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政局についてのインタビュー

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あるネットメディアでインタビューを受けた。政局についての「なまもの」コメントは賞味期限が短いのではやめに採録しておく。

― 今回自民党候補が、補選で三連敗しました。どう見ますか?

内田 自民党の地方組織が弱くなっていることが大きいと思います。昔は地方議会から国会議員になるというキャリアパスがありました。県会議員から総理になった竹下登が典型です。でも、いつの間にか、地方議会から国政に出て来るという道筋が痩せ細って来た。党執行部が「一本釣り」をしてきた候補者を、縁もゆかりもない選挙区から立候補させるという党営選挙が支配的なスタイルになったせいです。

 この候補者たちは執行部の「オーディション」に通ったというだけで、個人的には地方に組織的基盤も持っていない。ですから、執行部から「次は公認しない」と言われたら失職することになる。だから、絶対に執行部に逆らわない。安倍政権はそういう「イエスマン議員」をかき集めて国会議員団を編制し、上意下達の党組織を作ろうとして、それに成功した。

 その結果、自民党は「安倍一強」の組織になったわけですけれども、その代償として、地方議員から国政へという道が失われ、党中央と地方組織の間に断絶ができた。

 地方議員の中には強い後援会組織を持っていて、仮に党公認が得られなくても当選できるという人もいます。でも、そういうインディペンデントな議員は党執行部にことさらへつらう必要がない。自分の立場を通すことができる。

 でも、そういう政治家は上意下達的党組織にとっては邪魔になる。だから、安倍―菅政権は、そういうタイプの地方議員を絶対に国会議員にしなかった。執行部に逆らうと国政には出られないということを思い知らせることで地方議員を抑え込んだ。

 でも、その結果、自民党国会議員団と地方組織の間には溝ができて、地方組織は弱体化していった。この間の選挙の連敗も、党中央と地方組織の間で意思疎通ができなくなったことの結果だと思います。

 中選挙区時代には同選挙区内で自民党候補同士が競うということはよくありました。群馬県の中曽根康弘・福田赳雄の「上州戦争」が有名です。その結果、国会議員たちは自分の後援会組織の拡充をはかった。だから、自民党議員同士が競合すればするほど党組織が強くなるということになった。

 でも、小選挙区以降、党執行部のオーディションに通った人を党営選挙で当選させるという仕組みになったせいで、政治家自身が選挙区内に自力で堅牢な後援会組織を作るというインセンティヴが失われた。

― 野党も青年組織がない点では変わらないです。

内田 野党も同じです。地方議会で経験を積んでから国政に出てゆくというチャンネルがあるのは共産党くらいでしょう。

 若い人がは地方議会から政治経験を積むというのはとても教育的なキャリアパスだと思うんですけど、野党も国政選挙では、テレビに出て知名度がある人を「一本釣り」して、組織のない選挙区に放り込むという自民党と同じことをやろうとしている。それでは若い人をじっくり育てるということができない。

 野党には地方組織が育たないことについての危機感がどれくらいあるんでしょう。僕は地域の野党の集会にときどき呼ばれるんですけれど、平均年齢は70歳くらいですよ。20代、30代の若い人たちを地域の活動に巻き込むための仕組みがない。

― 各政党の青年組織は弱くなっているのは、国民が政治に無関心なのも原因ではないでしょうか?

内田 なんでも「国民の政治的無関心」のせいにしちゃダメですよ。昔からずっと国民は基本的には政治に無関心なんです。それをどうやって目覚めさせるのかということが政治にかかわる人間の本務なんです。今はどの政党も地方組織が弱くなっていますけれど、その最大の原因は実際には地方の人口減少です。

― 菅政権はどうなるでしょう? 出鼻をくじかれたという感じですが。

内田 菅首相はもう長くは持たないと思います。でも、「ポスト菅」に人物がいない。岸田さんが後継者としては順当なんでしょうけど、いろいろ横槍が入りそうな気がする。

― 二階さんと仲は悪いし、自分のところ(広島県)で落としてしまいましたからね。

内田 自分の派閥の候補者を蹴落とした河井案里のせいで補選に負けたわけですから、岸田さんにしたら納得のゆかない話でしょう。

でも、この時期に県連の会長を引き受けて選挙に負けて、次の選挙では公明党候補を推さなければいけないという「貧乏くじ」を引かされ続けているということは総裁候補としては大きなダメージになります。「運の悪い人のように見える」というのは政治家にとってかなり致命的なことなんです。

