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若者にとって生きるに値する社会じゃなくなってしまっている-若者が大人になりたいと思えない日本社会

 2012年最後の日。今年もブログで紹介したいと思う出来事は日々膨大にありましたが、実際にブログ記事にまで昇華できたのはじつはほんのわずかです。今回もそのケースなのですが、2012年中に紹介しておかないともうアップできないものなので、私のただの断片メモにすぎなくて恐縮ですが以下エントリーしておきます。(by文責ノックオン。ツイッターアカウントはkokkoippan)

 12月27日、反貧困たすけあいネットワーク5周年記念イベント「BREAD AND ROSES 10 ~私たちにパンと誇りを!~2012年を徹底総括! 社会問題10大ニュース発表&大望年会!」が開催されました。このイベントの中で、私がメモした言葉を断片ですが紹介します。イベントの司会をつとめたのは、河添誠さん(首都圏青年ユニオン書記長)と湯浅誠さん(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事)です。

自分の気持ちの存在すら分からない10代、20代の女性
すべての生きづらさはつながっている

 ◆橘ジュンさん他(NPO法人BONDプロジェクト代表)

 「さまざまな生きづらさを抱え、死にたい、消えたい、居場所がないという10代、20代の女性の支援をしています。22時から朝の5時までの電話相談で91件の相談があり、メールの相談は月平均で2千件。家に帰れない女性も保護しています。相談者の多くは、DV、性暴力、いじめなどの被害にあっていて自己肯定感が低いままに置かれています。彼女たちは、『自分の本当の気持ちが分からない』『自分の気持ちがあるということすらも分からない』ような状態に置かれ、相談の中で初めて自分にも気持ちがあるということが分かったという女性も多いのです」

 (家族の問題など個人的な問題に見えるものも、原発の問題など大きな社会的問題も含めて)「すべての生きづらさはつながっていると思っています。自分のできる範囲で、社会の生きづらさを取っ払っていくことが大切だと思います」

若者にとって生きるに値する社会じゃなくなってしまっている
若者がなりたい大人が想像できない
若者が大人になりたいと思えない社会になってしまっている

 ◆清水康之さん(NPO法人自殺対策支援センターライフリンク代表)

 「今年は年間自殺者3万人を切りそうですが、それでも年間3万人近くが自殺している深刻な事態であることにかわりはありません。それに若者の自殺が上昇し続けていることに目を向けるべきです。1998年に自殺が急上昇して以降のところでも、20代は30%、30代は20%、自殺率が上昇し続けているなど、若者の自殺は深刻な問題です。ある意味で言うと、『若者にとって生きるに値する社会じゃなくなってしまっている』『なりたい大人が想像できない』『大人になりたいと思えない社会になってしまっている』のではないでしょうか」

 ※この清水康之さんのコメントに関連しては、この国公一般すくらむブログでも「20代自殺率増はどの世代より高く就活自殺と学生自殺は最多-先進国で日本だけ若者の死因トップが自殺」 という指摘をしています。このときアップしたグラフを以下2点紹介しておきます。


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餓死・孤立死が身近にある社会で マスコミの劣化と反貧困運動の重要性

 ◆水島宏明さん(法政大学教授、ジャーナリスト)

 「マスコミは総選挙の争点をほとんど報道せず、単なる政局報道や注目の選挙区の報道などに終始していた」

 「生活保護バッシングを扇動するマスコミの人間の多くは、貧困の現場、貧困の実態を知らない。餓死・孤立死が身近にある社会になっているなか、全国にもやいのような機能を持った団体が必要になっている。反貧困運動はもっと頑張らなければいけない」

絆原理主義=家族へ責任転嫁し

国は社会保障の責任を放棄

 ◆稲葉剛さん(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい代表)

 「この間の生活保護バッシングによって、『国は何もやらないから家族で支え合いなさい』という形にすりかえられてしまった。国が社会保障の責任を放棄して家族の支え合いに責任転嫁することを、私は『絆原理主義』と呼んで批判したい。『消費税は引き上げる』、そして、『生活保護は引き下げる』などという政策を許してはいけない」

普通の人がすぐ困ってしまう

「助けて」と言えない社会

 ◆信木美穂さん(ホームレス総合相談ネットワーク事務局長)

 「生活保護バッシングなどもあって、いっそう『助けて』と言えない生活困窮者が増えています。問題が深刻化していないときに気軽に無料で相談できるところが少なく、みんな我慢してしまって問題が深刻化してからの相談になるので問題を改善していくのが非常に困難です。多くの方が、生活に困窮しても借金で生活を立て直そうとしてしまい、多重債務に陥ってしまいます。本来なら社会保障があれば防げるのに、そうではないため何か問題が起これば深刻化し経済的な困窮とともに精神疾患にも陥り事態が深刻化してしまいます。今の日本社会では、何か問題が起これば普通の人がすぐ困ってしまう。普通の人が生活保護が必要な状況にもすぐになってしまうのですが、問題が深刻化しなければ相談できない、とりわけ生活保護のスティグマの問題なども解決していく必要があります」

 ◆湯浅誠さん(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事)

 「無縁社会というのは、地縁・血縁・社縁がない社会です。地縁・血縁・社縁がなくても、誰でもつながりを作ることができる社会にしなければいけない」

 ◆内田聖子さん(NPO法人アジア太平洋資料センター PARC事務局長)

 「今年『ブラック企業大賞2012』を開催しました。渡邉美樹ワタミ会長などの限界を超えて働かなければいけないというような新自由主義的シャワーを日々浴びせかけられている状況にありますが、私たちは身体感覚としても批判していきたい」

沖縄の空にはオスプレイ、陸には危険な米兵

 ◆糸数けいこさん(参議院議員/沖縄社会大衆党委員長)

 「空には危険なオスプレイ、陸には危険な米兵で、沖縄県民は命がおびやかされています」

脱原発のアプローチを工夫し続けよう

 ◆雨宮処凛さん(作家、反貧困ネットワーク副代表)

 今年の6月、7月には大飯原発再稼働反対で、安保闘争以来という20万人が首相官邸前を埋め尽くしました。金曜夜の官邸前行動の参加者はすでに100万人を突破して、全国各地でも脱原発デモがおこなわれ、参加者は数百万人規模になっています。夏には官邸前行動を呼びかけている首都圏反原発連合が野田首相に官邸「内」抗議。でもこうした脱原発運動の広がりが総選挙結果にはつながりませんでした。来年夏の参院選を前にして、私たちはとてつもなく大きな宿題を出されたということです。民主党政権下で私はちょっと「話のわかる活動家」になってしまっていましたが、総選挙結果をふまえて「さらに言うこと聞かない活動家」に戻ります。みなさんも来年夏の参院選という大きな宿題に向けて作戦を練りましょう。

 ◆宇都宮健児さん(弁護士、反貧困ネットワーク代表)

 「脱原発で官邸前デモに参加するコアな人たちと無関心の人との落差が激しいと感じています。福島の痛みを自分の問題としてどうひきつけられるか、一人ひとりが自分の問題としてデモだけでなくいろいろな運動を展開して、自分とは無関係だと思っている人にどうアプローチしていくか、一人ひとりの問題にどう引きつけて他人事ではないと問題提起をしていけるか、脱原発運動と冷めている層との壁をなくすため、運動の側が問題提起し続けることが必要です」

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