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私大入試で志願者が増えた大学・学部トップ30 立教・千葉工大が人気独占のワケ

コロナ禍で共通テストを導入する私大が増加(時事通信フォト)

 今年の私立大一般選抜は、戦後最大となる12%の志願者減に終わった。コロナ禍への不安から地元中心の志望校選びに変え、学部・学科選びにも影響を与えたものと見られる。

【表】志願者が増えた私立大学・学部トップ30

 学部系統別の人気を見ると、集計した大手100大学では、志願者が昨年より増えた学部系統はなかった。比較的減少幅が低かったのが、社会福祉、情報・メディア、獣医、経済、理工系、医、社会の順だった。文系、理系のはっきりした人気の分かれ方も見られなかった。

コロナ禍で人気を落とした「国際・外国語・観光」学部

 また、コロナ不況が取りざたされているが、そういった時に人気になる医療系はそれほど志願者が増えなかった。薬が12.4%減、看護が12.8%減、医療技術が13.7%減だった。

 医学部はまだ人気を集めたほうだが、コロナ禍が未知のウイルスによるものということもあり、受験生の関心は高くなったものの、院内感染、医療崩壊などのマイナス報道も相次ぎ、人気が集中することはなかった。むしろ、理系では情報・メディア、情報系学科のある理工系の人気が高まった。

 また、国際、外国語が約2割、観光が約3割の志願者減。いずれもコロナ前は人気だった系統だ。志願者減の要因は、コロナ禍によって留学ができないことが大きい。観光は航空、旅行代理店などで、大学新卒採用を控えることなどから敬遠されたと見られる。

「明治大・法学部」が志願者増のトップになった背景

 こういった学部人気の中で、志願者がもっとも増えたのが明治大・法の2402人(26.6%増)、2位は専修大・経済の2,283人(26.8%増)だった(別掲のランキング参照)。2校とも昨年、志願者が減少し、その反動で増えたと見られるが、両校とも大きな入試改革を実施しなかったことも人気の理由だろう。

 今年は入試改革を行う大学が多かったが、コロナ禍で入試がどうなるか不安な中で、過去問が使えることで対策が立てやすく人気になった面もあると見られる。

 3位は千葉工業大・工。千葉工業大の5学部すべてがランキング入りだ。12位に情報科学、19位に社会システム科学、22位に創造工、25位に先進工学部だ。今年の入試からコロナ不況を見越し、共通テスト利用入試の受験料を無料にしたことが大きかった。国公立大との併願者が増え、優秀な受験生が出願してきたという。

 今年はコロナ禍の感染防止の面からも大学に受験に行かなくて済む共通テスト利用入試が人気になった。さらに、全学部が1日に入試を行い、他学部と併願できる全学部方式も人気だった。一度の受験で複数学部の合否判定を受けることができ、受験に行く回数が少なくて済むからだ。千葉工業大はこの方式を採用していることも追い風になった。

MARCHの中でなぜ立教大だけ志願者が増えたのか

 4位は龍谷大・文だ。入試方式を増やし受けやすくしたことが志願者増につながった。龍谷大は早くから、この4月からの授業を「原則、対面」と発表していた。それも人気になった理由と見られる。

 昨年の大学1年生はオンライン授業中心、クラブ・サークル活動、アルバイトは制限され、友人もできにくい状況だった。コロナ禍は続き、今年もこの状況が続くのであれば、大都市圏の大学に一人暮らしをして通う意味もあまりないと考える受験生が多かった。そのため、地元の大学進学志向が高まったが、逆に4月から対面、授業中心と発表していた大学には人気が集まった。学生はキャンパスに通いたいということだ。

 5位は立教大・文だ。立教大はMARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)の中で唯一志願者が増えた。大胆な入試改革を行い、全学部全日程で受けられる方式に変え、しかも英語の試験を基本、民間英語試験と共通テストの英語の成績を採用した。この改革が人気を集め志願者が増えた。9位にコミュニティ福祉、13位に異文化コミュ二ケーション、14位に法、24位に社会と5学部で志願者増だ。

慶應・上智・明治で大量に発表された「繰り上げ合格者」

 このように志願者激減の中でも、人気を集めた大学・学部はある。ただ、気になるのが倍率(志願者数÷合格者数)だ。

 昨年と今年を比べると、上位では専修大・経済が3.8倍→3.2倍、千葉工業大・工が4.8倍→3.7倍、龍谷大・文が4.4倍→3.4倍など、下がっているところが目立つ。志願者が増えたのに倍率が下がるのは、合格者を昨年より多めに出したことに他ならない。

 今年も3月末まで大手大学を含めて、繰り上げ合格者を発表している。判明しているだけでも慶應義塾大で1000人以上、上智大で3000人以上、明治大で2000人以上などだ。地元志向の影響もあり、地方の合格者が入学しなかったこともあろう。上位大学がこれだけ繰り上げ合格を出したことで、その下のクラスの大学では定員割れが起きていると考えられる。

 倍率が下がるということはそれだけ大学には入りやすくなるということだ。今後ますます少子化が進むことで、大学入試はどんどん無競争時代に近づいていく。そうなると、もはや大学で何を学ぶかを軸に志望校選びを行っていくことになる。

 今は将来の就職を考えながら学部を選ぶのが当たり前になってきている。コロナ不況の到来で、来年は医療系や理工系人気が高まる可能性は高い。その一方で、留学などを伴う国際系の学部は来年も人気復活には至らず、狙い目となりそうだ。コロナの感染拡大がどうなっていくかで、来年の人気学部も変わっていきそうだ。

●文/安田賢治(大学通信常務取締役)

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