- 2021年04月29日 10:50
酒がそんなに悪いのか! 飲食店が緊急事態宣言の酒類提供の禁止に本気で激怒するワケ
1/23度目の緊急事態宣言が発出
東京都、大阪府、兵庫県、京都府に対して、2021年4月25日から5月11日までの期間、緊急事態宣言が発出されました。緊急事態宣言は今回で3度目となります。
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菅義偉首相は4月23日夜に記者会見を行い、「このまま手をこまねいていれば大都市の感染拡大が国全体に広がることが危惧される」と緊張感をあらわにしました。
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そして「ゴールデンウイークという多くの人が休みに入る機会をとらえ、短期間に対策を集中して実施することでウイルスの勢いを抑え込む必要があると判断した」といい、3度目の緊急事態宣言を決断したということです。
東京都は酒類提供を禁止
東京都は、緊急事態宣言の期間中、飲食店に対してこれまでよりも強い政策をとります。
酒類を提供する飲食店には休業を、酒類を提供しない飲食店には20時までの時短営業を要請。全面的に実施した場合には、「まん延防止等重点措置」と同様に企業規模や売上高に応じて1日4万円から20万円を支給します。
これまでは20時までの時短営業、19時までの酒類提供となっていましたが、今回は酒類の提供が禁止ということで、かなりインパクトが大きいです。飲食業界では禁酒令、禁酒法とも皮肉され、やりすぎだという声も少なくありません。
飲食店と酒類
飲食店での酒類の取り扱いなどについて説明しておきましょう。
酒類はシュルイと読みますが、言葉だけを聞いても伝わりにくいので、意図してサケルイと読まれることもあります。酒税法では、発泡性酒類、醸造酒類、蒸留酒類、混成酒類と酒類を4種類に分類。
保健所から飲食店営業許可をとっていれば、酒類の全てを飲食店で提供することができます。より簡易的に取得できる喫茶店営業許可では酒類を提供できません。店内で調理している飲食店であれば、まず酒類の提供が可能と考えてよいでしょう。
ただ、酒類の提供とは、店内で飲む酒類を提供することであり、持ち帰ることは含まれません。酒類を販売するのであれば、税務署から酒類販売業免許を取得する必要があります。
酒類を提供する時間によっても違いがあり、バーなど食事を主としない飲食店が0時から6時まで酒類を提供するには「深夜における酒類提供飲食店営業」の届け出を警察署に提出しなければなりません。ファミリーレストランやラーメン屋など食事を主とする飲食店であれば提出しなくてもよいです。
飲食店だけをターゲットに
飲食店が、酒類の提供が禁止となったことに対して大きな不満をもっているのは、これまでの経緯が大きく関連しています。
新型コロナウイルスの感染が拡大した当初、国や自治体が風営法の1号営業に該当する飲食店を「接待を伴う飲食店」や「夜の街」と呼んだことによって、居酒屋やファインダイニングなど食事を楽しむ通常の飲食店が風評被害を与えられ、3月からの書き入れ時に売上機会を失いました。
2020年10月1日に農林水産省が主導して飲食業界を救う「Go To イート(Eat)」が始まりましたが、11月25日に経済再生担当相の西村康稔氏が「この3週間が勝負だ」と呼びかけたことによって、1年で最大の書き入れ時である12月も売上機会を逸失。新規感染者数の増加を飲食店ばかりのせいにし、「Go To トラベル(Travel)」には何の瑕疵もないと言及しました。
2回目となる1月8日からの緊急事態宣言では、他の業種にはほとんど何も要請せず、飲食店に時短営業を要請するのみ。しかも、その時短営業の効果にも疑問符がつき、飲食業界からは納得いかないという声が挙がっていました。
・なぜ飲食店だけ? 本当に効果がある? 緊急事態宣言発令に伴う営業時間短縮への大きな疑問(東龍) - 個人 - Yahoo!ニュース
・飲食店に対する営業時間短縮の要請が間違っている3つの理由(東龍) - 個人 - Yahoo!ニュース
大手飲食店予約サービス「TableCheck(テーブルチェック)」の分析によれば、時短営業のために客が一定時間に集中してしまい、密度が通常の約1.5倍になっているといいます。
・【代表ブログ】時短営業で、店内密度1.5倍に。データに基づく有効な施策を都に求める(TableCheck)
国や自治体の理不尽な政策に対して、飲食業界で大きな動きがありました。
大手飲食店が都を提訴
東証2部の上場企業グローバルダイニングは時短営業の要請を拒否し、3月22日に行政による過剰な権利制約が続いているとして都を提訴。
・緊急事態宣言が発令も「営業時間を短縮しない!」 有名飲食店の決断が賛同されるワケ(東龍) - 個人 - Yahoo!ニュース
請求額がわずか104円であり、実質的な補償を求めたものではないことからも、都と飲食店の溝は深いといわざるをえません。
署名運動も開始
4月6日には、一般社団法人 食文化ルネサンスが内閣総理大臣に宛てて署名運動を開始しました。
その内容とは主に、科学的な根拠にもとづいた対応やガイドラインの策定および査察や認証を行ってほしいというもの。損害を被る側の飲食店からすれば、非常に真っ当な内容です。
・国や自治体に明確なノー! 有名な飲食店による署名運動は本当に正しいのか?(東龍) - 個人 - Yahoo!ニュース
記事でもコメントを紹介した「HAJIME」米田肇氏や「シンシア」石井真介氏など、飲食業界で大きな影響力を有する方が多く賛同していることからも、この要望は飲食店の総意とみてよいのではないでしょうか。
またも説明がされていない
飲食業界で色々な事象が発生していながらも、いまだに国や自治体から納得のいく説明がなされていません。そして3回目となる今回の緊急事態宣言では、時短営業に加えて酒類の提供も禁止となりました。
20時までの営業と19時までの酒類提供という非常に窮屈な状況にありながら、テイクアウトやデリバリーの実施、時短営業内のメニューやオペレーションの最適化など、あらゆる打開策を考えて必死に努力してきた飲食店は、気持ちが折れてしまうことでしょう。
酒類提供の禁止は、アルコールを飲むと大声になりがちとなるだけではなく、どこまで大声になりがちとなるか、どれくらいの大声になったら感染率がどれくらい上昇するかなど、科学的な根拠にもとづいて丁寧に説明する必要があります。
海外では飲食店だけをターゲットにしていない
海外でも飲食店に対する締め付けは厳しいです。
新型コロナウイルスの感染拡大が著しいヨーロッパでは、多くの国で飲食店が休業していたり、店内飲食が禁止されたりしています。アジアに目を向ければ、インドでは飲食店が閉鎖、フィリピンでは店内飲食が禁止。
このように海外でも飲食店に対して厳しい政策がとられていますが、その対象は飲食店だけではありません。公共交通機関やイベント、美術館や遊戯施設に対しても制限をかけているのです。それだからこそ、納得感のある政策になっているのではないでしょうか。
それに比べれば、日本で行われている政策は半端としかいいようがありません。
1月8日からの緊急事態宣言では、緊急といいながらも飲食店だけをターゲットにし、他の業種はほとんど自由にさせ、リモートワークの働きかけも何の意味もありませんでした。
・新型コロナ: 経済2団体「適切な補償を」 緊急事態巡り小池知事に要望: 日本経済新聞
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飲食店の時短営業だけで収束するような事態であれば、全く緊急ではなかったのではないでしょうか。



