- 2021年06月01日 09:04
「映画 賭ケグルイ2」キラキラ青春映画とは対極の作品で引き出す“芝居好き”若手俳優たちの力
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同名の漫画作品を原作として2018年にテレビドラマシリーズがスタートした『賭ケグルイ』。2019年にはドラマのSeason2、さらに映画化が実現した。劇場版第2作目となる『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』は緊急事態宣言にともなう2度の延期を経て、2021年6月1日に満を持して公開される。
同作品は、ギャンブルの強さだけで学内のヒエラルキーが決まるという独特な世界観の学園を舞台にしたストーリーで、主演の浜辺美波をはじめ、高杉真宙、森川葵など若手人気キャストがハイテンションな演技を披露して話題を呼び、ファンを増やしてきた。今作は豪華キャストが再び集結し、さらに物語の中心となる悪役にジャニーズWESTの藤井流星が抜擢されている。

公開を前にプロデューサーを務める松下剛氏に話を聞き、同氏が作品について過去に語ってきた「オーバーアクト」「キラキラ青春映画に対するアンチテーゼ」というフレーズをキーワードに、今作の楽しみ方を教えてもらった。【取材:川島透】
よくある学園モノに見えてまったく違う映画にしたかった

――松下さんは、映画1作目公開時のインタビューで、「オーバーアクト」(※大げさな演技のこと)を作品のポイントに挙げていらっしゃいました。初めから狙っていた演出だったのでしょうか。
『賭ケグルイ』はドラマの企画を立ち上げた当初から、映画化を大きな目標として作品を制作していました。当時は“キラキラ青春映画”がブームで、そういう作品を否定するわけではありませんが、流行っているだけにいつか廃れるだろうと。それなら、同じようなルックに見えてまったく違ったタイプの“アンチテーゼ”になるような作品にしたいと考えたんです。
――他とは違う学園モノ、というコンセプトが先にあったんですね。
若い世代の芝居好きな俳優たちがみんな同じような環境で同じような学園モノをやってしまっている中で、せっかくなら芝居の力をピークまで発揮できる作品にしたくて、『賭ケグルイ』を選びました。
俳優さんはどんな演技ができるのかを問われ、お互いに切磋琢磨できるような、そういう場を提供したいなと。
――若い俳優さんたちに力試しをさせるような狙いがあったんですね。
だから、芝居が面白そうな人しかキャスティングしていません。知名度や、SNSのフォロワー数ではなくて、芝居がすごく好きそうで、もっとやりたいことのありそうな人たちを集めています。
そういう過程でオーバーアクティング自体が作品の面白さの根幹になり、売りにもなったのではないかと分析しています。
同じオーバーアクトでも「半沢直樹はすごい」

――確かにオーバーアクトというと、昨年放送されて話題になった『半沢直樹』でも、錚々たる役者陣の激しい芝居が「演技力合戦」などと評されて、演技力として評価されていました。一方で、上手くいかなければ視聴者が引いてしまうようなリスクもあるように思えます。不安はなかったのでしょうか。
最初は、映像化したときに成立するのかという不安はありました。しかしその点は、英勉監督がトンデモ学校という世界観を演出でセットアップしてくれたことでクリアできました。例えば突然カーテンが閉まって真っ暗になって、テーブルの周りだけライトアップされるというような照明の演出も効果的に使われます。
そういう意味では、『半沢直樹』は本当にすごいと思います。普通の職場という世界観で成立させているから。
――若い役者さんたちの演技はどのように引き出されていったんですか。
英監督がひとりひとりの演技にリアクションをしてくれるんです。面白かったら誰よりも笑ってくれる。皆がそれに乗って、「これ、どうですか!」とプレゼンするように演じて、相手もそれに反応する。そうやってアドリブが繰り広げられていきました。
自由でいい雰囲気の現場なのが作品から伝わるようで、出演者の皆さんは他の現場で「私も出たい」なんて言われるそうなんですよ。でも、別の現場で同じことをやろうとしてもなかなかできないような現場だと思います。
作品の軸となる最凶の悪役にジャニーズWEST・藤井流星を抜擢

――今回の作品の大きな目玉のひとつに、ジャニーズWESTの藤井流星さんの抜擢があると思います。原作にはないオリジナルキャラクターということですが、藤井さんの起用とこのキャラクターはどちらが先に決まったのでしょうか。
これはキャラクターが先です。原作の進行具合を鑑み、1作目に続いて今回もオリジナルストーリーでいくことにしました。そういった背景の中、この視鬼神真玄(しきがみまくろ)というキャラクターは2作目のコンセプトとともに考えられたキャラクターです。
まず1作目を観たお客さんから「学内の構造とゲームのルールが難しい」という感想が見られた反省から、より内容をシンプルにしたいと考えていました。さらに映画のパート2というと、『ダークナイト』のジョーカーや『スター・トレック イントゥダークネス』のカーンのように、できあがった世界観を壊しにくるキャラクターが出てくるのが定番です。
そういうわけで、今までこの作品にいなくて、とんでもなく強いキャラクターに対峙するという大筋の構図がまず決まりました。
――藤井さん起用の決め手は何だったんですか。
キャラクターのイメージを先に膨らませてみたものの「そんな人実際にはいないね(笑)」と難航しかけていたのですが、そんな中でふと、以前会っていた藤井さんの顔が浮かんだんです。彼は、さわやかで中性的な今っぽい魅力というよりも、彫りが深くて眼力も強くて身体はガッチリしていて、声も太くて、古き良きかっこよさがある。彼なら普遍性のある強さが出せるのではないかと思ってオファーしました。
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