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ブルーライトカット眼鏡への意見書を出した学会に聞く「結局使うべきではないのか」

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日本眼科学会など眼科の専門医などによる6団体は14日、「小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見」を発表し、ブルーライトカット眼鏡の使用について注意喚起した。

ブルーライトカット眼鏡の効果に「エビデンス乏しい」

市場においては、デジタル端末の使用による睡眠障害や眼精疲労などを予防する効果が謳われている。

声明では、睡眠障害について一定の効果が見込まれる可能性はあるものの、「その他の点はエビデンスに乏しく、いくつかの問題点」があると警鐘を鳴らした。

小児のブルーライトカット眼鏡利用については、十分な太陽光を浴びないことで近視進行のリスクが高まる可能性を指摘し、「利用はブルーライトが目に入ること自体よりも有害である可能性は否定できない」としている。

この内容に、SNS上では「意味ないのか」「買おうと思っていたけどやめた」といった反応や、実際のユーザーからは「自分は効果がある気がする」という声明の内容を疑問視する声も上がっている。

意見書に名前を連ねる日本眼科医会の加藤圭一広報担当常任理事に、ブルーライトカット眼鏡は使うべきではないのかと詳しい話を聞いた。

「子どもは使う必要がない」

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――表題に「小児の」とある通り、声明では冒頭から子どものブルーライトカット眼鏡装用を科学的観点から危惧しています。子どもは使うべきではないのでしょうか。

「べきではない」ではなく、子どもは「使う必要がない」という趣旨です。使ったからといってただちに悪影響があるとは考えられませんが、近視が進む可能性もなくはありません。「あえて使う必要がない」ということを伝えたいと声明を発表しました。

――大人の使用についてはいかがですか。

何を目的としているかによります。

例えば、眼精疲労の軽減効果については、米国で最も権威のある米国眼科アカデミーが効果を否定するなど実証されていません。

パソコン使用で目が疲れている方がブルーライトカット眼鏡での症状改善を期待して使っても効果はなく、購入目的とずれた結果になってしまいます。

また、睡眠障害改善について声明では「一定の効果が見込まれる可能性がある」としているものの、日本眼科医会としては効果は少ないと考えています。

ただし、ブルーライトカット眼鏡を装着することで「見え方が良くなる」と感じる人はいます。そういった感覚的な動機での使用や購入を止める趣旨ではありません。

「眼精疲労軽減に有用」という論文も存在するのはなぜか

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――ブルーライトカット眼鏡を扱う眼鏡ブランドの中には、専門家団体による認証を明示しているところもあります。団体のサイトでは、今回の声明で否定した眼精疲労の予防や眼球への障害予防に関する論文や報告も示されているようです。相反するとも思える論文があることは、どのように考えればいいでしょうか。

そういう論文があることは事実ですが、世の中のコンセンサスを得るほどに確固たるものではないと考えています。数多ある論文の中には「そうであろう」というレベルのものもあり、その中から複数の意見を経て認められたものが確固たる信憑性のある論文となります。

声明の最後に、米国眼科アカデミーが2021年3月5日付で公開したQ&Aを紹介しています。米国の眼科界の権威が集まった学術的な集団である同アカデミーの見解は、論文のレベルを超えた総括的な知見です。

その中の回答に、「ブルーライトが目に悪いという科学的根拠はありません」「(子どもには)ブルーライトカット眼鏡を推奨しません」などと明記されています。

――最後に、今回の声明で、販売者やユーザーにどのようなメッセージを伝えたいですか。

まずは正しい情報をメーカーや販売する側、ユーザーに知ってもらいたいということです。現状では科学的見地で明らかになっている情報と、一般の方のブルーライトカット眼鏡に関する認識の間に開きがあります。

販売してはいけないとか、使ってはいけないということではなくて、正しい情報を知ったうえで判断してほしいと考えています。

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