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  • ロイター
  • 2021年04月26日 12:05 (配信日時 04月26日 11:59)

焦点:脚光浴びるフロンティア市場債、流動性の低さが「長所」に


[ロンドン 23日 ロイター] - 新興国の現地通貨建て債の投資家は、ロシアやトルコなどのボラティリティーがあまりに高過ぎると判断した末に、代わって、かつてならもっとリスクが大きいと見なされたはずのガーナやエジプトといった、新興国市場の予備軍的なフロンティア市場に資金を待避させつつある。

フロンティア市場は相対的に規模が小さく、世界的なスケールで気まぐれに動き回る資金との接点も少ない。米国債利回り高騰によって、より大きな幾つかの新興国市場が痛手を受けつつある今、そうした特徴が思いがけない形でフロンティア市場債の追い風になっている。

今年の新興国の現地通貨建て債市場は、近年まれに見るほど最悪な滑り出しを経験。米国債利回りの急激な上昇とドル高を受けて投資家が米国市場に向かった結果、第1・四半期の総合リターンはマイナス8.5%に沈んでしまった。

足元では米国債が落ち着きを取り戻し、ドルも軟化したため、モルガン・スタンレーやブラックロックは現地通貨建て新興国債の見通しをより楽観的に修正した。

それでも視界がクリアになったとは到底言えない上に、経済理論から外れた政策を推進するトルコや、地政学的緊張を抱えるロシアといった著名な市場の問題がくすぶる事態を踏まえ、投資銀行や資産運用会社の一部は、エジプト、ガーナ、ケニア、ウガンダなどのフロンティア市場を資金の逃避先として選択している。

JPモルガンのストラテジスト、サード・シディキ氏は「フロンティア市場にわれわれはより大きな価値と、より明るい固有のストーリーを見いだしている。利回りもとても高いので、25-50ベーシスポイント(bp)程度の米国債利回り(の変化)もまるで問題ない。より流動性の高い新興国市場でなら、50bpの米国債利回り(の変化)は状況を大きく変え得る」と述べた。JPモルガンはエジプトとガーナの現地通貨建て債を買い持ちにしている。

通常の場合、流動性が乏しいことは投資家にとって頭痛の種になる。アクセスだけでなく引き揚げも難しくなるからだ。

しかしシディキ氏は、新型コロナウイルスのパンデミックの後で経済成長が勢いを増している環境では、相対的な流動性の低さがかえって役に立つことがあると話す。例えばエジプト資産を取引している市場参加者が他の市場よりも少ないことは、米国債利回りが上昇するような際の相場の反応ぶりといった面でむしろメリットになる。メキシコペソや南アフリカランドといった、もっと幅広い参加者に取引されている世界では、どんな米国債利回りの上昇も大勢が大騒ぎする事態になる可能性が高いという。

世界的な資金移動の指針となり、多くの主要資産運用会社の投資判断を左右するような債券指数の構成比率を現時点で見ると、現地通貨建て新興国債は合わせて10%をちょうど上回る比率にまでなっている。

取引プラットフォームのマーケットアクセスで新興国市場責任者を務めるクレイグ・マクロード氏は、顧客がベトナムやナイジェリアといった、はるか遠くのフロンティア市場債にまで投資しようとしていると指摘。こうした動きからどれだけ多くの市場参加者が利回り確保に熱心かが分かるとし、今年に入ってからの米国債の不安定化が国際的な投資家を刺激してフロンティア市場への注目を広げたとの見方を示した。

ウィリアム・ブレア・インベストメント・マネジメントもフロンティア市場債を気に入っている。同社新興国市場債責任者マルセロ・アサリン氏は「われわれは時間をかけながらフロンティア市場国の投資拡大を目指している」と語った。エジプト、ガーナ、ウガンダ、ケニア、ジョージアの現地通貨建て債を保有しているという。

国際通貨基金(IMF)の低所得国向け金融支援や、特別引き出し権(SDR)の新規発行と割り当てがフロンティア市場国の対外収支改善に役立つはずで、これが投資家のリスクを一段と抑制するとみられていることもある。

実際エジプトは昨年、IMFからパンデミック支援として27億7000万ドルを受け取った。ガーナにも10億ドルが提供され、ケニアは今年2月、IMFと3年間で合計24億ドルという支援パッケージで合意している。

<不安要素>

対照的に、幾つかの有力新興国に対する市場の不安は増大している。

トルコについて一部投資家が指摘するのは、エルドアン大統領が説明したような金利、インフレ、為替レートの「悪のトライアングル」に対処するため外貨準備の消費が一層進むなら、対外収支が崩壊する恐れがあるという懸念だ。

ロシアはウクライナとの対立に伴って米政府による制裁が今後強化されるのではないかとの観測から、外国人のルーブル建て債投資は約6年ぶりの低水準に落ち込んだ。

モルガン・スタンレーは、こうした特異体質的なリスクと米連邦準備理事会(FRB)の「テーパリング」観測について、同社の新興国通貨建て債保有の強気推奨への変更が限定的な戦術に過ぎないことの説明になるとしている。

こうした要素は、2013年の「テーパータントラム」前までの局面と違って、投資家らが足元ではなぜ現地通貨建て新興国債をなかなか買い進めないのかの理由にもなるだろう。今のところ、現地通貨建て新興国債の購入はパンデミック前のペースを取り戻していない。

モーニングスターのデータによると、今年第1・四半期に設定された現地通貨建て新興国債投資ファンドの数も、過去4年間のそれぞれの同時期に比べると少なくなっている。

(Tom Arnold 記者、Karin Strohecker記者)

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