- 2021年05月11日 08:08
看護師や女子高生の盗撮を15年間続けた順天堂大学の医師 撮りためた動画は驚愕の3.63テラバイト
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裁判傍聴芸人の阿曽山大噴火です。今回傍聴したのは、4月14日に東京地裁で行われた高梨雅史被告人(51)の『公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反』の初公判。順天堂大学の先任准教授で脳神経内科の医師が靴の中に仕掛けた小型カメラで女子高生のスカート内を盗撮したと報じられた事件です。
ニュースによると被告人はパーキンソン病、多系統萎縮症脊髄小脳変性症、レビー小体型認知症などの研究が専門で、これらの分野においては第一人者であると報道されています。被告人の研究を待ち望んでいた人も多かった訳で、業界に詳しければまさかアノ先生が…と衝撃を受けた事でしょう。
15年で撮りためた映像は3.63テラバイト

まずは4月14日に行われた初公判。起訴されたのは3件です。1つ目は、去年10月13日午後4時に東京都文京区の交差点で、被告人が被害女性Aさんの後方から近づいて、靴の中に入れた小型カメラでスカート内を撮影した件。
2つ目は、去年10月31日午後0時53分に文京区の交差点で氏名不詳者の後方から近づいて、同様の方法でスカート内を盗撮した件。
3つ目は、同じ10月31日午後1時9分に同じ場所で、被害女性Bさんの後方から近づいて、同じ方法でスカート内を盗撮した件。余罪が多数あるという報道でしたが、この罪に問われるのはこの3つだけ。罪状認否で被告人は「特に違ったところはありません」と罪を認めていました。
検察官の冒頭陳述によると、被告人は大学卒業後に順天堂の大学院に進んで2003年に医学博士を取得。2005年には准教授になり、その後も順天堂大学内の複数の施設で働いていたそうです。
その一方で被告人は2006年頃から職場で同僚の看護師のスカート内を盗撮するようになっていたとの事。スカート内の撮影が成功すると、その女性の容姿をGoProで撮影して自分好みに編集し、その映像を完成品と呼んで自宅のPCに保存していたといいます。
家宅捜査では、スカート内を撮影した動画が「NS逆さ」「JK逆さ」というファイル名でPC9台中4台から見つかっていて、全部で3.63テラバイトの容量だったそうです。
テラバイトと言われてもピンと来なかったので調べてみると、1テラバイトで普通の動画500時間くらいが保存できるみたいです。その3倍以上なので相当な分量。15年間の犯行の歴史が収められている訳で、それくらいにもなりますかね。
取り調べに対し被告人は「中学生の頃に下着を題材にした本を読み興味を持った。最初に機材を使って下着を撮影したのは2006年で、職場で看護師を撮影した。2008年に制服がスカートからズボンに変わったので看護師の撮影はやめた。有名女子校の制服が好きで多い時は週に2〜3回撮影していた。普通に小型カメラが買えるようになり、2014年からはカバンの中にカメラを入れると逮捕のリスクが高いので、沢山穴が空いているナイキのスニーカーの中にカメラを入れて盗撮するようになっていた」と述べているようです。
東京地裁で言えば15年くらい前から盗撮の刑事裁判がちらほら見受けられるようになりました。スマホの普及やデジカメの軽量化と共に急激に増えてきた犯罪です。そういう意味では機材の進化と一緒に歩んできた被告人なのでしょうね。
弁護人は、被告人の子供からの手紙や刑を軽くして欲しいという同僚らの嘆願書などを提出して、さらに情状証人を2人も用意。初犯にしてはかなり手厚い証拠です。それだけ弁護人が頑張ってくれたのでしょうけど。
被告人は弱みを見せず本音を語らない性格

情状証人1人目は被告人の後輩のお医者さん。
弁護人「何年の付き合いですか?」
後輩医師「13年間です」
弁護人「仕事での被告人の印象は?」