 日露戦争のとき、海軍大臣だった山本権兵衛が、東郷平八郎を連合艦隊司令長官に推薦したときに、明治天皇に推薦理由として「東郷は運のいい男ですから」と言ったという話が広く知られていますけれど、ナポレオンもそうだった。指揮官を登用するときに「運がいい」ということを重く見た。

 だから、若くても、運のいい軍人をどんどん重用した。その結果、ナポレオンの軍隊はヨーロッパ最強になった。「運が悪い」というのは政治家の実力とは関係ないんですけれど、現実にはそれでものごとが決まることがある。

― 岸田さんって宏池会の典型のような気がしますね。「政策に強くて政局に弱い」という政治家で、勝負弱い。

内田 たしかに岸田さんは勝負勘がよくない。でも、菅首相のままでは衆院選挙で勝ち目はない。このまま菅を看板にして選挙したらどうなりますか? 五輪は中止、感染は収束しない。そんな状態で任期満了で総選挙を迎えたら、自民党には勝つ要素が何もない。議席を減らすことは間違いない。

 問題は「負け幅」をどれくらい抑えることができるかにかかっている。自民党の国会議員たちは自分の議席を守りたいから、とにかく「一票でも増えそうな看板」が欲しい。できたら看板を付け替えたい。でも、イエスマンばかりで党を固めてきたから、「ポスト菅」世代には人材がまったくいない。

 だから、解散のタイミングを見つけられないまま任期満了で総選挙ということになる。それが自民党が一番敗けるシナリオだと思う。

― 安倍さんも「追い込まれ解散はするな」と菅さんにアドバイスしたそうですが。

内田 でも、「最も負け幅の少ない解散」のタイミングはもう過ぎてしまったと思います。五輪かコロナかどちらかについて「菅政権がうまくやったように見える」時点で解散総選挙すべきだったんです。三月はじめから四月にかけて、新規感染者が減って、緊急事態宣言が解除されて、「五輪は必ずやります」というかけ声にまだ多少の信憑性が残っていたうちにやるべきだった。そのときだけが「コロナは抑えたように見えて」かつ「東京五輪は実施されそうに見える」唯一のタイミングだった。解散するとしたらそこしかなかった。

 でも、菅首相は決断できなかった。バイデン大統領と会談して安定的な日米関係を国民にアピールしてからの方が選挙には有利だという算盤を弾いたからでしょう。政治判断そのものは間違っていない。日本の有権者が首相に期待するのはまず「アメリカに信頼されていること」だからからです。

 日米首脳の友好ぶりをアピールしてから解散するつもりだった。ところが、その間に「東京五輪は中止すべきだ」と「菅政権はコロナ対策で先進国最下位」というニュースがSNSからあふれ出て、新聞や地上波までに広まってしまった。

 だから、今は政府は必死になって「五輪は予定通り実施する」と「ワクチン接種は順調に進んでいる」というキャンペーンを展開して、内閣支持率を下支えいます。でも、この二つとも成否がすぐにわかるから、いつまでもは使えません。

 あと100日でいやでも五輪開会式の日は来るし、ワクチン接種がいつ受けられるかを全国民は「わがこと」として注視している。どちらも「やったふり」でごまかすということができない。

 仮に世論の反対を押し切って、強引に東京五輪を開催したとしても、医療危機の中で強行すれば国内の医療崩壊は加速するし、世界中から数万人のアスリートと関係者を東京に集めて、またそれが世界に散らばるわけですから、秋以降には「東京五輪が世界的なパンデミックを引き起こした」という海外からの非難が殺到することは確実です。だから、もう遠からず「五輪中止」を宣言せざるを得ないでしょう。

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