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米アカデミー賞、「ノマドランド」が3冠 アジア系女性が初の監督賞

クロエ・ジャオ監督 AMPAS/Reuters

第93回米アカデミー賞授賞式が25日夜にあり、クロエ・ジャオ監督(38)の「ノマドランド」が作品賞と監督賞を受賞した。ジャオ監督は白人以外の女性として初めて、監督賞を手にした。

女性が監督賞を獲得したのは、2009年にキャスリン・ビグロー監督が「ハート・ロッカー」で初めて受賞して以来11年ぶり。

「ノマドランド」は、フランシス・マクドーマンドさんが主演女優賞を獲得。合わせて3冠となった。

ジャオ監督は中国・北京で生まれ、イギリスで教育を受けた。現在はアメリカで活動している。

淡々と胸に迫るタッチで人々の暮らしを描き出すことで知られ、俳優ではない人々を作品に登場させることでも有名。「ノマドランド」では、アメリカ西部で車上生活を送るノマドの人々にスポットライトを当てた。

アカデミー賞ではこのほか、認知症の父親を描いた舞台を映画化した「ファーザー」で、アンソニー・ホプキンズさんが主演男優賞を受賞。同作品は脚色賞も獲得した。

1960~70年代の黒人解放運動を題材にした「Judas and the Black Messiah」は、助演男優賞(ダニエル・カルーヤさん)と歌曲賞を獲得した。

助演女優賞には、アメリカに移住した韓国系移民を描く「ミナリ」のユン・ヨジョンさんが選ばれた。

「市民ケーン」の脚本家ハーマン・J・マンキウィッツさんを描き、10部門にノミネートされていたNetflix作品「Mank/マンク」は、撮影賞と美術賞を受賞した。

「人は生まれた時は善性である」

監督賞の受賞スピーチでジャオ監督は、「自分がつらい時、どうやって前に進んでいたかを考えていました。思い当たったのは、子どものころの記憶です」と語っている。

「中国にいたころ、父と古典を暗記して一緒に唱え、どちらが最後まで言えるかを競うゲームをよくしていました」

ジャオ監督の父は鉄鋼メーカーの重役として成功した人物で、義母はコメディ俳優の宋丹丹さん。

「その中でとてもよく覚えているのが三字経という作品で、『人之初 性本善(人は生まれた時は善性である)』という言葉で始まります。子どものころの私に大きな影響を与えた6文字で、今でもこの言葉を信じています」

「世界中のどこに行っても、そこで出会った人たちの中に良い部分を見つけます。真実は逆かもしれないと思えることもありますが」

「これはどんなに難しくても信念を持ち、自分の中の善を守る勇気、互いの善を守る勇気を持ち続けるすべての人たちに言えることです」

「そしてこれはあなたのことでもあります。私を前に進ませてくれるのはあなたなんです」

中国では賛否両論

ジャオ監督と中国の関係は複雑だ。最近になって、2013年のインタビューで中国での暮らしは「うそだらけ」だったと話していたことが明らかになり、一段と難しくなっている。

そのインタビューでジャオ監督は、「若い時に受け取っていた情報は真実ではなかった。家族や自分の出自に対して反抗的になっていった」と語っていた。

中国当局は、国内のソーシャルメディアで「ノマドランド」に関する反応を検閲していると報じられており、中国での公開も疑問視されている。

しかし、受賞スピーチで中国文化に触れたことで、「微博(ウェイボー)」などではジャオ監督の快挙を祝うコメントもみられた。

ただ、ジャオ監督の名前やアカデミー賞受賞の一報は、微博内でトレンドにはなっておらず、「奇妙だ」という声も出ている。

中国では、ジャオ監督をめぐる賛否や、香港の民主派運動を追ったドキュメンタリー作品「不割席」のノミネートを受けて、アカデミー賞授賞式の様子は放映されていないという。

「常に部外者だと感じてきた」

ジャオ監督は14歳で英ブライトンへ移住し、教育を受けた。ほとんど英語ができない中でのスタートだったという。

その後アメリカへ渡り、マサチューセッツ州で政治学を学んだのち、2010年にニューヨーク大学ティッシュ芸術学校の社会人映画プログラムに参加した。プログラムのディレクターには、スパイク・リー監督などが名を連ねていた。

ジャオ監督はこの時、公私共にパートナーとなったジョシュア・ジェイムズ・リチャーズさんと出会っている。リチャーズさんはジャオ監督の全ての作品に撮影監督として参加し、「ノマドランド」ではアカデミー賞撮影部門にノミネートされた。

ジャオ監督がこれまでに題材にしてきた人々は、米サウスダコタ州の先住民、ロデオライダー、そしてノマドと多岐に渡る。

英紙テレグラフのインタビューで監督は、「私はこれまでの人生で常にアウトサイダー(部外者)だと感じてきた」と話している。

「だから自然と、主流でない暮らしをしている人々に引き寄せられるのだと思う」

ノマドの人々の暮らしは、2017年に作家ジェシカ・ブルーダーさんが発表したノンフィクション「Nomadland: Surviving America in the Twenty-First Century」を読んだことで知ったという。

ジャオ監督はこの本に出てくるノマドの人々に実際に会いに行き、そのうちの何人かを本人役で「ノマドランド」に出演させている。

ジャオ監督は今後、ハリウッドの人気監督への歩みを続けるだろう。

次の作品はマーベルの「エターナルズ」。不死のスーパーヒーローを描く同作品には、アンジェリーナ・ジョリーさん、リチャード・マッデンさん、クメイル・ナンジアニさん、サルマ・ハイエクさんなどの出演が決まっている。

「エターナルズ」は今年11月公開予定。ジャオ監督はその後、ドラキュラを題材にした「未来・SF的な西部劇」を手掛ける予定だという。

(英語記事 Director Chloe Zhao makes history at the Oscars / British stars shine in Oscar nominations / Oscars 2021: The winners in full

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