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《元妻を逮捕》“紀州のドン・ファン”怪死事件 小遣い100万円、全身シャネル…“55歳差妻”の素性 - 「週刊文春」編集部

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「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家・野崎幸助氏(当時77)が2018年5月に死亡した事件で、和歌山県警は4月28日、殺人容疑で野崎氏の元妻の須藤早貴容疑者(25)を逮捕した。野崎氏は和歌山県田辺市の自宅で死亡。発見者は元妻で、体内から致死量を超える覚せい剤が検出されたため、県警は何者かに摂取させられた可能性があるとみて捜査していた。

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 当時「週刊文春」では、元妻を含めこの事件の影にあった女性たちの謎を詳報していた。記事を全文公開する。(2018年6月14日号より。日付、年齢、肩書き等は掲載時のまま)

◆ ◆ ◆

 毒物カレー事件から20年、メディアが殺到する事件が和歌山で起きた。「美女4000人に30億円を貢いだ」と豪語していた男が死んだ。巨額資産と急死した愛犬、そして55歳下妻と東京から通う家政婦兼秘書。事件の陰にあった女性たちの謎を追いかけると――。


“紀州のドン・ファン”こと野崎幸助氏

◆ ◆ ◆

 豊かな乳房を覆う花柄のベアトップドレス。その写真には、斜に構えて微笑を湛えるエキゾチックな黒髪美女が収まっていた。

「実は、野崎社長に由美(仮名)を紹介したのは私です。社長はこの写真を見て『美人だ。今すぐに会いたい』と言い出したのです」

 写真を示しながら、こう語るのは、“紀州のドン・ファン”こと野崎幸助氏の知人A氏だ。

「4000人の女性に30億円をつぎ込んだ」と豪語してきた野崎氏が77年の生涯に突然別れを告げたのは、5月24日。22歳の妻、由美さんと2月8日に3度目の結婚を果たしてから、105日後のことだった。

 野崎氏の体内からは覚せい剤の成分が検出され、田辺署が殺人事件を視野に捜査を続けている。

女性の条件は「とにかく美人、身長170センチ以上、20から25歳まで」

 55歳差夫婦の出会いについては「羽田空港でナンパ」「高級デートクラブの客」など諸説入り乱れている。だが、A氏こそがキューピッドなのだという。

「私と社長との出会いは、雑誌の記事でした。『女と遊ぶために金を稼ぐ。歳を取っても美女を抱きたい』という社長に憧れを抱いた私は昨年10月、会社宛に便箋4枚ほどのファンレターを郵送したのです。その後、本人から御礼の電話が入り、交友が始まりました」

 昨年11月30日、野崎氏から高級ホテル「ザ・リッツ・カールトン東京」の1人2万円以上する日本料理屋に招かれた。

「社長の隣には、当時定期的に会っているという23歳の愛人がいました。4年ほど前に高級デートクラブで知り合った身長172センチの美女で、天ぷらのカスをポロポロ落とす社長の口元を介護士のように拭いてあげていました」(同前)

 野崎氏の目の色が変わったのは、A氏の一言だった。

「『自分の周りにもいろんな女性がいる』と話したときでした。社長は『それなら紹介してください。たっぷりと謝礼は払わせていただきますから』と懇願してきたのです」(同前)

 この時、野崎氏には翌月の12月19日に、和歌山県白浜にある老舗ホテルで、会社関係のパーティを催す計画があった。そこに、新しい女性を連れて行きたいのだという。

「社長の条件は、とにかく美人、身長170センチ以上、20から25歳までの3つでした」(同前)

 それから1週間かけて、A氏は条件をクリアする女性を必死になって探し、ある女の子の連絡先を伝えたという。

「社長は、その子に『写真をくれ』『和歌山に来てくれ』と連日ストーカーのように電話をしたようで、彼女は気持ち悪がって早々にギブアップしてしまった。その後、知人の紹介を通じてアジア圏でモデルをやっている女性と知り合ったのですが、その女性は年齢的にアウトでした」

「美人だ。会いたい」自宅にすぐ呼んだ

 だが、彼女が知り合いの女性を紹介してくれた。

「それが由美でした。昨年12月4日、モデルのオーディションを受けるため北京空港にいたとき、同じオーディションに参加していて出会ったのだそうです。『和歌山のお金持ちがパーティの同伴者を探しているんだ』と話すと、由美は『いいですよ』と快諾してくれました」(同前)

 だが、1人目の女性で懲りていたA氏は、「野崎氏の目的はセックス」にあることをあらかじめ伝えた。だが、由美さんは、臆することなく首肯したという。

「(昨年)12月9日、私は社長の会社のアドレスに由美の宣材写真を添付して送りました。そうしたところ社長は『美人だ。会いたい』と。それで社長は(12月19日の)パーティを待たずに由美を和歌山の自宅に呼んだのです」(同前)

 2人が初めて顔を合わせたのは翌10日のこと。だが、それから、ふたりからA氏への連絡は一方的に途絶えた。

「由美にLINEをすると、14日になって『19(日)もなしになりました!』と返事が来たので、うまくいかなかったのだろうと考えていました」(同前)

 だが、今年2月下旬、写真週刊誌『FRIDAY』を見たA氏は驚いた。野崎氏の再婚を伝えるその記事に写っていたのは、由美さんだったのだ――。

野崎氏の数奇な人生

 さて事件の核心に入る前に、野崎氏の数奇な人生を振り返っておこう。

 和歌山県田辺市で酒屋を営む一家に生まれた野崎氏は中学卒業後、数々の仕事を経て、貸金業を始めた。

「その傍ら、コンドームの訪問販売で財を成したのです。小柄で愛嬌があったので営業は上手かった。その後、正規登録をして本格的に貸金業を展開。その頃、イメージキャラにしたのが演歌歌手の仁支川峰子でした」(地元の貸金業者)

