- 2021年04月29日 15:31
5人に1人は「とても繊細な人」繊細さは幸せにつながる素敵な感性
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ここ数年で広く知られるようになってきた「HSP」(Highly Sensitive Person とても敏感な人)。HSP専門カウンセラーの武田友紀さんは、親しみを込めてHSPを「繊細さん」と呼びます。武田さんの繊細さんへの思いや、繊細さんが生きやすくなるためのヒントなどを、子ども若者編集部のメンバーがうかがいました。
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――武田さんが「繊細さん」という言葉をもちいるのには、どのような思いが込められているのでしょうか。
HSPはアメリカの心理学者エレイン・アーロン博士が提唱した概念です。アーロン博士の調査により、「生まれつき繊細な人」が約5人に1人の割合で存在することがわかりました。近年、日本でもこの概念が浸透し、関連書では「敏感すぎる人」などと訳されてきましたが、私は「すぎる」という表現には「不適切だ」というニュアンスが入ると考えました。
「繊細さ」は生まれ持った気質であり、病気ではありません。背の高い・低いがあるのと同じように、本人の資質であり、個性です。自身もHSPである私は、誤解をまねかない表現として「繊細さん」をもちいることにしました。「繊細さん」という言葉には、「繊細さはいいものだ」という思いもこめています。繊細な気質を持った方は、ほかの人が気づかない小さなことにもよくに気づくのでストレスを感じやすいです。
そのためいろいろな悩みからネットで検索したのがHSPの存在を知るきっかけ、という方も多くいます。「生きづらい」というイメージが付きがちなHSPですが、決してそうではないんです。
外が晴れているだけでうれしくなったり、カフェの店員さんのちょっとした優しさに気づいて、じーんと感動したり。繊細だからこそ、毎日の小さな「いいこと」をキャッチでき、深く味わうことができます。「繊細さん」の繊細さは、めいっぱい幸せを味わうためのとても素敵なものです。
働けなくて自分を責めた私
私自身、繊細さを長所と捉えたことで肩の力が抜け、幸せをたくさん感じられるようになりました。
以前、メーカーに勤めていた私は、会社でストレスが積み重なり休職していたことがあります。忙しくてもタフに働く同僚と自分をくらべ、「働けなくなった私がいけないんだ」と自分を責めてばかりいましたが、アーロン博士の著書『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』を読み、まわりの人と自分では感じている量も強さもちがうことにはじめて気づき、「私が弱いから」という考えから抜け出すことができました。
そして繊細さを大事にして自分らしく生きたいと思い、繊細さんの心の仕組みを研究し始めました。感じる量が多い分、やはり疲れやすく、繊細なままで生きていけるのか、と葛藤もありましたが、繊細な感性はとことん大切にした方が生きやすくなることを実感しました。またカウンセラーとして700名を超える繊細さんと接してきましたが、繊細さんは、生まれ持った繊細さを大切にすることで元気になり、自分らしい人生を歩みやすくなります。繊細さを克服すべき課題ととらえるのではなく、いいものとしてとらえる。それが出発点なんです。

いっそ鈍感に?
繊細さんにとって繊細さは自分を構成する大切な一部分。「いっそ鈍感になれたらいいのに」と思うかもしれませんが、無理に鈍感になろうとすることは、背の高い人が身長を縮めようとするようなもので、かえって自信を失います。持って生まれた感性は封じ込めるのではなく、解放した方がラクになります。繊細さんは、繊細さを含めて自分を大切にすることで、人生を豊かにしていくことができるんです。
――繊細さんと非・繊細さんは、どのように向き合っていけばよいでしょうか。両者の関係は不登校の子どもと親との関係に通ずるように思います。ためらいなく学校生活を送ってきた親御さんは、子どもの不登校をなかなか受けいれられないというケースが少なくありません。
たしかに繊細さんは非・繊細さんとのコミュニケーションにおいて、「自分の感覚や気持ちをわかってもらえない」と苦労することがあります。そこで非・繊細さんには、感じ方のちがいを受けとめてもらえたらと思います。
共感や同意までいかなくてもいいんです。「そのくらいのことで大げさだ」などと否定せず、「私にはその感覚はないけど、あなたはそう感じるんだね」と、受けとめてあげてください。一方で、繊細さんにも心に留めておいてもらいたいことがあります。非・繊細さんにとって、繊細さんの訴えは「背中の羽根が痛い」と言っているようなものだ、ということです。



