- 2021年04月27日 19:03
実力派シェフが廃棄に驚いたフードロス食材とは? 食品ロスを救える画期的なコース
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コロナ禍で食品廃棄が問題
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、食品ロスが増えています。
・食品ロス削減道半ば コロナで余剰増、工夫必要(日本経済新聞)
・新型コロナウイルス感染症の影響で発生する未利用食品の活用促進について~新たな販路の確保やフードバンクへの寄附の推進~(農林水産省)
・コロナで加速するフードロス、根本原因は食品業界の「暗黙のルール」(ダイヤモンド・オンライン)
大きな要因のひとつとして挙げられるのは、外食産業の縮小です。飲食店が時短営業や休業をしたり、消費者が会食や宴会を自粛したりしています。
その結果、飲食店が食材や食品があまり仕入れられなくなり、卸売業者や生産者で余ったモノが廃棄されているのです。
SDGsでも食品ロス削減が課題
世界共通の目標として構成された「SDGs(エスディージーズ)」=「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」でも、食品ロス(フードロス)は大きな課題となっています。
・SDGs|目標12 つくる責任つかう責任|食糧が余っているのに飢餓!?
・17の目標と食品産業とのつながり:目標12に対する取組(農林水産省)
持続可能な食を推進していくために、廃棄される予定の食材を用いたり、サステナブルな食材を使用したりと、外食産業でも飲食店の食材に対する意識の変革が見かけられるようになりました。
ただ、実際のところ、一部の非常に熱心な飲食店だけが頑張っているというのが正直な感想です。
食のトレンド
食の業界では、トレンドはトップの料理人が生み出し、業界全体へと伝播していきます。ヌーベル・キュイジーヌに代表されるようなバターやクリームを極力用いない軽やかな料理、食材を意のままに操る分子調理、地産地消が発端となった唯一無二のローカルガストロノミー、ヘルシーな観点からも重宝される和食材は、時代を先取りするレストランでいち早く取り入れられ、他のレストランへと波及していきました。
トップシェフは独創的なアイデアと高い技術力を有しています。常に他の料理人からも注目されているだけに、大きな影響力をもっているのです。
食品ロス削減運動でもこの流れは同じで、いかにトップシェフが活動に寄与していくかが大きな鍵。
そこで今、注目したいレストランがあります。
それは、イタリアの高級ファッションブランドのアルマーニ(Armani)が運営する「アルマーニ / リストランテ(Armani/Ristorante)」。
なぜならば、イタリア料理の実力派シェフが、フードロス食材(食品ロスとなった食材)を主役としたコースメニューをこの春スタートしたのです。
星付きの才能溢れるシェフ
エグゼクティブシェフを務めるのはイタリア・ナポリ出身のカルミネ・アマランテ(CARMINE AMARANTE)氏。世界中の「アルマーニ / リストランテ」の中で最も若いエグゼクティブシェフです。
イタリアやスペインの星付きレストランで研鑽を積むなど、名だたるレストランで活躍してきました。2018年には若干28歳で東京「ハインツ・ベック(HEINZ BECK)」のエグゼクティブシェフに就任し、ミシュランガイドに一つ星として掲載。
2020年8月から「アルマーニ / リストランテ」で腕をふるうことになり、最も動向が注目されている料理人なのです。
このカルミネ氏が紡ぎ出した、食品ロスを削減するためのコースが「LOSS FOOD MENU」(10,000円、税込・サ別)。全てのメニューで、フードロス食材(食品ロスとなった食材)が用いられているのが大きな特徴です。
それでは、各メニューを詳しく紹介していきましょう。
アミューズ

アミューズで用いられているフードロス食材は、減農薬や無農薬によって、形が不揃いとなったり、見た目が悪くなったりした高級柑橘類の「湘南ゴールド」。
この神奈川県産「湘南ゴールド」と旬のウルイを合わせた可愛らしいタルトがアミューズです。「湘南ゴールド」の瑞々しさによって、ウルイのほのかな苦味が引き立てられています。美しい赤色をしているのは、生地にビーツが練り込まれているからです。
トマトのヴァリエーション

フードロス食材は、飲食店の時短営業や休業で出荷できなかった滋賀県産トマト。様々な種類とサイズ、形のトマトを丁寧に湯むきしているので、そのやさしいテクスチャと甘味を楽しめます。
真ん中には心地よい酸味のトマトのソルベ。滋味のあるトマトのコンフィとジュレを合わせたスープは食べる直前にかけてもらえます。
湯むきしたトマトの皮は乾燥させられ、パウダーとして利用されるなど、食材を余すところなく使おうというカルミネ氏の強い意志が感じられます。
ホワイトアスパラ サフランのベアルネーズソース

新潟県産ホワイトアスパラガスの上には、プチプチとした食感の海ぶどう。大分県産サフランを用いたベアルネーズソースのクリーミー感はホワイトアスパラガスの甘味とよく合います。下にはブラックオリーブと竹炭のパウダーで土の風合いを表現し、ナスタチウムの彩りも添えて。
フードロス食材はアスパラガス。穂先の開き方や伸び方、色味や長さなどが規定外と判断されたものですが、食味は通常品と全く遜色ありません。
スパゲット 海の香り

フードロス食材は鹿児島県産カンパチ。飲食店の時短営業や休業、飛行機の減便によって出荷できなくなりました。
アルデンテのスパゲッティには、ダイス状にし、スモークしたカンパチのタルタルがのせられています。脂のあるカンパチをルッコラのソースが穏やかに包み込みます。ほのかに潮の香りがするプランクトンのパウダーが隠し味。
魚の茹で汁でパスタを湯がいているので、水も無駄にされず、パスタも素晴らしい潮の香りをまとっています。



