記事

「民放の真似して受信料もらって、NHKは恥ずかしい」森本毅郎(81)から“愛する古巣”への苦言《独占告白》 森本毅郎インタビュー #2 - 「文春オンライン」特集班

1/2

「高齢者は“邪魔臭い存在”になった」森本毅郎(81)激白 31年の長寿番組「噂の!東京マガジン」地上波終了の真相 から続く

【写真】この記事の写真を見る(7枚)

「『高齢の人はお引き取り願う』『硬派から軟派へ』という流れを感じますね。“若者シフト”という名の下に硬質のものは消えていく。それでテレビはいいのかな……。若返るのはいいんですけど、ある意味では『若い人をバカにしてないか?』と思うんです」

 こう語るのは、2021年3月に地上派での放送を終えた「噂の!東京マガジン」(TBS系)で31年半に渡って総合司会を務めてきた森本毅郎(81)だ。日曜お昼に放映されてきた同番組は、地方の行政問題などの現場を取材する「噂の現場」、若者が料理に挑戦する「やって!TRY」といった名物企画を持つ長寿番組だったが、4月からBS-TBSへ移行することになった。

 NHKの人気キャスターを振り出しに、テレビで育ち、現在も現役キャスターを務める森本が語ったのは、テレビ界の“迷走”だった。(全2回目の2回目/#1を読む)


森本毅郎氏(事務所提供)

◆◆◆

「高齢の人はお引き取り願う」という流れ

――ここのところ、ベテラン司会者の番組の終了が続いています。「噂の!東京マガジン」が地上波から消えただけでなく、みのもんたさん(76)、小倉智昭さん(73)らの番組が終わりました。

森本 年配の人が一斉に辞めたのは、たまたま重なったとも思いますし、それぞれ番組の事情もあるでしょう。ただ、印象としては「高齢の人はお引き取り願う」「硬派から軟派へ」という流れを感じますね。

 例えば「噂の!東京マガジン」が地上波から消えて、そこに新しい情報番組を作ろうとはならないわけです。どんどん“若者シフト”という名の下に硬質のものは消えていく。それでテレビはいいのかな……。若返るのはいいんですけど、ある意味では「若い人をバカにしてないか?」と思うんです。

 若い人たちの中にも、もっと世の中を知りたい人もたくさんいますよ。ネットに移行していった人たちを振り向かせようとする工夫も見られないんです。

――中でも、森本さんは1963年、NHKにアナウンサーとして入局して以来、60年近くにわたってテレビ業界で活躍されています。NHK出身のフリーアナウンサーの先駆け的存在でもあります。1984年にNHKを退職したのには、どんなきっかけがあったのですか。

森本 もういにしえの話ですね(笑)。僕がNHKにいたことすら知らない世代が増えていますから。そもそも、僕はフリーになりたくて辞めたわけではありません。当時のNHKの大改革の中で「ニュースワイド」(現在の「おはよう日本」の時間帯に放映されていた報道番組)が始まり、そのキャスターを誰がやるかで散々揉めたんです。

 ところが自分の意思とは裏腹に、僕が初代のキャスターを担当することになってしまった。それで4年間担当して、後任に引き継いだら、今度は「報道局に異動して記者としてニューヨークかパリに行け」って言われたんです。

 悲しいかな、僕はそれまで組織のことばかり考えて仕事してきたサラリーマンでした。でも、いつも同じアナウンサー集団の中にいても軋轢がある。「どうしてみんな組織として考えないんだろうな」と思うことが多々ありましたから。

 だからアナウンサーの組織に戻らずに記者として特派員に出たら「裏切り者のユダ」になると思って、僕は「イヤだ」って言った。そしたら転勤拒否とされて、抜き差しならない立場になってしまった。それで、「この際どうなるか分からないけど、別の世界に生きてもいいか」と思って辞めることにしたんです。

裏切り者とされちゃって、NHKは僕を使わない

――NHKを退職した直後にはTBSと電撃的な専属契約を交わして、朝のワイドショー番組「森本毅郎さわやかワイド」がスタートしました。

森本 おもしろいもので、僕がNHKと確執があるという情報をどこで仕入れたのかわかりませんが、TBSの人が来て「あんたNHKの中で揉めているんでしょう? うち来ませんか」って言うわけです よ。それじゃあ、お世話になりましょうかという話になった。

 でも、僕はNHKにどっぷりの人間だったから、当時は僕がフリーになるなんて誰も思っていなかった。だからこそ本当に裏切り者とされちゃって、それ以来、NHKは僕を絶対に使わない(笑)。「石をもて追はるるごとくふるさと(を出でしかなしみ消ゆる時なし/石川啄木「一握の砂」)」ですよ。

――今もNHKからの絶縁は続いていますか?

森本 ほかの辞めたアナウンサーや記者は今もNHKに出演していますけど、僕はたった1回、BSの番組に出ただけ。そのBSのときも、過去の確執を知らないプロデューサーが僕に声をかけちゃって、断れなくなったんだと思いますよ。それっきりですから。BSに1回出て、局内で「まずいよ」ってなったのだと思う。

――もう雪解けしてもいいのではないですか?

森本 今さら需要もないでしょうけど(笑)。すくなくても、過去の経緯を知っていた人たちが生きていた時代は「あいつだけは受け入れない」と思っていたようです。当時の有名な報道局のお偉いさんは「NHKの人間が外に出て活躍するのはいいじゃないか」と言ってくれたそうですけど、僕のことを可愛がってくれた当時のアナウンス室長とは一切交流がなくなりました。

 可愛がってくれていただけに許しがたかったんでしょう。昔の仲間が集まって、ときどき食事会をしていましたが、その室長だけは元同僚が声を掛けてくれても来てくれません。悲しいですね。

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    アドバイザリーボード・分科会と感染研は信頼に足るのか?

    青山まさゆき

    05月18日 08:20

  2. 2

    負傷者数半減は嘘?交通事故を物損事故として扱う警察の怠慢

    紙屋高雪

    05月18日 08:42

  3. 3

    『週刊さんまとマツコ』はなぜそっちへ行った?残念な理由

    メディアゴン

    05月18日 08:21

  4. 4

    早くもウーブン・シティ開発に着手 にわかに信じがたい豊田章男氏の経営スピード

    片山 修

    05月18日 08:11

  5. 5

    「オリンピックは中止すべき」の調査結果は正しくない〜統計はウソをつく

    新井克弥

    05月17日 14:16

  6. 6

    ビットコインから過去最大の資金が流出、価格頭打ちで=週間データ

    ロイター

    05月18日 08:56

  7. 7

    コロナ対策の都道府県別の評価【大阪府 最下位】

    山内康一

    05月17日 15:57

  8. 8

    コロナ禍で取り残される「好きなこと」が無い人 誰かを責める前に行動せよ

    かさこ

    05月18日 09:02

  9. 9

    「『AERA dot.』および毎日新聞の記者の悪質な行為」大規模接種の報道めぐり岸防衛相

    ABEMA TIMES

    05月18日 10:27

  10. 10

    ジェンダー問題の被害者?“おじさん上司”にも存在する生き辛さ

    ABEMA TIMES

    05月17日 09:23

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。