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「いじめ対策に武道家を」はどんな文脈で発言されたのか――文部科学副大臣・政務官の任命記者会見全文文字起こし

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2012年12月27日、文部科学副大臣に就いた谷川弥一衆院議員の記者会見における発言「いじめ対策に武道の先生を」が、新聞社などによって取り上げられ、大きな話題となりました。シノドスではこの件を受けて、社会学者・内藤朝雄氏への緊急インタビュー「いじめ防止に「怖い先生」は必要か」を掲載しました。http://synodos.livedoor.biz/archives/2012025.html

その記者会見の様子は、文部科学省のyoutube公式チャンネルで公開されていますhttp://www.youtube.com/watch?v=QrzpZ6r108M。元となる発言はどのような文脈で行われたのか。会見では、他にどのようなことが発言されたのか。このことを確認するため、会見動画を全文文字起こし、ここに記録として掲載します。(編集部註:一部文章を整えています)


福井 文科副大臣を拝命しました福井照と申します。

先ほど皇居で辞令をいただくとき、控室に安倍総理が一人でポツンといらっしゃいまして握手をしようと近づいたところ機先を制され、「教育再生は安倍内閣の目玉中の目玉だから頑張ってちょうだいね」と言われました。

私は科学技術・学術とスポーツ担当です。科学技術イノベーション促進を目的の国づくりに取り組むために、内閣府特命担当大臣と協力して、科学技術基盤を根本から徹底強化すること。原子力損害賠償紛争審査会による和解集会など、東京電力福島原子力発電所事故による損害の迅速な賠償が講じられるよう、引き続き関係大臣と協力して対応すること。そして、スポーツ庁の創設も含めて、スポーツ立国を実現するための諸政策を推進するとともに、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの実現に取り組むこと。この3点を行うために、下村大臣と同じ目的意識を持ち、大臣、そして今日一緒に座っている3人の先生方と共に日本のために頑張らせていただきます。

谷川 同じく今日、文科省の副大臣を拝命しました、谷川弥一です。教育と文化の担当です。私なりに安倍内閣の基本的な考え方を整理すると、人に迷惑を掛けないように一生懸命生きていく国民であって欲しいし、はしたないとか恥ずかしいといった、古き時代のわびさびを中心とする日本文化を守って欲しい。そういう意味で、心をきちっと整理して、そして国防も出来るだけ自力で、かなわないのであれば日米安保条約を基盤にしながら、人間らしい暮らしができる国にしたい。

私の持論ですが、人類の歴史を大きな流れで見ると、貧乏からの脱出と自由の獲得の歴史でありまして、その点から言うと日本は素晴らしい国だと私は思っています。そういう意味では、本当に教育・文化の2つを整理して、財政再建をきちんとやらないといけない。

私たちは若い人たちに申し訳ない世代だと思っています。自分が国に対して出した分と、貰う分の差額が、60歳以上は4000万円、20歳未満はマイナス8300万円という数字もあります。このような世の中を放置することは大変なことだという思いもあります。そういう意味で、安倍内閣は、教育再生を基本に据えたことは時期を得た正しい選択であると思い、それを担えることに喜びを感じるくらい頑張らないといけないと思っています。

個別具体的に言うと、一時期、占領政策第1条に「日本文化を徹底的に破壊せよ」とあった。そういう意味で私は教育の再生はものすごく大事だと思っています。そして最終的に経済を再生させて、社会保障の基盤をきちっと作って。僕はもう71歳だから間に合わないけど、なるべく若い人たちに迷惑がかからないように、一日も早く取り戻さないといけない。その根幹がなるのが、教育の再生だと思っているんです。以上です。

義家 衆議院議員の義家弘介です。

私からはまず、責任を明確に提示させていただきたいと思っています。6年ほど前、当時、下村大臣は官房副長官であり、私は官邸に設置された教育再生会議の担当室長として、教育基本法とそれに基づく以下の法律の改正作業をずっとおこなってまいりました。

いま大津のいじめ事件等でも明らかであるように、責任がどこにあるのか非常に曖昧であります。教育局トップである教育委員会の教育委員にあるのか、実質、事務方のトップとして全てを掌握している教育長にあるのか、あるいは現場の担任にあるのか、校長にあるのか、親にあるのか、あらゆる場所が責任の押し付けあいをしながら、本来責任をもって守らなくてはならない子どもたちの命さえ隠ぺいの対象になってしまっている。

この現状について我々は法律と向き合った上で、責任体制を確立してまいりたいとずっと一貫して言ってまいりました。そして、今回の選挙の政権公約にもそれを掲げたわけです。私自身もそれを抱えるからには自らも当事者になるという思いで、参議院議員から衆議院議員に鞍替えし、当事者として有権者に訴え続けて、いまこうして記者会見に臨んでいます。

