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B型肝炎の再発に関する損害賠償と除斥期間

最判令和3年4月23日PDF判決全文

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集団予防接種でB型肝炎に罹患してしまった人たちの国賠請求で、除斥期間20年の経過が問題となり、その起算点を最初のHBe抗原陽性慢性肝炎発症時(原告AはS62、BはH3)ではなく、一度寛解した後にHBe抗原陰性慢性肝炎の再発した時点(AはH19、BはH16)からと解すべきだとされた事例。

その理由として、以下のように判示している。

HBe抗原陰性慢性肝炎再発リスクは10%〜20%だが、その機序は医学的に解明されておらず、予見も不可能であるため寛解前の時点で再発分の賠償を求めることも不可能であるから、「以上のような慢性B型肝炎の特質に鑑みると,上告人らがHBe抗原陽性慢性肝炎を発症したことによる損害と,HBe抗原陰性慢性肝炎を発症したことによる損害とは,質的に異なるものであって,HBe抗原陰性慢性肝炎を発症したことによる損害は,HBe抗原陰性慢性肝炎の発症の時に発生したものというべきである。」

薬害肝炎の当初の訴訟が繰り広げられていたときは、南山大学に在職していたので、当地の加藤先生や堀先生とお付き合いがあり、原告団で広報活動を熱心にされていた竹内先生に大学で講演をしていただいたこともあった。

その後、和解となり、その和解も訴訟当事者だけの救済ではない全体救済を内容とする特殊な和解で、民事訴訟法学的にも極めて注目すべき展開であった。

しかし、なかなかこのB型肝炎という病気は一筋縄でいかないことがその後の再発経過などから明らかとなり、それに対して適切な救済を除斥期間という壁も乗り越えて実施するには、下級審では無理で、最高裁がその役割を果たさなければならなかったわけだ。

そして、今回、最高裁は、見事にその役割を全うしたと言える。

先日の飯塚事件特別抗告審とあまりの落差があるので、その点が残念至極ではあるが。

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