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前年割れが予想される夏季ボーナスはどれくらい消費に影響するか?

先週から今週にかけて、例年のシンクタンク3社から2021年夏季ボーナスの予想が出そろいました。どうも、みずほ総研とみずほ情報総研が合併して、みずほリサーチ&テクノロジーズになって、ボーナス予想から撤退したようです。

いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると以下のテーブルの通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、公務員のボーナスは制度的な要因で決まりますので、景気に敏感な民間ボーナスに関するものが中心です。

可能な範囲で、消費との関係を中心に取り上げています。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、あるいは、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブでリポートが読めるかもしれません。

なお、「公務員」区分について、日本総研と三菱リサーチ&コンサルティングでは国家公務員の組合員ベースの予想、と聞き及んでおります。

機関名民間企業
(伸び率)
国家公務員
(伸び率)
ヘッドライン
日本総研37.1万円
(▲3.2%)
66.5万円
(▲2.2%)
新型コロナの賞与への影響は、既に顕在化。昨年の賞与は、大企業において一人当たり賞与額の削減、小企業において支給の見送り(支給対象人数の削減)を主因に減少。業種別では、飲食サービス、生活関連サービス、運輸・郵便(旅客輸送)が大幅な落ち込みに。
こうした傾向は今夏も続き、賞与支給総額は、同▲4.1%の減少となる見込み。一人当たり支給額に加え、支給対象者数の減少も続く見込み。新型コロナの感染拡大前に2020年度の支給額が決まっていた大企業では、今夏から新型コロナの影響が本格化。
第一生命経済研(▲3.6%)n.a.20年については、雇用者報酬が悪化するなかでも、特別定額給付金の支給によって所得が増加した世帯が多く、雇用や賃金の減少が消費の制約にはなっていなかった。だが、給付金の支給がない21年については、賃金の減少が可処分所得の悪化に直結する。今後はこうした所得の悪化が景気回復の頭を押さえる材料としてクローズアップされてくるだろう。新型コロナウイルスの感染者数が再び増加に転じていることもあり、個人消費の先行きについては慎重に見ておく必要がある。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング37.5万円
(▲2.3%)
66.1万円
(▲2.8%)
一人当たり支給額の減少の大きさに加え、支給事業所割合も大幅に低下したことから、冬のボーナスの支給総額1(一人当たり支給額×支給労働者数)は16.1兆円(前年比-5.5%)と、東日本大震災の影響が残る2012年以来8年ぶりに前年を下回った。もっとも、特別定額給付金支給や株高の影響もあって家計金融資産は20年末時点で過去最高を記録しており、予算制約が個人消費の回復を制限する懸念は小さいだろう。

いずれにせよ、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックの中で、ワクチン接種が遅れて第4波の感染拡大が始まっているわけですから、夏季ボーナスが増加するとはとても思えません。毎月の定額のお給料もそうですが、ボーナスは特に強く景気に相関するからです。

しかも、1人当りの支給額が減少するのに加えて、支給対象労働者数も減少しますから、その積で求められる支給総額はダブルパンチで減少を示すこととなります。支給総額について、日本総研では前年比▲4.1%減、三菱UFJリサーチ&コンサルティングでは▲4.8%減、第一生命経済研ではビミョーに表現が異なっていて「ボーナスの支給がない労働者も含めた平均」として▲5.0%減を見込んでいます。マクロの消費の要因となるのはコチラの支給総額であり、こういった支給総額の減少が消費に及ぼす影響についてはシンクタンクの間でも見方が分かれています。

すなわち、日本総研では特に言及ありませんが、第一生命経済研では「個人消費の先行きについては慎重に見ておく必要」としている一方で、三菱UFJリサーチ&コンサルティングでは「特別定額給付金支給や株高の影響もあって家計金融資産は20年末時点で過去最高を記録しており、予算制約が個人消費の回復を制限する懸念は小さい」と指摘しています。支給総額の減少幅については両機関でそれほど大きな違いは見られませんので、純粋に分析の結果に依存する、ということになります。

私自身の感触としては、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの分析結果のように金融資産の取崩しによる流動性制約の解決というよりは、従来から、我が国家計の消費は恒常所得仮説がある程度成り立っており、その意味で、ボーナスという臨時収入よりも所定内賃金とかの恒常的な所得により強く反応し、この程度のボーナスの落ち込みに対する消費のダメージは決して大きくない、と見込んでいます。ただ、こういったボーナス減も繰り返して長期化すればダメージは決して無視できず、我が国家計に対する再度の特定給付金支給、あるいは、時限的であっても消費税率の引下げないし廃止などの実質所得をサポートする政策が必要と考えています。

下は夏季賞与の支給総額のグラフを日本総研のリポートから引用しています。

[画像をブログで見る]

誠についでながら、NHKのサイトにある世界のワクチン接種回数 (100人あたり)のグラフを引用すると以下の通りです。このブログの3月23日付けで取り上げたのと同じ Our World in Data の Coronavirus (COVID-19) Vaccinations のサイトのデータを参照しているようです。

第一生命経済研のリポート「ワクチン接種率で決まる世界経済」では、我が国のワクチン接種率は英米の1/40にしか過ぎず、「ワクチン接種率が圧倒的に遅いとなると、日本経済の回復が諸外国に比べて大幅的に遅れることが必然」であると、タイトル通りの主張がなされています。従って、ワクチン接種後は国や地域によりK字型の回復になると指摘しています。英米はK字型の上の方、日本は下の方、なんでしょうね。ボーナスは減るし、景気回復は大きく遅れそうだし、原発処理水は海洋放出するし、で、結局、総選挙の結果で国民の意志を示すしかないのでしょうか?

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