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2013年5つの予言:テレパシーの普及、アップルはテレビを作る、ほか

私はかつてリサーチャーとして新聞やビジネス誌に「未来はこうなる(ドヤッ)」みたいな記事をときどき寄稿したものだが、今になって振り返ってみると控え目だったというか、妄想力が低いというか、まあそうなるよねという予測を、めいっぱい根拠をつけて書いたものが多かった(iPhone 5はLTEが鍵になる、とか)。まあ、それがシンクタンクのリサーチャーというものに求められている役割なのだろう。

幸か不幸かリサーチャーではなくなり、原稿を書くこともめっきり減ってしまった。というわけでリハビリがてら、今回は「2013年はこうなる」予測記事を書くことにする。根拠少なめ、妄想多め。全部当たったら、今後はアルファ予言ブロガーとして生きていきます。

テレパシーの普及

グーグルのメガネ端末Google Glassが発表されたとき、ウェアラブル・コンピューティングの幕開けだとか、Augumented Realityの時代が来たとか騒がれたが、私はこれはテレパシー端末になると感じた。つまりいつでも誰かと繋がって、呼吸をするように簡単にコミュニケーションができるというものである。

世の中には通話無料アプリを延々と繋いで、特に何を話しあうわけでもなく、互いの空気感を伝えるのを楽しむ人達がいるという。これはかなりテレパシーに近い。LIN……メッセージングアプリで一日に何十通もやりとりをしている若者は、もういっそウェアラブルに直接呼びかけるようなボイスチャット式にしたほうが簡単じゃないか、と思うかもしれない。私には理解できないが、おおむね未来とは私には理解できないものである。

この予測には個人的な根拠もある。気付けば私はオッサンと呼ばれる年齢に差し掛かっており、若者のやることをウザイと思いはじめるころだ。幸い、私はまだ若者の言動を見てもウザイと思うことはない。しかしテレパシーが普及して、みんなが私のウェアラブルにいつでもどこでも呼びかけてくるようになったら、かなりウザイだろう。電車の中でウェアラブル端末をつけている若者がいたら、たとえ小声で誰かに話かけたり、視線で文字入力をしたりしていなくても、なんだかウザイ感じがするだろう。

しかし未来はオッサンがウザイ方向に進むのである。

ビッグヘッドの時代

若者はテレパシーでなにを伝えるのだろうか。内容を予測することは難しいが、皆が同じようなことを伝えるのではないか。まとめサイトのキュレーションのまとめページのリコメンドが先鋭化した結果、人々が読んで聞いて楽しむものは、かつてなく画一化される恐れがある。これはインターネット上の情報やウェブサービスの人気に限らず、テレビ番組、おやつ、ファッション、旅行先、スポーツといったものの多くにおいて、ごく一部だけが成功し、多くは見向きもされなくなる。ロングテールの反対、ビッグヘッドである。

最悪の場合、パーソナライゼーションはビッグヘッドをそれらしく並べかえただけのものになる。Web 2.0で花開いたハイアマチュアのコンテンツ発信というトレンドは、ほぼ消える可能性がある。

私はこの予言が外れることを心から願っている。そのために必要なのは、意図的に他人へ目を向けなくするためのシステム、あるいは自分とは違う人と繋がるためのシステムだろう。幸いなことに、私たちはすでにこのシステムを持っている。それはアナログな世界であり、一人で街を歩き、はじめてのバーに入って、見知らぬ人と話すということである。


アナログの死とデジタルの単純化

もっとも、私たちがデジタルに時間を費やせば費やすほど、アナログは死んでいく。オンラインストアで本を買い、電子書籍を読めば、街の本屋は潰れる。電器屋も、服屋も、スーパーやコンビニでさえもそうである。デジタル世界とアナログ世界の対立は、今後大きなトピックとして表面化していくに違いない。それは結局のところ、どれだけの時間をスマートフォンの画面を眺めることに費やし、どれだけの時間を街の風景を眺めることに確保できるかにかかっている。

デジタルの優位性は、すべてが数クリック(あるいは数タッチ)で済むことである。数クリックで済まないことは、ほぼ不可能と同義語になる。スマートフォンアプリはPCソフトウェアに比べ、あらゆることに単純化を求める。いまのスマートフォンアプリは混乱したUIばかりだが、いつか誰かが洗練した完成系を発見し、そのフォーマットに沿って多くのサービスが単純化という名の進化を遂げるだろう。高機能なソフトウェアやサービスは、高機能ゆえに廃れていく。

テレビの復権

アップルはテレビを作る。アップルは新しいものを作り、他社に追いつかれるまでの間にまた新しいものを作るというのを繰り返すことで、他の誰も見たことがないような、とてつもない成功をおさめた。iPodやiMacはアップルの成功に大きく貢献したが、もはやアップル自身も投資をしようとしていない。iPhoneやiPadはAndroidに追いぬかれた(シェアの話ですよ、とりあえず)。MacBook Airにはウルトラブックという対抗馬がすでに存在する。MacBook ProのRetinaモデルは美しいが、誰もが買う製品ではない。

つまり、アップルには次の製品が必要である。iPad miniでは足りないのだ。

次の製品はなんでもいいが、スマートテレビは有力候補だ。なぜなら誰も成功していないからである。ただしアップルのテレビは、きっと他社のスマートテレビに比べて機能が少なすぎるだろう。よって、皮肉にもこれまで日の目を浴びてこなかった各社のスマートテレビにも注目が集まることになる。そこにはGoogle TVも含まれる。

そして人々はリビングの中央にあった大きなディスプレイのことを思い出して、その再活用をはじめるだろう。あわせてWii U、OUYA、”Steam Box”のようなテレビゲーム機が話題になるかもしれない。死屍累々のテレビメーカーが復活するわけではないだろうが、トレンドのビッグヘッド化とあわせて、大人気のテレビ番組が幾つか出てくるかもしれない。いずれにせよ、テレビそのものやテレビ番組と連携するアプリやサービスが活性化していくに違いない。

発見のためのIT

確実に当たってほしいので予言にはしないが、ネット選挙は解禁されるべきである。それも選挙期間中、候補者のTwitterが沈黙するといった下らない話に留まらず、スマートフォンからワンタッチで投票が終わるくらいのネット選挙を期待したい。なぜなら極限まで単純化されてはじめて、人はその意味を考えはじめるからである。ワンタッチで投票が終われば、近くの小学校に投票へ行くために半時間を費やすことと、読みかけのまとめサイトを読み終えることで天秤にかける必要がなくなる。

どのような統計を見ても、日本における格差社会は広がっており、世界における日本の経済的重要度は下がっていく一方である。だからこそ、私達は仕事に行ってお金を稼ぐ以外のなにかを毎日の生活で発見する必要がある。最悪、ビッグヘッドをみんなで楽しんだという体験でも良い。政治的運動にワンタッチで関わったでも良い。テレパシーで仲間と繋がることでも、見知らぬバーに飛びこむことでも良い。こうした日々を発見する能力は、フォロワー数のように数値化されることもなく、実績バッジのようにゲーミフィケーション化されることもないが、2013年以降をサバイバルしていくために必須のものとなるだろう。そして、ここまで書いてきたように、形にならないものを実現するためにこそ、ITは必要とされていく。

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