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Creepy NutsのR-指定が不登校児に語った“1年間の無職の時期”「ラップに情熱があるのに、ないふりをしていた」『続 学校に行きたくない君へ』より - R-指定

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わが子が「不登校」になったら? 意外にも地雷行為は“担任への相談” から続く

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 不登校に悩む子どもだちが、自分が憧れている人に会い、インタビュアーとなって「これから自分がどうしたらいいか」など、自分が聞きたいことを聞く…。そんな趣旨のもと行った、多くの著名人への取材の成果をまとめたのが『続 学校に行きたくない君へ』(ポプラ社)だ。同書より、Creepy Nutsのラッパー、R-指定さんへのインタビューを紹介する。(全3回の3回目。1回目、2回目を読む)

◆◆◆

ラップと出会い、自分を肯定してくれていると感じた

── どんな子ども時代を送ってきましたか。

R-指定   一言で言えば「イケてない子ども」でした(笑)。ラップをしている人は「不良っぽい」と思われるかもしれませんが、俺はまったく不良ではなかったです。とはいえ優等生だったわけでもない。勉強はできないし、運動神経も悪いし、コミュニケーション能力も低くて、学校という世界のなかではかなり下の方の人間でした。

R-指定さん

 みんなが当たり前のようにできていることが自分にはできなかった。そのことに無力感を感じて「自分にはなんもないな」と思っていました。そんなときにふとラップを聞いたんです。それまでは俺自身も「ラップなんて自分とは無縁の世界や」と思っていました。ところがよく聞いてみると「この曲のメッセージって、不良だけに向けたものじゃないな」とわかってきたんです。俺にも「お前、そのままでいいぞ」と言ってくれているように感じました。だから、「不良じゃない俺でも、もしかしたらラップはできるかも」と思ったんです。

 でも学校ではラップの話はできませんでした。なにしろ俺が中学生だった2005年ごろって、売れているラップといえば恋愛ソングとか「親に感謝」みたいな歌ばかりで(笑)。

  かっこいいと思うラップは、売上チャートにはほとんどないような状況でした。こんな状況で「俺ラップ好きやねん」と言っても、鼻で笑われるなと思った。だから家でひっそり歌詞を書いたり、ごく少数の友だちとだけで共有しあっていました。

コンプレックスがあるからこそ、表現するのに適している

 転機になったのは高校2年のときに大阪・梅田のサイファー(路上でラッパーが集まりセッションをする集会)に行ったことです。そこで感じたのは「いろんな人がいるんだな」ということ。それまでは、頭のいいやつは大学に行く、やんちゃなやつは高校を卒業して働く、そんな典型的な2つの道しか頭になかったんです。

 でも梅田のサイファーには中卒の人や、ひきこもりだった人や、バリバリのエリートコースを歩いているような人もいました。まったくちがう生き方をしてきた人たちが、ひとつの場所でラップをしていることに驚いたんです。それまでは学校が自分の世界のすべてで、学校で「イケてる」「イケてない」という格差があることにずっとイラついていたんですが、学校の外の世界の人たちと出会って、「俺はすごく狭い世界にいたんやな」と思いました。

 それからは、見た目とか、まわりの人と同じことができない、ということをいっさい気にしなくなりました。「俺にはラップがあるし、それを共有できる仲間がいる。それが一番楽しくて大事なことやから、別に学校ではどうでもええな」と、ある意味、開き直れたんですね。

 俺は梅田のサイファーで「学校でイケてない自分」をネタにしてラップをしました。「俺は学校ではぜんぜんイケてない。学校で騒いでるやつらを陰で見ながら、あいつらぜんぜん面白くないやんと思ってる」と言ったら、みんな楽しんでくれて場が盛り上がったんです。こんなこと、学校では絶対に言えない。言ったら「お前は陰キャラなんやな」と、「イケてない自分」が完全に固定されてしまう。でもサイファーでは、そういう、自分のイケてない部分をみんなが楽しんでくれる。そのことにすごく救われたんです。コンプレックスをさらけ出した方が、自分もまわりも楽しかったんですね。

 俺はいろんなことに対して卑屈な考え方をしてしまうんですけど、でも歌詞を書いてみると、そのおかげで通りいっぺんではない面白い表現になったりもするんです。それに劣等感は負けん気につながります。「あいつらをなんとか見返したろ」みたいな。そんな被害妄想をぜんぶ曲やラップにして出すことによってそれが面白い表現になるんです。

 だから今ではこう思います。自分にコンプレックスがあったり、劣等感があったりする人こそ、なにかを表現するのに適している、と。多くのアーティストと出会いますが、みんなコンプレックスを持っています。俺も、満たされてないからこそ、それを埋めるために表現をするという方法で今も自分を保っているんです。

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