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「欲しがりません五輪開催までは」 唐突な緊急事態宣言に感じる“リーダーの説明不足” - プチ鹿島

 3度目の緊急事態宣言。今回はその読み比べ報告です。

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1年間何をしていたのか

 ストレートに一面で書いたのは日経新聞(4月24日)。

《政府、自治体首長、そして医療界はこの1年あまり何をしていたのか。》

 ではおさらいします。まず大阪。

「うがい薬」「雨がっぱ」の吉村知事は…

コロナ危機の大阪…維新またもやドタバタ劇』(東京新聞4月22日)

 コロナ禍での大阪では、うがい薬、雨がっぱ、今度はオンライン授業と、何度もドタバタ劇が展開されてきたと書く。

「党勢拡大の意味も込め、毎日のようにテレビなどに露出して何かしらのメッセージを出そうとするが、中身が伴っていない。思いつきのような方針や楽観的な見通しを伝えることで府民を混乱させ、感染も広げている」(ジャーナリスト吉富有治)

 こんな記事も。

大阪・吉村知事のテレビ出演は4月10本超 吉本芸人も顔負け』(日刊ゲンダイ4月23日)

《安易に出演依頼するテレビ局もテレビ局だが、吉村知事はもっと地に足の着いたコロナ対策に取り組んでほしい。》

 無駄な「人流」を抑えるならまずここか。

小池知事は「欲しがりません五輪開催までは」

 続いて東京。思いつきならこちらも負けてない。

「灯火管制なのか」「今は戦時中?」 小池知事の消灯要請が炎上』(毎日新聞WEB4月23日)

 東京都の小池百合子知事は23日の定例記者会見で、午後8時以降は街灯を除き、店頭などの照明を消すよう要請すると明らかにした。


©️©️iStock.com

 戦時中といえば「欲しがりません勝つまでは」という標語があったが、現在は「欲しがりません五輪開催までは」なのだろう。国民生活より五輪。

「エビデンスなし」「十分な説明なし」で大阪案に飛びつく政府

 では菅首相報道を見てみよう。面白かったのは読売新聞。3回目の緊急事態宣言の発令が決まった翌日、一面に社会部次長のコラムを載せた。そのタイトルは、

政策転換 説明不十分

 政権に近いイメージのある読売だがさすがに呆れている様子。

《今回は酒類提供の飲食店や大型商業施設に休業を求め、イベントの無観客開催にも踏み込んだ。突然の大きな政策転換だが、国民に十分に説明されたとは言い難い。》

 これだけではない、紙面をめくって3面では『政府、大阪案「丸のみ」』。

 政府は今まで《酒を伴う飲食が主な感染ルートとみて、集中的に対策を取ってきた。実証調査などで 安全が確認されたスポーツイベントは容認するなど、「エビデンス(証拠)」重視の立場だった。》

 しかし今回は、

《イベントが感染拡大をもたらすというエビデンスなしに、十分な説明もせず吉村氏の「人流抑制案」に飛びついた。》

 吉村氏の強硬姿勢を「自らの失政隠し」(内閣官房幹部)と言いつつも、吉村案に乗ったのだ。このフラフラ感。

これはもう「自助」ではない

 読売がこの日何度も言っているのは、菅首相は大きな政策転換をしたのに説明が不十分という点だ。3面には自民党の閣僚経験者の苦言を載せた。

「感染対策と経済の両立という大方針の転換にもかかわらず、首相が指導力を発揮した形跡が見られない」

 この恐ろしさをよ~く考えてみよう。

 対策の急転換によるしわ寄せを受けるのは現場だ。感染対策を徹底して時短営業をしてきた居酒屋であっても急きょ休業を求められ、正当な理由なく背けば罰則を科せられる(解説・信濃毎日新聞4月24日)。

 これはもう「自助」ではなく「他罰」である。首相はスローガンを変えたほうがいい。

 実は菅首相のちゃんと説明しない態度は他でも目立つ。

日本の温室ガス削減 政治主導で新目標 「46%減」問われる実効性』(毎日新聞4月23日)というニュースがあった。

 2030年度までに13年度比46%削減の新たな目標が決まったが、なぜ46%なのか。

《数字の根拠や内訳は示されなかった。産業や暮らしに影響するのに決める過程の議論も明らかにされていない。》(朝日新聞4月23日)

 国民に直接影響があることがまたもおそろかに。

おぼろげに浮かんできた「無責任」という言葉

 ひとつ参考になったのは小泉進次郎環境相の証言である。

 4月23日放送の「NEWS23」(TBS系)で、

「くっきりした姿が見えているわけではないけど、おぼろげながら浮かんできたんです。46という数字が」

 この動画を見ておぼろげながら浮かんできたのは「無責任」という言葉だ。

 なお、小泉発言は批判されているが、なにかと秘密主義で説明しない菅政権にあっていつもくっきりしたヤバさを可視化してくれる小泉進次郎先生は貴重な存在だと思う。決しておぼろげではない。民主主義最後の砦だと思っている。ありがとう。

「政治判断」は確かに大切だ。それが政治家の仕事である。しかしそれには条件があって、どういうデータをもとにどんな議論があってどう決断したかという説明が前提だ。

 しかし、よりによってこの非常時に大事なことを急に決め、過程を明らかにしない人がトップに就いているのである。日本スゴイ。

やっぱり今は戦時中? 

 次の記事もスゴイ。

コロナ対策「連絡会議」が菅政権で1度も開かれず…政策決定の過程さらに不透明』(東京新聞4月18日)

 ギョッとする。

 考えてみれば就任当初のあの件と一致するではないか。

『「専門家軽視、コロナ対策と同じ」 学術会議、任命拒否された松宮教授』(朝日新聞デジタル4月22日)

「政府がコロナ対策で後手に回っていることと、日本学術会議の任命拒否問題は、実は同じ問題だ」と松宮孝明・立命館大大学院教授は指摘。

「菅政権は専門家の意見を正面から聞かない。きちんと聞いて考えて、有効な政策を打てていたら、状況は違ったはずだ」

「言葉を尽くして説明しないのは、政治リーダーとして反則。」

 そして菅首相は今も「任命拒否」の理由を明確に説明していない。

 リーダーがろくな説明をしないまま国民には苦しみを要請し、東京五輪にだけ突き進む。もう一度言うが「欲しがりません五輪開催までは」である。

 そして、

「足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」(飲食店に対し)

「ぜいたくは敵だ!」(エンタメに対し)

「進め一億火の玉だ」(国民全体に対し)

 将来、現在起きていることは教科書に載ると思います。

(プチ鹿島)

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