税の影響を受けない環境を作り出そうとしている。独占禁止法における「特殊指定」の問題といい、日本の新聞業界は、「自らの都合の悪いルールを守ることは苦手だが、都合の良い全く新しいルールを作り出すのは上手」な業界のようだ。
業界を挙げてロビー活動をして来た新聞業界が、公明新聞を発行する公明党からの提案という形で日刊紙を軽減税率の対象にしようとするという姑息さには感心するばかり(公明新聞は日本新聞協会の会員ではないが、公明党の2011年度の収入約127億円の62.2%の79億円が「公明新聞収入」が占めている)。
「対象品目を一部の食料品や新聞に限定」して軽減税率を導入することは、その線引きに際して、政治的な利権が発生するということ。公共事業に関わる利権には強い批判を浴びせる日本の新聞も、軽減税率導入に関連して生じる利権には何の関心もないようだ。
「社会保障の充実・安定化と財政健全化の同時達成のための社会保障と税の一体改革では、消費税率5%引上げによる増収分は全額を社会保障の財源にし、国民に還元します」(政府広報オンライン)
ここに掲げられているように、消費増税は「増収分は全額を社会保障の財源にし、国民に還元する」ことを前提に、半数近くの国民が致し方なしとして受け入れているもの。しかし、「低所得者対策として」という尤もらしい枕詞を付けた軽減税率を導入することで、社会保障費の財源が減るのみならず、特定の業界に利権を生むことになる。こうしたやり方を国民が受け入れると考えているのだろうか。
また、「書籍や医薬品などへの適用は10%に上がる予定の15年10月以降になる見通しだ」とされているが、日刊紙が医薬品に先駆けて軽減税率を適用される必要性や、新聞と書籍を区別するその理由に関しては全てブラックボックスにされている。
昭和22年に制定された「独占禁止法」の「特殊指定」で競争から守られている立場にいながら声高に「規制緩和」を叫び、消費増税の必要性を声高に主張して来たにもかかわらず、陰で日刊紙を軽減税率の対象にすることを政治家に働き続ける新聞業界。こうした茶番劇を何時まで続けるつもりなのだろうか。
「全く新しいルール」が求められているのは、「都合のよいルールを守ることと、新しいルールを都合よく捻じ曲げることが得意」な新聞業界である。
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