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誤算だった?加藤浩次が打ち切られた吉本興業とのエージェント契約


昨年来、芸能界では芸人や俳優、さらにはタレントやモデルなど、いわゆる「実演家」の独立が増加している。その中で、それまでの芸能事務所との契約を見直し、新たに「エージェント契約」に変更するケースが大きな話題となっている。

芸能事務所の場合、基本的には実演家との間で取り交わす専属マネジメント契約に基づいて芸能活動の機会を提供する他、スケジュール管理なども含め活動をサポートしてきた。

立場的には「対等」と言われるが、タレント育成の経費など、所属事務所が負担する費用もあるため、大抵はギャラの取り分は「事務所6:タレント4」、新人などは「8:2」の場合もあり、基本的には事務所が優位に立っている。

もっとも実演家の中には「税金対策」と称して、自身の事務所を設立し、「個人事業主」として芸能事務所と契約を結んでいるケースも見受けられる。

闇営業問題で導入された「エージェント契約」


そこで吉本興業が導入したのが、それまで所属していた実演家――芸人との「エージェント契約」だ。芸能関係者は裏事情を説明する。

「2年前の闇営業問題がキッカケでした。当時、吉本のマネジメントに対して批判が吹き荒れ、今の会長、社長の体制が続くなら吉本を辞めると言い出す芸人が出てきたんです。

特に問題になったのが、吉本に契約書がなかったことでした。そうした動きに極楽とんぼの加藤浩次が乗り、業界では〝加藤の乱〟なんて言われました。もっとも、その威勢で独立するかと思ったら、吉本と話し合いを繰り返し〝エージェント契約〟を取り付けたんです。スポーツ界では選手との間でエージェント契約というスタイルはありましたが、芸能界ではおそらく加藤が初めての契約だったと思います」

エージェント契約は一般的には米国の俳優やアーティストなどの実演家が、そのスタイルをとっていることで知られている。この契約の場合、依頼された個人マネージャー、あるいはマネジメント会社が、それぞれの実演家のニーズに合わせて仕事を探し、出演契約を結ぶと言うもの。

もっとも、これは仕事獲得の窓口になるだけでスケジュールなど実演者の管理を行うことはなく、単に契約報酬(手数料)として契約金やギャラから何割かを取り付けることになる。

「エージェント契約の場合は実演家の実績や知名度、人気がモノを言うことになります。加藤のエージェント契約の場合、営業活動はこれまで通り吉本が行うので、自分でキャスティングのための営業スタッフを雇う必要もなく、メリットの方が大きい。

しかも、受けたくない仕事は断ることも出来るので、ある意味で仕事に余裕が持てるようになります。吉本の取り分は15%前後と言われていましたから、加藤にとっては願ってもない好条件の契約だったはずです」(前出の芸能関係者)

加藤に続きエージェント契約に切り替える芸人も


このような「モノを言う芸人」と化していた加藤に賛同したのか、あるいは影響を受けたのか、その後の流れとしてハリセンボンの近藤春菜や友近らが続々とマネジメント契約からエージェント契約へと切り替えていった。

「何だかんだ言っても、吉本の看板は大きいですからね。長く芸能活動を続けていきたいのであれば、出来るだけ『円満』の立場であることをアピールしなければならず、『エージェント契約』は理想に近い契約です。

最近では女優の森七菜が、大手芸能事務所のソニー・ミュージックアーティスツ(SMA)とエージェント業務提携を結びました。これからの時代、芸能事務所も発掘や育成に巨額の投資をかけられないため、エージェント契約は何かと都合がいい。今後は、こうしたスタイルが芸能界全体に広がっていくと思いますね」(プロダクション関係者)

加藤は、先ごろ(4月17日)、NHK札幌放送局が制作した3時間超の生放送特番「北海道スタジアム春ノ陣」の総合司会を担当。「皆さんと一緒に楽しみながら、ちょっとでも北海道に貢献出来たらと思っております」とコメントしていたが、業界内からは「エージェント契約だったから出来たこと」との声があった。

「加藤は北海道小樽市出身と言うこともありますが、この番組は今年度だけでも4回の放送を予定しています。それだけに番組の司会が決まったことには大喜びで『不思議なもので、東京での生活を重ねるごとに北海道への愛着が増してくるものですね』などと語っていましたが、これも各地にネットワークを広げている吉本でなければキャスティング出来なかったことだと思います」(放送関係者)

まさに、エージェント契約は実演家にとって「薔薇色な契約」だと思われていたが、実は思わぬ落とし穴も…。

何と、吉本は3月いっぱいで加藤との専属エージェント契約を打ち切ったのだ。

「契約更新の席で、突然契約を延長しないと通達したと言われていますが、実際には昨年末には解除の通達が来ていたようです。もちろん加藤もびっくりしたようですが、契約上は何ら問題はない。加藤は当然、継続を望んだようですが、吉本もビジネスですからね。加藤がどれほど知名度や人気があっても割りが合わない、メリットがないと判断したら、契約延長はしませんよね。そもそも、吉本には6000人もの芸人が所属していますから、エージェント契約の加藤1人に時間を割くより、他の芸人を1人でも多く売る方が重要ですし、吉本にとっても効率がいい。加藤に追従してきた近藤春菜や友近も焦っていると思いますよ」(芸能関係者)

吉本からエージェント契約を解除された加藤は個人会社を設立。新たな専属マネージャーや、場合によってはプロデューサーを探す必要が出てきた。

「吉本は加藤の売り方を心得ているのでブッキング交渉もスムーズに行ってきたと思いますが、今後はそうしたサポートがなくなるわけですから、状況は一転するのではないでしょうか。そもそも腕のいいプロフェッショナル級のマネージャーなんて簡単には見つかりませんからね。

吉本とのエージェント契約は加藤自身が発案した契約だったと言われていますが、契約を結んでもバックにユニオンのような団体がないので組織交渉が出来ない。

結局は吉本に返り討ちにされたような感じになってしまいましたね。おそらく、裏営業問題などで持論を主張し、最後には交渉を求めてきたことに対して、ことを荒立てるのではなく、一歩引いた形で虎視眈々と対策を考えてきたと言っていいでしょう。今回のことで加藤に同調してきた芸人も慌てるでしょうし、〝加藤の乱〟は実に哀れな結末になってしまった感じです」(プロダクションの古参マネージャー)

スッキリの裏番組に麒麟川島をぶつける吉本の非情


その上、明らかに「返り討ち」と思われたのが、エージェント契約を解消した途端、同時間帯に吉本の芸人がブッキングされたことだった。

何と、加藤が司会を担当している「スッキリ」(日テレ)と同時間帯にスタートした「ラヴィット!」(TBS)のMCに、吉本所属の麒麟の川島明が抜擢されたのだ。これまでの常識ではありえない非情なキャスティングに業界関係者も驚きを隠せなかった。

「『ラヴィット!』は、スタート以来低視聴率に喘いでいますが、芸能界的には、吉本と加藤との縁が切れたようなイメージがついてしまいました。エージェント契約は確かに実演家にとってはメリットがありますが、一方ではリスクも大きいのです。NHK北海道の特番は、北海道管内のローカル放送と言うのが落とし所だったかもしれませんが、おそらく番組担当者は不安を感じていると思いますよ。

エージェント契約は一見、魅力的に思えますが、日本の芸能界と言うのは、やはり持ちつ持たれつの関係が根強く残っているのです。いずれにしても〝加藤の乱〟は完全に鎮圧されましたね」(週刊誌の芸能担当記者)

何かとクローズアップされたエージェント契約だが、やはり日本の芸能界では時期尚早といったところだろう。

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