具体的には、地方教育行政法、いまのままで大丈夫なのか。我々は大丈夫でないという認識を持ちながら、政権公約に掲げたところであります。あるいは学校教育法。教科書検定の問題にしても、主幹教諭が広がっていかない問題にしても、あるいは教育長の報告が滞っている問題にしても、この学校教育法の責任というものをもう一度考え直すべきではないか。

それから義務教育小学校の政治的中立を確保するための臨時措置法、これは昭和20年代にできた法律ですが、その後、適用の目を見ないまま放置されている。こういった法令で、子どもたちの政治的中立をどう担保していくのかという見直し。あるいは教育公務員特例法。今回の選挙でも現場の教師から、勤務時間中に職員室で組合から選挙のことについて行われたという情報が入っています。本来、教育公務員特例法にのっとれば、国家公務員と同様の禁止・制限があるわけですから、これをいったいどういう風に取り組んでいくか。

これまでの民主党政権下における自民党の議論の中で明らかにしたこと。これは問題点をどのように子どもたちに即した、そして頑張っている先生たちが誇りをもてる教育公務員を作っていくかという問題。あるいは教員免許の問題。

さらに言えば、教科書無償措置法と地方教育行政法の兼ね合いの問題。沖縄県八重山では、教科書をめぐっての大人たちの対立、あるいは法律から逸脱した部分が、子どもたちを巻き込んでいる問題がある。まず教育の目的とは何か、そして公教育の最終的責任は誰が負うのか、下村大臣のご指導の下、そして副大臣の先生方のご指導の下、私自身、教育とスポーツを担当しながら汗をかいてまいりたいと思っております。

丹羽 丹羽秀樹でございます。私自身、大学の学生時代教員を目指し、実際に中学の社会科の教育免許を取らさせていただいて、教育を、当時の現場といまの状況を見比べて、これから安倍内閣のもとで福井先生、谷川先生、それから義家先生と一緒になって、下村大臣を支えながら教育の再生に取り組んでいきたいという思いでございます。

命を大切にする教育。私が心の中に思っている大切なテーマのひとつです。そして科学技術・学術、文化の担当でございますが、科学技術が学術に投資するということは、必ず将来的には文化に繋がるものであるという思いで、これからしっかりと政務の方を担当させていただきたいと思います。


―― これまでの議員活動の中でも以外でも結構ですが、文科行政との関わりをお話ください。

福井 2000年に初当選をして、直後に自民党で教育の根本目的を考える会という勉強会を作って、一年かけてレポートを書きました。それが最初で最後です。いろいろな国の大使館にご相談して、それぞれの国の教育の根本目的は何か聞いたところ、面白いことがわかった。ドイツは近代史を勉強すること。なぜドイツがヒットラーを生んだのか、これが教育の根本目的である。アメリカはキャラクターを磨くこと。オランダは世界中どこにいても生き抜いていけるような能力を身につけること。

そこで、日本の教育の根本目的とは何かということで、日本人の村落共同体の中で、教育の根本目的は、当時、OECDがknowledge and skills for lifeというレポートを出し、人生を生き抜くための知識とスキルを教育の根本目的にしたことを横目に見つつ、村落共同体である日本は、社会の中に身をどう収めるかを学ぶこと。そして、自分とは何かを知ることができる能力を身につけることが、一年間のレポートの結論でした。それが活かされないままいまに至っているわけですが、それが私の心情ですので、その心情を行政の中でどうやって活かせるか、大臣のご指導のもと、考えていきたいことが一つです。

昭和22年にGHQが日本で廃止せしめたものが3つあります。ひとつ目は内務省、ふたつ目は財閥、そして一番大事なのが、みっつ目の町内会。アメリカは日本のガバナンスの神髄がよくわかっていて、天皇陛下をトップとし、都道府県、市町村、町内会、そしてひとりひとりという構造の、国家とひとりひとりを繋ぐ最後のインターフェイスである町内会を廃止せしめた。

先ほどの谷川先生のお話と同じコンテクストですが、これを潰せば日本が潰れるとわかっていたんですね。その後、アメリカ流のコミュニティ活動・市民活動が入ってきましたが、町内会のいいところは失われたままになっている。その中で、先ほど申し上げた、社会の中のひとりひとりをどう収めていくか、行政の中に位置づける目的を任期中に果たしていけたらと思っています。

