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「日本財団調査 最期の迎え方」―住み慣れた自宅が約6割―

2019年の日本人の平均寿命は男性が81.41歳、女性が87.45歳(厚生労働省)。この70年間で男性は18歳、女性は21歳以上伸びた。これに伴い65歳以上の高齢者人口は2020年、全人口の28.7%まで上昇、一人暮らしの高齢者も15年時点で約600万人と、男性高齢者の8人に1人(13.3%)、女性高齢者の5人に1人(21.1%)に上っている。

佐藤愛子氏のエッセイ「九十歳。何がめでたい」(小学館)がここ数年、評判を呼んでいるが、長寿そのものは平和な社会の結果であり、やはりめでたいことだと思う。同時に誰もが人生の最期を迎える。それをどう迎えるか、誰にとっても難問である。個人としては地域ケアの整備など、現実的な選択肢をもっと広げる必要があるような気がしている。

そんな思いも込め日本財団は昨年11月、「人生の最期の迎え方に関する全国調査」を行った。要は本人だけでなく家族がどう考えるかの問題であり、調査では看取られる側の高齢世代(67〜81歳)と、看取る側として67歳以上の親あるいは義親が存命する35〜59歳を対象にインターネットで行い、前者は484、後者は558の回答を得た。

結果をまず高齢世代で見ると、人生の最期を迎えたい場所のトップは住み慣れた「自宅」が58.8%でトップ、次いで「医療施設」が33.9%。有料老人ホームや特別養護老人ホームなど「介護施設」は4.1%と低く、「子の家」はわずかに0・1%。逆に絶対に避けたい場所は「子の家」が42.1%、介護施設が34.4%となっている。

死期が迫り人生の最期をどこで迎えるかを考えるに当たり重要だと思うことに関しても複数の選択肢で聞いた。そのうち子や家族との関係に絞って、看取られる側と看取る側の数字を比較すると、まず「家族の負担にならないこと」では前者の95.1%に対し後者は80.1%、「家族等との十分な時間を過ごせること」では前者の69.4%に対し後者は85.7%。様々な原因が考えられるが、数字を見る限り、看取られる側と看取る側の気持ちにかなりのずれがある。

このほか「少しでも延命できるようあらゆる医療を受けられること」では、看取られる側の9.7%に対し看取る側は24.9%と大きな差があり、今後、延命治療の在り方を議論する上でも参考になる数字と思われる。

多くの国で少子高齢化が進み、最先端を行く日本が新しい社会に向けどのようなモデルを作るか、注目されている。調査は幅広い項目について質問しており、今後、多角的に分析されると思うが、調査結果を見る限り、看取られる側と看取る側、すなわち親世代と子世代にかなりの意識の開きがある。核家族化の中で失われた“家族の対話”をどう取り戻すか、この1点をとっても、つくづく難しい課題だと実感している。

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