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これでよいのか憲法改正への道のり

 昨日6日、衆議院憲法審査会にて憲法改正国民投票法改正案の採決があり、2018年6月(私が大臣に就任する前)に提出されて以来8国会にわたって審議されてきた本法案はようやく賛成多数での通過となりました。

 内容は、大型商業施設への共通投票所の設置や地域ごとの期日前投票の弾力化など、既に公職選挙法で改正済みの投票の利便性を増進するための7項目を、既に成立している憲法改正国民投票法にも適用できるようにするようにする、ただそれだけの内容です。

 野党はこの間、国民投票法改正にはCM規制の強化などより抜本的な内容を盛り込むべきだと主張して採決を拒み続けてきました。私もかつて国民投票法成立の際に議論に加わっていましたが、「国民投票の機会の確保などについては公選法と同様に扱い、憲法改正に向けた国民投票運動の自由に関する規制については主権行使の重要性に鑑みなるべく規制を最小限にする方向で」現行法の仕組みとなったというのが経緯です。

 無論、時代の変化に伴い、規制の必要性が大きくなることはありますし、法成立後急速に発達したインターネットを用いた投票運動をどのように規制するかなど、議論の必要性があるのはよくわかります。しかし前回の憲法審査会で私が発言したとおり、同じ法律の改正を異なるカテゴリーごとに複数国会にわたって行うということは枚挙にいとまがなく、審議が尽くされた改正案の採決を遅らせる正当な理由にはなりがたいと考えます。

 また、最近になって立憲民主党から、期日前投票の地域ごとの弾力化を行うと投票時間が減ってしまう運用になるおそれについて指摘がされましたが、これも私が発言したとおりそうした運用にならないための工夫は可能であり、現に今回の立憲民主党から提案された修正案についてはそのことについては触れられていません。

 立憲民主党の修正案は、公選法で投票環境改善にかかる2項目の追加改正やCM規制などについて、本改正法施行後3年を目途に必要な法制上の措置その他の措置(法改正に限らないということです)を講ずるという内容で、与野党協議のうえ、こちらも賛成多数で可決されました。

 しかしこの間、与党幹事からも今回の国民投票法改正案が採決された後、憲法本体の議論と並行してそうした国民投票法改正に向けた議論を継続することは再三にわたって確約しており、正直言ってこの内容の修正案だったらなぜ今になって出してきたのか理解に苦しみます。今国会中に提出中の法案について結論を出すとの自民党と立憲民主党との幹事長合意がなされたことからしぶしぶ対応されたのだと思いますが、この間、時代は(CM規制を取り巻く環境のみならず憲法本体も)大きく動いています。

 新型コロナウイルスの拡大により、国会が憲法56条の定める定足数を満たすことなく機能停止に陥ったらどうするのか、大地震により総選挙の円滑な実施ができなくなった時の議員任期をどうするのか、私がNHK番組でまん延防止措置への国会関与について触れましたが、今後緊急事態が生じた際の国会関与プロセスをどうするのか、来年に迫った参院選の一票の格差をどうするのか、劇的に変わる国際情勢において自衛隊をどう位置づけるのか、などなど、議論すべきことがこの間停滞してきました。

 一部には「コロナ対策が緊急の課題であり、憲法論議は不要ではないが不急だ」という論調があります。しかし上記した課題が不急と言えるでしょうか?

 のみならず、コロナ対策が大切と言いますが、マイナンバー普及や行政のデジタル化が大きく遅れてきた背景に、国民総背番号制に対する国民のアレルギーがあり、ワクチン国内開発の遅れの背景に副作用に対する過度な不安があるということを忘れてはいけません。安全保障のまともな議論ができないこと、今回の国民投票法の改正についての反対運動をも見るにつけ、戦後日本が自らの未来を切り拓く力そのものを失ってきていることに強烈な危機感を感じています。

 国民主権と言いながら、74年間現行憲法がただの1回も国民投票を経ていないことは正常と言えるのでしょうか?

 文部科学大臣を務めた今、日本の教育のあり方こそが日本を復活に導くのか衰退に導くのかを分ける重要な問題であると感じるとともに、この憲法改正が極めて重要なテーマだと確信しています。高いハードルであっても全力を尽くして参ります。

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