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TBS『週刊さんまとマツコ』の逆張りに期待

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ひとつは、司会が立川談志、前田武彦の『笑待席』。談志は古今亭志ん朝と並び称される落語界からテレビに忽然と現れた稀代の寵児。マエタケさんは放送作家出身、『夜のヒットスタジオ』(フジテレビ)、『巨泉×前武ゲバゲバ90分!』(日本テレビ)とテレビ史に名を残す、名番組の司会者。『笑待席』のセットの設えは寄席の高座で、センターマイクが立っていた。つまり漫才風に2人のトークが行われるのだが、時事ネタを縦横無尽に喋り倒していた。

1968年(昭和43年)の番組だったから、筆者はまだ中学生だったが、食い入るように見ていた。ツッコミとかボケとかの概念を凌駕し縦横無尽にしゃべる様子はすべての漫才師を超えていた。ゲストが来ることもあったと記憶するが、ふたり以外の要素が加わるとつまらなくなるので私は見るのをやめていた。番組自体は半年で打ち切られた。談志、志ん朝は、若くして亡くなったが、生きていれば志ん朝は、人間国宝になり、談志は人間国宝を蹴飛ばしていただろう。マエタケさんは、選挙で共産党候補を応援し「勝ったら当日の夜ヒットでバンザイをします」と約束したため、軽く手をあげたが、それがもとで、すべての番組を干されることになった。フジテレビである。その後何年も経って、私は『びっくり日本新記録』に一芸能人選手として出場したマエタケさんの取材をすることになったが、悔しくて涙が出た。

もうひとつは、『笑っていいとも!』(フジテレビ)の金曜レギュラーコーナー「タモリ・さんまの日本一のサイテー男」と名付けられたふたりの雑談コーナーである。『いいとも!』で、唯一絶対見たいと待ち構えていたコーナーでもある。ずーっと見ていて、印象に残っているのはこのただの雑談に視聴者からの葉書が投入された時のことである。とたんに雑談がつまらなくなった。さんまさんのトークには、情報や企画は基本的にいらない。『曜日対抗いいとも!選手権』のゲームコーナーでさんまさんに『真面目にやってください』と言ったディレクターがいた逸話を思い出す。さんまさんはダウンタウンの松本人志に電話をして「どうやったら『いいとも!』辞められるねん?」と聞いたという逸話も残る。

上記2つのコーナーに共通することは、「最高峰のトークには企画はいらない」ということだ。企画はむしろトークの邪魔をする。

筆者も早くこの事に気づいていれば、さんまさんの番組でたくさんの失敗をせずに済んだかもしれない。さんまさんはプロデューサーより、演出家(ディレクター)と仕事をするタイプだと思う、より現場に近いのが好きなのだ。それに、自分のためではなく、お気に入りのスタッフや演者のために仕事をする。私は、それらのいくつかの番組でホンを書いたが、中居正広と組んだときも、村上ショージと組んだときも、中村玉緒さんと組んだときも、関根勤さんと組んだときも、誕生日を祝ったときも、その他、数多くのディレクターと組んだ番組のときも失敗を重ねた。ほっておけず、企画を入れ込もうとしたからだと今なら思える。あやまってももう遅いか。

マツコのことにも触れておこう。『5時に夢中!』(TOKYO MX)のマツコ・デラックスを教えてくれたのは『朝ズバ!』の女性リポーターだった。実力を知らない筆者は島崎和歌子をお目付け役に置くことを提案して情報番組『ピンポン!』(TBS)を始めた。和歌子はすごく頑張ってくれたけれど、マツコをひとりで野放しにする勇気を持てなかったのは「逆張り」の精神がたりなかったからである。もっと実力のあるディレクターを起用すべきだった。この時、NHKを辞めたばかりでレギュラーメンテーターだった池上彰さんをMCにという提案ができなかったのも「逆張り」の欠如だろう。

長い回り道をして、で、『週刊さんまとマツコ』である。波平に扮したさんまさんと、サザエさんに扮したマツコ・デラックスはスタジオトークでどんな「逆張り」トークを見せてくれるのか。見逃せない。

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