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【読書感想】毒親の日本史

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毒親の日本史 (新潮新書)

  • 作者:大塚 ひかり
  • 発売日: 2021/03/17
  • メディア: 新書





Kindle版もあります。



毒親の日本史(新潮新書)

  • 作者:大塚ひかり
  • 発売日: 2021/03/17
  • メディア: Kindle版

子捨て、子殺し、孫殺し――毒々しいにも、ほどがある?! 親子関係でよむ異色の日本史。
親子関係は一筋縄ではいかない。古代天皇に平安貴族、戦国武将から僧侶まで、あっちもこっちも「毒親」「毒子」だらけ。子捨て、子殺しや性虐待は勿論のこと、きょうだいの殺し合いを招いたり、子の恋文を世間にさらしたり。父親に見殺しにされたヤマトタケル、子を母に殺された建礼門院徳子、実家にいびられ続けた小林一茶等々、系図上では、はかなく頼りない親子の縦一本線に込められた愛憎が、日本史に与えた影響を読む。

 自分が「親」になってみると、「毒親」という言葉を聞くたびに、心の奥がチクリと痛むのです。
 僕自身は「ひどい毒親」ではないと信じたいけれど、子どもに対して、正しく接することができている、とも言い難い。
 そもそも、親というのは、良くも悪くも子どもに影響を与えずにはいられない存在なのです。
 
 この本では、著者が、『古事記』『日本書紀』におさめられた、伝説とされている時代から、天皇家や平安貴族などの「親子や兄弟による諍いや子どもを支配する親」について紹介しているものです。
 採りあげられているなかで、もっとも現在に近い時代を生きていたのが小林一茶で、近年の資料がたくさん残っている「毒親」たちには、触れていないのです。

 これを読むと、「親子」という関係は、それを美化する人たちが期待しているよりもずっとドロドロしているし、「血がつながっている」からわかりあえる、というわけではないのです。

 日本史を「毒親」という観点から見ると、子を虐待して殺傷するような犯罪的なハード毒親から、子を差別し自尊心を奪い辱める現代的な毒親まで、実に毒親だらけであることに驚きます。

 とりわけ『古事記』(712年)、『日本書記』(720年ころ)、『風土記』(『出雲国風土記』は733年)あたりに出てくる親は、現代の基準からするとすべてがハード寄りの毒親です。

 まずイザナキ・イザナミという日本を作った夫婦神はあらゆる児童虐待を行っている。最初に生まれたのは、ぐにゃぐにゃの水蛭子(ひるこ)だというので葦船に入れて流し捨ててしまうし、イザナミの女性器を焼いて出てきた火の神はイザナミの死因となったというんで、父・イザナキが斬り殺してしまう。さらにイザナキの禊で生まれた三貴子(同じ子でも差別があるのにも注目です)の一人であるスサノヲは、亡き母・イザナミを慕って泣いてばかりいるので、激怒した父・イザナキは、
「この国に住んではならぬ」(”此の国に住むべくあらず”)
 と言って追放してしまいます。
 子捨て、子殺し、気に障る子には「出てけ!」の暴言──毒親と言うにはあまりに毒々しすぎる犯罪的な三点セットを、日本の国土を生んだ神々はしでかしている。

 もちろんこれらは神話です。

 けれど、当時の人が犯罪者のそれとしてではなく、「神や貴人の所業としてあり得ること」として受け入れられる。許容できるからこそ、語られたのです。

 僕もこの本の冒頭部を読みながら、「たしかにひどい親の話ではあるけど、神話だし、フィクションだろ?それを採りあげられてもねえ……」と思っていたんですよ。
 でも、そういう「神話」があって、長年語り継がれてきたということは、たしかに、ある種のリアリティというか、あってもおかしくない話」だと人々が考えていた、ということですよね。

「白雪姫」についての、こんな話も出てきます。

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