 仁支川の事務所に聞くと、「イベントを通じて知り合い、一時はイメージキャラクターをしていましたが、何十年も交流はありません」と語る。

 暴力団相手にも一歩も引かない熾烈な取り立ては、地元では有名だったという。

「過去に2度ほど刺されたことがある。ピーク時は貸し付けの資金が200億円あったと言っていました」(前出・貸金業者)

 野崎氏の会社の元男性従業員が当時を振り返る。

「社長から『催促の赤紙を貼ってこい』と言われると、『金を返せ!』と書いた紙をガムテープで債務者の敷地全部に敷き詰め、換気扇が詰まるほど相手の家に貼りまくりました」

 90年代、野崎氏は長者番付に毎年名を連ねるようになった。

“色”には金を惜しまないという独自の“哲学”は当時すでに確立されていた。元女性従業員が野崎氏の好色ぶりを明かす。

「東京に出張に行くと、私が社長の大きなエルメスのバッグを持って歩くんです。あるとき、中に入っているバイブレーターがブーブーと鳴り出したことがありました。ご商売の女性と寝ると、全身にキスマークをいっぱい付けた裸の写真を撮り、それを私たちに現像しに行かせるわけですよ」

 女性に対して手渡すのは一晩につき30~40万円。理由を尋ねると「これは買春と言わない。感謝の気持ちとしてお礼を渡しているだけ」と意に介さなかった。別の元男性従業員が当時を振り返っていう。

「1回エッチしただけの女にカードと現金20~30万円を盗まれ、その日のうちにホストクラブで600万円を使われたという逸話もあります」

2番目の妻に対する異様な執着

 そんな野崎氏が初めて結婚した女性は、銀座のホステス。その後、離婚し、六本木の元ホステスだった2番目の妻と再婚を果たしたのは02年のこと。結婚生活は10年続き、6年前に別離するが、野崎氏はこの2番目の妻に対し、異様な執着を見せていた。2番目の妻の親友はこう打ち明ける。

「幸助さんは嫌がらせで彼女の家に大量の梅干しを置きに行ったり、『帰ってこい』というビラを配りに行ったこともありました。それで彼女が警察に届け出て、接近禁止命令が出た。13年から14年にかけ、幸助さんが生誕祭を立て続けに2回開いたのですが、生誕祭といっても誕生日ではなく、女の人を東京から連れてきて『今度結婚するんです』というお披露目会。彼は(2番目の妻に)ヤキモチを妬かせるためにイベントを催していたのです。参加者は100人くらいで2度目はデヴィ夫人が参加していました」

 その後も、野崎氏の身には女性トラブルが相次いだ。

 16年2月、野崎氏の自宅から6000万円相当の金品を盗んだ容疑で、高級デートクラブで知り合ったハーフの自称モデルが逮捕。その事件により野崎氏は一躍全国区の存在となった。『紀州のドン・ファン 美女4000人に30億円を貢いだ男』(講談社)を上梓したのは、同年12月のことである。

「自伝は幸助さんが会社で1000部ほど購入して、業者に売りつけて回っていたんですわ。私も10部を1万円で買えと言われて、それって定価より高いわけ。従業員も『(取引先の)アサヒビールに売ってこい!』とか言われていて。でも、野崎幸助やからしゃーない。これが“幸助劇場”やねん」(取引先関係者)

 前出の貸金業者が続ける。

「その次に交際した芸能関係者の女性は、野崎氏のプロポーズを受け入れる条件として『元交際相手から借りた2000万円を清算したい』と言ったが、野崎氏がお金を渡した途端に行方をくらましてしまったのです」

 傷心の野崎氏が出会ったのが、由美さんだった。

彼女はセレブアピールの強い子

 由美さんは、北海道札幌市に3人きょうだいの次女として生まれ、地元の高校を卒業後、美容専門学校に入学した。友人が証言する。

「とにかく金遣いが荒くて『お父さんは開業医で家が大金持ち』と話していました。身に着けているものは、学生のときからシャネルだらけ。学校で先生に『帰れ!』と怒られたら『あ、帰るわ』と出て行って、午後になったら両手に買い物袋をブラ下げて帰ってきたこともあります。ホスト遊びでも有名でした」

 由美さんは、インスタグラムなどのSNSで華やかな日常をアピールする投稿を繰り返していた。

「当時から彼女はセレブアピールの強い子。海外旅行に頻繁に行き、『1泊30万円の部屋に泊まった』と言っていましたね。1体30~50万円もする大きなリカちゃん人形を集めるのが趣味。その頃、由美はホストと付き合っていました。心配すると『私は貢がれる派。自分からは貢がないから大丈夫』って。その彼とは別れたのに自宅に白いバラが100本送られてきたそうで『キモかったから、花びらを取って浴槽に敷き詰めてお風呂に入った』と話し、実際その写真をインスタに投稿していました。その後、そのホストとは復縁したそうです」(同前)

 別の友人は、由美さんの“承認欲求”の強さが印象に残っている。

「札幌から東京に来るときには、インスタに千歳―羽田の国内線の機内でファーストクラスの席にウェルカムドリンクが置かれた写真を投稿していましたが、実際乗っていたのはエコノミー。JALの株主で優待券を使っていたようです。ある日、私と一緒に旅行をしたときは、ホテルに到着するとトランクケースを開けてルブタンなどの靴を何足か取り出し、ベッドに並べ始めた。そして『この角度から写真を撮ってくれない?』と。旅行中はしょっちゅうこんな感じで、高級なエントランスやレストランでも写真を撮るように頼まれました」

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