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【赤木智弘の眼光紙背】崩れ落ちる高度経済成長の遺産

赤木智弘の眼光紙背:第253回

 あけましておめでとうございます。本年も当コラムをご贔屓に。

 昨年は笹子トンネルで天井板が崩落するという事故があったが、今年に入り3日には、大阪と和歌山を繋ぐ紀見トンネルで、コンクリートの側壁が落下するという事故があった。前回2010年の2月での点検では異常は見られなかったという。(*1)

 こうした道路などの事故を受けて「公共事業批判がこうした事故を増やしたんだ」「公共事業費を増やして、事故を未然に防ぐべきだ」という主張がされているが、笹子トンネルに関しては素人目に見るに、あきらかな点検項目の不備だろう。今回も少なくとも一定期間での点検はされているので、点検の質が低いか、点検の項目が不備だったかのいずれかであり、公共事業費が増大すればこれらの事故が防げたとは思えない。

 だが、問題は決してそれだけではない。結局のところ、高度経済成長期に乱造された建築物が、今一斉に寿命を迎えているのである。当然、今回事故をおこしたトンネルだけではなく、その当時に作られた大型の建築物はすべて何らかの問題を抱えていると見るべきだろう。

 もちろん、新しい建物に建て替えられればいいのだが、高度経済成長期に生み出されたはずのお金は、すでに彼らに使い尽くされてしまい、もはやろくに残っていない。

 こうした構図って、どこかでみたなぁと思ったら、今の日本の社会保障制度と全く同じである。高度経済成長を前提に、現役世代の給料が常に増え続け、結婚して家庭を持つことを前提に形作られた制度は、今や金持ちのみを助け、単身の貧乏人を見殺しにするシステムと成り果てている。

 その問題は十分に認識されているはずなのに、いまだに誰も改修しようともしない社会保障制度。放っておけば、それによって被害を受ける人数はトンネル事故の比ではない。

 僕としては今年こそ、そうした社会保障改革に力を入れて欲しいのだが、残念ながら今の政権を担うのは自民党だ。彼らは当然のように企業ばかりを助け、そのお金を個人のために使おうとしないだろう。

 つまり、昔ながらの「企業を助けて雇用を守る」というすでに腐り果てて破綻した方法で、金を無駄に垂れ流すのだろう。企業には感謝されるだろうし、一時的に株価が上がるような効果もあるのだろうが、所詮はカンフル剤の垂れ流しに過ぎない。そして結局何もしなかった野田政権よりも酷い結果になるということは、十分に予想されることだ。

 僕は、こうした時代にいったいどのような言葉を紡いでいけばいいのか。今年もたくさん悩み続けることになるのだろう。  

*1:<紀見トンネル>側壁の一部が落下…老朽化か 大阪-和歌山(毎日新聞)http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130103-00000030-mai-soci

プロフィール
赤木智弘赤木智弘(あかぎ・ともひろ)
1975年生まれ。自身のウェブサイト「深夜のシマネコ」や週刊誌等で、フリーター・ニート政策を始めとする社会問題に関して積極的な発言を行っている。著書に「若者を見殺しにする国 (朝日文庫)」など。

@T_akagi - Twitter



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