谷川 直接携わったことはありません。

ただ加藤先生たちと中国に行ったとき、中国の外務大臣らと腹蔵なく何を言っても怒らないという前提で話し合うときに、豊かになれば強い軍事力は役に立たなくなるんだから軍事力の拡大をやめてくれとお話をしたところ、やはりむっとした顔をしていましたよ。

最後にあちらに「なんであんたたちはアメリカのあとばかりついて回るの。それで日本人のプライドを持てるの。どういう主張をすべきだと思っているのか」という話をされたときに、なんて答えるべきだと私が黙っていたら、加藤紘一先生が、「日本伝統文化を押し下げてやっていくんだ」と言っておりましたが、私はそういう政治家が自民党の中で増えて欲しいと言い続けています。

例えば農林省のなかに「小規模」を「コキボ」と読む習慣があり、私が何度も言って訂正させました。「コキボ」と読むなら「大規模」は「オオキボ」と読め、と。日本の文化、言葉がごちゃごちゃになっていますよね。もう一度文化を真剣に見直していきたいね。

例えば「花をのみ待つらむ人に山里の雪間の草のはるを見せばや」という歌があります。これらはわびさびを表す歌なんです。そういう心をせっかく持っているのに、日常生活の中でその文化が消えてしまっている。それをもう一遍取り戻して、日本文化を中心にした世界との付き合いができればいいと思っています。

もう一つ、日本の政治家で一番欠けているのは宗教心です。天を恐れる心。それをぜひ持って欲しい。次は哲学ですよ。私が言う哲学は簡単なんです。はしたないことをするな。恥ずかしい心を持て。礼儀を知れよ、と。あんたたちのなかに肘をついて話を聞いてる人がいるでしょ。礼儀に反するぞ、はっきり言うと。やっぱりよくないと思うよ。礼儀というけじめを取り戻したいという運動をずっとしてきたし、今度ともやっていこうと思っています。

例えば床の間に水連が一輪あって、もしくは椿の花があって、できれば5万か8万の備前の壺で、「わあ、いいな」って、そういうのも非常に大事だと思っていますね。文化のことだけいま言っているけどね。

本当に言いたいのはね、自立するってことですよ、国民が。そうしないと民主主義が壊れますよ。権利だけ主張してですね、義務を果たそうという気持ちがなかったらね、本当に破綻します、どんな団体でも。そういうことをずっと言ってきたつもりです。

義家 私は、非教育者としても教育行政は非常に密接に関わってまいりました。経歴等で明らかにしているように、私は高校から進路方向という処分をされ、北海道の、全国から中退生、不登校性が集う学校に行った。そして、勉強し直して、その学校に恩返しに教師として行ったきに、ある疑問が芽生えました。昔の私は、自業自得という思いの中で行きましたが、非常にまっとうで非常に正常な子たちが、わずか15歳で親元を離れ、公教育からドロップアウトし傷ついている様にずっと向き合い続けました。

教育という名の森は一体どうなっているのか。なぜ彼らは放置され、あるいは助けてさえもらえなかったのか。そしてこの学力、はたしてどういうアプローチがあったのか。様々な問題意識を持って、日本最大の教育行政区である横浜市の教育委員として神奈川に戻りました。そして教育委員会制度の穴、あるいは無責任、あるいは出来ること出来ないこと、これについても身を持って体験いたしました。その先で、同時並行ではありましたが、第一次安倍内閣における、内閣教育官房教育再生会議の担当室室長として、様々な法整備について議論してまいりました。

そしてその後、参議院議員になった後は、参議院の文教科学委員会に属して、様々な質問もしてまいりましたし、また党務においては部会長を二回経験させていただいております。さきほど辞令が下りるまで、自民党文部科学部会長として文部科学政策に携わらせていただきました。また教育再生本部事務局長としても、様々な議論を、中心となって関わらせていただきました。

学校の教師としての関わり、そして教育委員としての関わり、政府の教育行政の役割を担うものとしての関わり、国会議員としての教育行政としての関わりについて、様々な体験してきたことをしっかり生かしてまいりたいと思っています。

丹羽 私は6歳の子どもと生まれて二か月の子どもがいて、その子供が来年、小学校にあがるというときを迎えています。やはり子どもたちが学校で笑顔で過ごせるような教育環境があるといいなと感じています。そのために逼近の課題は何かとらえながら教育の再生に取り組みたいという思いがある。

そしてもうひとつ障害者の教育です。障害者の方々が厳しい環境の中で、健常者の方と同じような教育を受けたいのに受けられないことをしっかり現場を振り返りたい。私自身、地元にある障害者の学習施設の運動会や文化祭に足を運んでいる中で、子どもたちが笑顔で微笑みかけてくる姿を見ていると、教育再生をやらないといけないと思っています。以上です。

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