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テレビが伝えない“被差別部落問題”の真実

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撮影:濱田敦子
撮影:濱田敦子 写真一覧
ニコニコ生放送とBLOGOSがタッグを組んでお送りしている「ニコ生×BLOGOS」 第14回のテーマは「週刊朝日の橋下氏批判は何が問題だったのか?~現在の部落差別問題を考える~」

「週刊朝日」が橋下徹大阪市長の出自に関する連載記事を巡り、クローズアップされた被差別部落問題。ツイッターを使って大反論する橋下市長と攻め立てられる週刊朝日の攻防だけが多く報道され、肝心の差別問題はタブー視され、そもそもの根本である「同和問題」に関しては語られることがありませんでした。

そこで今回のニコ生×BLOGOSでは、メディアがタブーとしている「同和問題」について、改めて考えました。

【出演】
司会:大谷広太(BLOGOS編集長)
アナウンサー:佐々野宏美
コメンテーター:須田慎一郎(ジャーナリスト)
ゲスト:宮崎学(作家)

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「週刊朝日問題」は、差別が残っている証明である


佐々野:被差別部落問題の知識に関しては、地域によっても差があるようでして、大谷編集長は学生時代にこういった問題についての授業があったそうですね?

大谷:小学生の時に授業がありまして、「結婚や就職で差別を受けました。こういうのはよくないですよね」っていう作文を書いたぐらいの記憶があります。ただその後、実社会の中で、そういった問題に直に触れることはなかったですし、習わなければ知らなくてよかったんじゃないかと今までは思っていたんですね。

ただ、今回こういった問題が起きて“あの問題か!”という風に思い出しましたし、どこまで知識として知っておくことが必要なのかと。また、これからはツイッターとか、インターネットを通じて、多くの人が発信しますから、基礎知識として、もう一度何が問題なのか?どういうことなのか?というのは知っておく必要があるのではないかと思っています。

須田:地域格差という点では、今回の出演者で東京出身者は私だけなんですが、東京では同和教育というのをやっていない。あるいは同和に関する資料も配られない。私は昭和36年生まれですけど、私が住んでいた地域では、きちんと同和地区というのが存続していた。

関東地区に、同和地区がないわけではないんだけれども、そういった教育はほとんど行われていなかった。その辺では東西の差があるのかなと。だから、知っているとか知らないというのも意識の差がでてくるんじゃないかなと思いますね。

佐々野:地域によっての教育の差というのも、今現在表れているのかなという感じもするんですが。そのため、被差別部落問題について、なんとなく知ってはいても、現在の社会の中で、どれだけ部落差別が残っているのかという部分については、ご存じない方も多いかと思います。

まず、宮崎さんに担当直入に伺いたいのが、今回の橋下さんを巻き込んでいる一連の騒動というのは、何が一番の問題点だったのか?

宮崎:非常にはっきりしているのは、週刊朝日が“連載をしましょう”と決めた。連載というのは、何十回か続けるから連載なんでね。それを1回掲載しただけで、「ごめんなさい」と謝って、社長から編集長まで一定の処分をすると。このことからもわかるように、週刊朝日側が大きなミスをしたと。これが「週刊朝日問題」の根本ですよね。ミスをしなければ謝ることもないし、みっともない連載と言って、1回で辞めることもないわけですよね。それが表面的に出ている一番大きな問題だろうと。

この「週刊朝日問題」が起こるという事自体が、僕はこの社会の中に、部落差別問題が存在しているという証明だと思うんですよ。つまり、この週刊朝日の記事を作った人も、新潮45とか文春とかも、週刊新潮が書いた橋下さんに関わる記事が、非常に部数を稼いだと。二番煎じ、三番煎じで、もっとえげつないことを書けば、雑誌がもっと売れるかもしれないというスケベ根性が丸出しなんですよ。

ところが、あまりにも丸出しでやりすぎたために、1回で連載が中止になったと。実態はそんなところだろうと思いますね。

佐々野:差別問題というのが、意識的にまだみんなの中に潜在的にあるからこそ、大きくなったということですか?

宮崎:差別問題を使えば、“本が売れるかもしれない”という、作り手の卑しい考えが見え隠れするんじゃないですかということですね。

大谷:もし、それで売れたとすると、知らないながら買う側にも、(橋下さんの)出自などそういうところが気になるという意識がなくはないということでもありますよね?

宮崎:橋下さんを取り扱えば、ある程度は売れる。しかし、おもしろいことに、橋下さんを褒めても、あまり部数は伸びないだろうと。叩いたほうが伸びるということがあるんですね。そういう出版に関わる傾向の中で、こういう選択肢が選ばれていったんだろうと思いますね。

橋下さんの変わり身の早さ


須田:内容の問題点に入る前に話を整理しておきたいんですが。先ほど、宮崎さんが言われたように、これまで「週刊朝日」の連載が始まるまで、「新潮45」「週刊新潮」「週刊文春」が似たような記事を書いてきた。今回の「週刊朝日」は、はっきり言って二番煎じ、三番煎じ。私もその通りだと思います。

ただ今回、週刊朝日がなぜ全面降伏になったのかというと、朝日新聞グループを巻き込んじゃった。橋下さんが朝日を人質にとってしまって、当初は「大阪朝日放送、朝日新聞の取材には一言も答えない」というようなことを言ってしまった。これに朝日新聞が慌てて、「これはなんとか決着をつけなければ。選挙も近づいているのに大変なことになるぞ」というので、謝罪に動いた。これがもし「週刊朝日」でなかったならば、スルーされていたんじゃないかという指摘もあるんですけど、これはどういう風にお考えですか?

宮崎:実際にいえば「週刊朝日」の母体に当たる「朝日新聞」に攻撃の矢を向けたと。そういう方法の問題というのは、後で話しあわれることであって、週刊朝日が11月30日号で検証記事を書いているわけですけども。やっぱりミスがあったというわけですよね。

それから見ると、橋下さんの対応がよかったとか、朝日新聞をターゲットにしたのが良かったとかっていうのは、方法の問題であって。元をたどれば、大手新聞社系の週刊誌なんて、全部あるわけですよ。だから、それらが名誉毀損とか色んな事件を起こすんだけども、この種の問題が起こらないのは、色々な問題を起こしたとしても、今回、「週刊朝日」が起こした問題の質が非常に悪かったと。

須田:それ以前の問題だと?

宮崎:そうです。あと橋下さんの対応の中で、評価できるのは、彼がツイッターでものすごい反撃をしていたこと。その中身は、彼自身が大阪府や市の行政の中で否定していたことを、理屈として逆に持ちだしてきて、それを論拠にして、朝日を攻撃していたと。この変わり身の早さに負けたというのが実情なんじゃないかなと僕は思いますね。

須田:私も宮崎さんの意見に大賛成であって。(今回の「週刊朝日」の問題は)あまりにもレベルが低すぎると。じゃあ、具体的にどこが問題だったのか。中身の検証に入っていくべきではないのかなと。週刊朝日は、謝罪と見解というのを発表し、処分をして、これで幕引きになってしまったような。

結論を先に言うようでイヤなんだけども、これではなんの問題解決にもなっていないと私は思うんですよね。きちんともう1回検証して、なにが問題であって、これからどうすべきなのかというのを検証していかなければ、部落差別問題に真正面で対峙していないことになるじゃないかと思いますけどね。

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