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サッカーで「欧州スーパーリーグ」創設、英強豪含む12クラブが合意 FIFAなどは反対

サッカーの欧州12クラブが新たに「欧州スーパーリーグ」(ESL)を創設することで合意した。参加クラブが18日発表した。

ESLは、既存の欧州チャンピオンズリーグに対抗するもの。

イングランド・プレミアリーグからはアーセナル、チェルシー、リヴァプール、マンチェスター・シティー、マンチェスター・ユナイテッド、トットナムの6クラブが参加する。

他に参加するのは、イタリア1部リーグのACミラン、インテル・ミラノ、ユヴェントスと、スペイン1部リーグのアトレティコ・マドリード、バルセロナ、レアル・マドリード。

ESLは、創設12クラブがそれぞれの国のリーグで試合を続けながら、ESLとして新たに平日に対戦することで合意したと説明した。

また、最初のシーズンは「できるだけ早期に開幕させたい」とし、「さらに3クラブが参加する見込みだ」と述べた。

さらに、男子リーグがスタートした後、可能な限り早く女子リーグも創設する計画だとした。

サッカー団体がこぞって反対

ESL創設のニュースが18日に報じられると、イギリスのボリス・ジョンソン首相と欧州サッカー連盟(UEFA)、イングランド・プレミアリーグは、そろってこの動きを非難した。

国際サッカー連盟(FIFA)はこれまで、ESLのようなリーグは認めないとし、関わった選手はワールドカップ(W杯)で出場禁止となる可能性があるとしている。

ESL創設が発表されると、FIFAは改めて「不支持」を表明。「熱い議論に関与している全員が、サッカーのために冷静で建設的で均衡ある対話をする」ことを求めた。

UEFAは18日、FIFAの方針を強調。ESLに出場する選手は、各国や欧州での試合や、国際大会などへの出場が禁止されるとし、各国の代表メンバーになることを禁じられる可能性もあるとした。

ESLは声明で、「創設クラブは前進するとともに、新リーグとサッカー界全体に最高の結果を生み出せるよう、UEFAやFIFAと協力関係について協議できることを心待ちにしている」とした。

なぜいま?

ESLの創設案は昨年10月に持ち上がった。チャンピオンズリーグ(CL)に替わる46億ポンド(約6910億円)規模の新リーグ構想として、米金融大手JPモルガンが関わった。

UEFAは36チームからなるCLの改革計画を打ち出しており、19日に承認される予定だった。この改革により、ESLの創設は食い止められると考えていた。

しかし、ESL参加12クラブは改革案について、不十分だと判断。新型コロナウイルスの世界規模の大流行によって「欧州サッカーの経済モデルの存続がいっそう脅かされている」とした上で、「(UEFAの)解決案は、より上質の試合を提供し、サッカー界の財源を拡充させる必要があるといった、根本的な問題を解決するものではない」と表明した。

新リーグの概要

ESLは20チームで構成する。創設12クラブと、近く参加が見込まれているという3クラブ(具体名は明らかにされていない)、各国での成績によって年ごとに参加が認められる5クラブが対戦する。

現在の案では、毎年8月にシーズンが開幕し、平日に試合を開く。10クラブずつ2グループに分かれ、各クラブがホームとアウェーで対戦する。

両グループの上位3クラブが、準々決勝に進出する。グループ4位と5位はホーム&アウェー方式のプレーオフで、準々決勝の残り2枠を争う。

準々決勝からは、CLで採用されているのと同じホーム&アウェー方式の勝ち抜き戦になる。決勝は5月に、中立的な場所で1試合だけ開催する。

ESLは、CLより多くの収入が得られ、各クラブなどへの配分も増えると主張している。

参加クラブの意見

ESL初代会長となるレアル・マドリードのフロレンティーノ・ペレス会長は、「私たちはすべてのレベルでサッカーを支援する」と述べた。

「サッカーは40億人以上のファンがいる唯一の世界的スポーツであり、私たちのような大規模クラブには、そうしたファンの求めに応じる責任がある」

ユヴェントスのアンドレア・アニェッリ会長は、UEFA理事と、CLの改革を推進していた欧州クラブ協会(ECA)の会長を辞任した。

アニェッリ会長は、12クラブが「この危機的な時期に団結したことで、欧州の試合の変革が可能になり、サッカーを長期的に存続させられるようになった」と話した。

ESLの副会長に就任するマンチェスター・ユナイテッドのジョエル・グレイザー共同会長は、「世界の偉大なクラブと選手が団結し、シーズンを通して対戦するスーパーリーグは、欧州サッカーの新たな時代を開く。世界最高レベルの試合と施設、サッカー界全体への経済支援の増加が確かなものになる」と述べた。

ESLへの反応

基本的に、新リーグの関係者以外は非難の声を上げている。

ジョンソン英首相は、ESLの計画は「サッカーに大きなダメージ」を及ぼすと批判。フランスのエマニュエル・マクロン大統領も、国内クラブによるESLへの参加拒否を歓迎した。

UEFAはイングランド・フットボール協会、プレミアリーグ、スペイン・サッカー連盟、ラ・リーガ、イタリア・サッカー連盟、セリエAと共同声明を発表。「団結を保ち」、分離の動きを「あらゆる方法」を使って止めると宣言した。

ECAも新リーグに「強く反対する」と表明。イギリスのフットボール・サポーターズ協会は、ESLの計画について「シニカルな強欲だけが動機だ」と述べた。

元選手やファンらも

元選手からも批判が出ている。

リヴァプールとトットナムのミッドフィルダーだったダニー・マーフィー氏は、今回の計画について「魂がないように思える」とBBCスポーツに話した。マンチェスター・ユナイテッドでキャプテンを務めたギャリー・ネヴィル氏は、「まったく不快だ」とスカイ・スポーツの取材に答えた。

同じくマンチェスター・ユナイテッドでプレーしたリオ・ファーディナンド氏は、ESLの案で最も傷つくのはファンだと、BTスポーツに語った。

また、ESLに参加を表明しているイングランドの6クラブのファン組織はすべて、反対を表明している。これまでに、「憤慨している」、「ファンを無視して金銭欲を追求している」、「許せない」、「究極の裏切りだ」などの声が上がっている。

BBCスポーツのサイモン・ストーン記者は、ESLには不明確な点があまりに多いと指摘。UEFAや各国のリーグ、サッカー協会の強い反対を押し切って実現できるのか? 創設12クラブ以外の参加チームはどこなのか? などの疑問点を挙げた。

その上で、批判的意見が大勢となっている中で、参加クラブは困難なPR合戦を闘うことになると解説した。

(英語記事 'Big six' agree to join 'Super League'

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