後輩医師「紳士で真面目でした」
弁護人「ちゃんと規則も守っていた?」
後輩医師「様々なルールがありますが全く問題はありません」
お医者さんとしては完璧だったようです。
弁護人「被告人の対人関係はいかがでしたか?」
後輩医師「弱みを見せる事はほとんどない方で、本音を語って下さらない方だなと」
弁護人「皆さん医師も悩みを抱えたりしているのでしょうか?」
後輩医師「競争が激しくプレッシャーを皆感じています。研究論文を出して研究費を確保しなければならず、特に助教授から准教授になる30代が最も大変だと思います、全ての職務で成果を上げなければいけないので」
弁護人「被告人の様子として異変はありましたか?」
後輩医師「過食気味で100kgを超えていた事もあるので心配でした。お菓子をすごく食べたりしていて」
ストレスでよく食べていたみたいですね。食べるのは犯罪ではないのですが、同僚が心配するほど食べていたとは。
続いて検察官から質問。
検察官「さっき病院で被告人は全く問題なかったと答えていましたけど、脳神経内科で盗撮していたんだから問題がないとは言えないんじゃないですか?発覚してなかっただけで」
後輩医師「…はい」
盗撮以外では何の問題もない人格者だったという事なのでしょう。検察官もそんな意地悪な質問しなくても。
子供の頃から勉強一筋 コミュニケーションが苦手だった
もう1人の情状証人は被告人の奥さん。
弁護人「お仕事はしてらっしゃいますか?」
妻「訪問看護の看護師をしております」
2人とも医療に従事している夫婦です。
弁護人「ご主人の良いところはどこですか?」
妻「真面目にコツコツできる性格」
弁護人「悪いところは?」
妻「弱みを人に見せないところが…」
良い方も悪い方も盗撮を長期間行っていた原因かも知れませんね。
弁護人「ご主人の生育に問題があると思いますか?」
妻「親が医者にしたかったみたいで、子供の時からあまり人と接しないで勉強一筋と言いますか…」
弁護人「家族内でのコミュニケーションはどうなっていましたか?」
妻「黙って食事して、すぐ部屋にこもっていました」
家族も含め他人とのコミュニケーションが苦手だったようです。
弁護人「再犯しない為にはどうしますか?」
妻「(原因が)生育歴にあると思っていて、死ぬまで治療を続ける事。弱みをさらけ出せるようにコミュニケーションが取れるようにしていきます」
離婚する事もなく、ずっと監督していくと約束していました。
被告人質問。まずは弁護人から。
弁護人「大学で資格を取得していますね?」
被告人「はい、医師免許です」
弁護人「順天堂には何年ほどいたんですか?」
被告人「1995年からですので、26年間」
弁護人「専門は?」
被告人「え〜、パーキンソン病や認知症です」
弁護人「ご自身でどんな性格だと思いますか?」
被告人「温和で真面目です」
弁護人「悪いところは?」
被告人「人から嫌われるのを極端に恐れます」
そんな人が、嫌われるような事を継続していたのも変な話ですが。
弁護人「なぜ盗撮をしたんですか?」
被告人「下着に興味がありまして、2006年当時はインターネットにも画像が出回っていて私にもできるのかなと一線を乗り越えてしまいました」
弁護人「家庭での会話は多かったですか?」
被告人「妻や子供に悩みは見せられないと思い、会話は減っていました」
弁護人「現在はカウンセリングを受けていると?」
被告人「妻からは精神的な病気だろうと治療を勧められました。自分の内面をさらけ出す事で、こういう方向に逃げる事はないと思います」
今はカウンセリングに通っているとの事。
弁護人「病院でのキャリアはどうなりましたか?」
被告人「解雇されました。教授の選挙の話もあったんですがなくなりました…」
専門家としての知識や実績は間違いない人物だけど、盗撮のせいでクビになってしまったと。単純にもったない話です。検察官も弁護人も証拠が多いうえに情状証人が2人もいたので初公判はここで時間切れ。被告人質問の途中で閉廷となってしまいました。



