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世界中が注目する日米首脳会談 菅首相は「中国の脅威」にどう対応するのか〜田原総一朗インタビュー

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日本の菅首相とアメリカのバイデン大統領の首脳会談が4月17日未明(日本時間)に開催される。バイデン大統領にとって、対面では初めての外国首相との対談ということもあり、世界中の注目が集まる。菅首相にとっても重要な外交イベントだが、何がポイントとなるのか。田原総一朗さんに聞いた。【田野幸伸 亀松太郎】

もし中国が台湾に侵攻したら、日本はどう対応?

今回の日米首脳会談の焦点は、なんといっても中国への対応だ。米中対立が激しくなる中で、アメリカは同盟国である日本に相当期待しているとみられる。何を期待するのか。一言でいえば、太平洋の安全保障だ。

現在、対中国問題ということでは、2つの懸案がある。1つは、ウイグル問題である。

中国政府が新疆ウイグル自治区のウイグル民族を弾圧しているとして、国際的に強く非難されている。特にアメリカは厳しい姿勢をとっており、ブリンケン国務長官が「ウイグル族に対してジェノサイドが行われている」と公式に表明した。

そして、同盟国に対しても、中国政府の行為をジェノサイドと認め、制裁を課すことを求めた。イギリスやカナダ、EUは同調して、中国への制裁に加わった。しかし、日本は今のところ、あいまいな態度をとっている。

今回の首脳会談で、バイデン大統領は菅首相に対して、中国への制裁を求めると思われる。

菅首相はどう応じるか。おそらく、「日本の目的はアメリカと全く同じだが、中国へのアプローチは少し異なる。日本にとって中国は隣国であり、経済的にも依存しあう関係なので、日本独自のアプローチを検討したい」と答えるのではないか。

もう1つ、大きなテーマが台湾問題だ。

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アメリカでは、インド太平洋軍のデービッドソン司令官が3月の米上院軍事委員会の公聴会で、「6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性がある」と証言した。中国が台湾に武力行使するのではないかという危機感が高まっている。

もし中国が台湾に武力行使したら、アメリカは台湾を守るために中国と戦う可能性が高い。その場合、日本はどう対応するのか。

日本は、安倍内閣時代に安保法を改正し、集団的自衛権を認めることにした。もし中国が台湾に武力行使して、米国が参戦することになったら、日本も集団的自衛権を行使して戦う用意がある。菅首相はそういう姿勢を示すのではないか。

ただし、日本としては、そういう事態を招かないために、中国にどんな働きかけをすることができるのか。それこそが重要であり、日本が果たすべき役割だといえる。

その点について、菅首相は「ASEAN・インド・オーストラリアとの関係を強化することで、太平洋の安全保障を維持する」と表明するだろう。

その場合、ASEAN・インド・オーストラリアとの「関係強化」というのが、どこまでの内容を含むのかが問題だ。安全保障、つまり軍事協力まで行くのかどうか。このあたりは微妙な問題なので、今回は具体的なレベルまで踏み込まないのではないかとみている。

日米首脳会談が成功すれば、衆院選への弾みがつく

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対中国問題以外では、地球環境問題も議題にのぼるだろう。CO2をいかに減らすかということがテーマになる。

この点について、菅首相はおそらく「2030年までに、CO2を半分近くまで減らす」と表明するのではないか。菅首相は昨年のG20で「2050年までにC02の排出量を実質ゼロにする」と宣言しているが、その途中の2030年の目標を示すことで、バイデン大統領の理解を得ようとするだろう。

菅首相にとって、今回のバイデン大統領との会談は、今年予定される衆議院総選挙の布石として、非常に重要な意味を持つ。

もし日米首脳会談を成功させることができれば、内閣支持率も上がる可能性が高い。そうなれば、菅首相も「衆院選を自らの手で行って勝利できる」と自信を持つことができるだろう。

現在の菅内閣は、コロナ対応がうまくできていないとして、支持と不支持が拮抗する状態にある。この状態を打開できるかどうかは、今回の日米首脳会談にかかっている。

ただ、バイデン大統領との会談が成功しても、すぐに衆議院解散とはならないだろう。コロナの感染者数がまた拡大していて、特に大阪で感染者数が急増しているためだ。

僕が4月9日に菅首相と会ったとき、彼は「コロナが一段落するまで、解散はありえない」と言っていた。菅首相の本音としては、できれば東京オリンピック前に衆院選を実施したいと考えているようだが、現在の状況では選挙を実施するのは難しい。

今後、コロナワクチンの接種が進んで、感染者数が落ち着きを見せるようになれば、オリンピック前の解散・総選挙ということもありえるだろう。

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