もちろん、若い人材を活用することは重要であるが、今、国家公務員に求められているのは、創造力の豊かな人材の発掘である。
確かに、新試験制度下でも、社会人試験、経験者試験があり、一定の人材確保はその試験が機能を果たすという反論もあるだろう。
しかしながら、現在でも、中途採用試験を行っているが、平成22年度の各官庁の募集人数を見ると、非常に狭き門であり、民間の優秀な人材を活用するに至っているとは到底言えない。
現行制度下では、実質的に、Ⅰ種、Ⅱ種、Ⅲ種試験が国家公務員への門戸であり、これが総合職試験や一般職試験に変わったとしても、国家公務員のメインストリームを採用する試験であることに変わりはない。
中途採用制度が多様な人材確保という機能を果たしていない以上、受験資格年齢は、従来のⅠ種制度のように、ある程度余裕を持たせて、幅広い人物に試験の門戸を開いて、多様な人物を採用すべきではなかろうか。
どうも人事院は、既存のキャリアシステムとノンキャリアシステムの温存し、終身雇用制度を前提として公務員の身分保障を厚くしたいだけなのではないかと思ってしまう。
新試験制度のメリットが私には理解できない。
2.法科大学院や公共政策大学院卒業生の受け皿にもならない
これは前述の年齢制限に関わる問題であるが、人事院の説明によれば、試験制度見直しの経緯として、「法科大学院や公共政策大学院などの設置やその後の定着の状況」を挙げている。
しかしながら、これについても、必ずしも法科大学院や公共政策大学院などの専門的教育を受けた者の受け皿にはなりえない。
30歳未満という受験制限は、つまり、試験受験年において29歳以下であることを意味する。
法科大学院や公共政策大学院の設立においては、アメリカのロースクール制度などを参考にし、多様な社会人経験者の進学を確保することが目的であった。
現在は、新司法試験の合格率の低下や不況、雇用情勢の悪化などが起因し、社会人経験者の進学率が著しく低迷する傾向が強まっているが、本来は、大学時代に法律のみを勉強してきたような学生ではなく、社会人経験等から、幅広い視野を持てる法曹の育成や国家公務員の育成を目指し、これらの専門職大学院が設置されたはずである。
にもかかわらず、29歳以下しか受験できないということになれば、新司法試験の合格者数の低迷も相まって、これらの専門職大学院への社会人経験者の進学はさらに、低下するであろう。
そうなると、多様な人材を確保しようとした上記専門職大学院そのものの存在意義が疑われるし、専門職大学院の存在を理由の1つとしている以上、今回の国家公務員採用試験制度の改正の意義も乏しいということに論理的になるのではなかろうか。
3.試験科目はほとんど同じ
1次試験の試験科目は従来とほとんど変更がない。
記事
- 2010年09月20日 00:00
人事院、ちょっと待った! ― 国家公務員採用試験制度変更への疑問
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