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東芝-CVCによる買収提案劇中断のモーメントについて

当ブログで過去に何度か取り上げたCVCによる東芝買収事案ですが、ご承知のとおりCVCによる買収提案の「事実上の撤回」に至ったようです。過去のエントリーでも述べた通り、私は①経産省はこの案件についてはどのように関与しているのか、②もし経産省とCVC(及び東芝の一部取締役)との事前の根回しなしに買収提案に至ったのであるならば、実現可能性はどこから来るのか、という点にどうしても関心がありました。

結局「わからずじまい」だったのですが、5月3日の朝日新聞ニュース(会員向け有料記事)で、ようやく疑問点が少しだけではありますが解消された気分になっております。当該記事「2兆円超の東芝買収、頓挫の舞台裏 新体制の行方は」によると、まず①については経産省は「元CEOと距離を置く東芝幹部」と「元CEO周辺」の双方から連絡を取り続けていた、とのこと。「蜜月だった元CEOの退場に幹部はため息をつく」とのことなので、ほぼ中立であったものの、CVCによる買収可能性については経産省も検討していたのかもしれません。

つぎに②については、(報道内容が真実だとすれば)「2003年に設立されたCVC日本法人には焦りがあった」「日本法人はすかいらーくへの出資や資生堂の日用品事業の買収等を手掛けたが、希望は最大で1000億円台。もっと大きな案件ができないのか、と英国本部からせっつかれていた」(関係者の証言)とのこと。なるほど、大手ファンドの日本法人としては、それなりにパフォーマンスを上げなければ「撤退」の危機に瀕するわけで、「見切り発車」の意欲があるところに、東芝の一部取締役の方々の意向が重なって4月7日の日経朝刊スクープに至った、ということのようです(なるほど・・・)。

また日経スクープは4月7日の早朝でしたが、社外取締役らが元CEOの動きに対応しだしたのは前日の6日のこと。つまり、スクープの前に東芝法務部の担当者から重要情報が届いたそうです。通常の企業であれば、法務部といえども執行部との関係が深い。したがって、社外役員に重要情報を伝えるには経営者の判断が必要です。その法務部から(指名委員会等設置会社といえども)経営トップへのお伺いなしに社外取締役に重要情報が届く、という社内の雰囲気がすべてを物語っているような気がいたします。

最後に私の独断による意見ではありますが、CVCによる買収劇中断に至った要因はいろいろとあるかもしれませんが、最後はやはり東芝の経営幹部層の皆様の強い気持ちが(社外取締役の方々の行動に火をつけた、という意味において)大きかったのではないでしょうか。このあたりは、有事に向き合う社外取締役、社外監査役の皆様には示唆に富むストーリーではないかと思うところです。

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