記事

今日もコロナのデマをラインで…家族が誤情報を信じてしまう「3つの心理」 - 松村 むつみ

1/2

新型コロナウイルスの流行にともない、真偽の不確かな医学情報が飛び交った結果、トイレットペーパーの買い占めや、納豆がスーパーの棚からなくなるなどのことが起こった。

【写真】この記事の写真を見る(4枚)

そして、今も、ワクチンにかかわる真偽不明な情報がネットを中心に飛び交っている。ビル・ゲイツがマイクロチップを埋め込もうとしている、mRNAワクチンによってDNAが書き換えられる、など、枚挙にいとまがない。 

どうして人は、真偽の不確かな情報を信じてしまうのだろうか? 特別にだまされやすい人がいるのだろうか? 性格の問題だろうか? それとも、単純に知識がないからだろうか? 

わたしは、昨年末、『自身を守り家族を守る医療リテラシー読本』(翔泳社)という書籍を上梓したが、その中で、「特別な人だけが誤情報を信じるわけではない」と書いた。誤情報にはもともと、信じやすくなるような心理的なしかけがある。占いを信じてしまう人の心理とも似ており、いい人、悪い人は関係なく、だれもが誤情報を信じることはあり得る。 

では、そういった誤情報と距離をとり、適切に見分け、対処していくにはどうしたらいいのか。特に、命に関わる情報に関しては、適切に判断したいものだが、そういったときにこそ、「医療リテラシー」が重要になる。 

「リテラシー」とは、文字通りには「読み書きをする力」という意味だが、「医療リテラシー」とは、「医療情報および医療システムに関して、適切に理解し、活用していく力」とのこと。以下、誤情報を信じやすくなる理由や、見分け方、適切な行動するためのアドバイスを、拙著から抜粋する。 

誤情報を信じてしまう、3つの「仕掛け」

誤情報を信じてしまうのは、どんな人なのでしょうか? 信じてしまうのは、何も特別な人ではありません。状況によっては、誰でも信じてしまうことがあるでしょう。

誤情報の多くには、信じたくなるような仕掛けが施されています。SNSなどで誤情報が増幅されてしまう仕組みもあります。誤情報をうっかり信じてしまったとしても、あなたのせいではありません。


©iStock.com

では、誤情報を信じさせてしまう「心理的な仕掛け」にはどんなものがあるのか、いくつかあげてみたいと思います。例えば、占いで誰もがあてはまる言葉をいわれているのに、それが自分に特にあてはまることがらだと思うことがあります。これをバーナム効果といいます。

「占いが当たった」ような気持ちになるのは、この心理効果によるものといわれています。ネットに病気の体験談などが載っていると、自分の症状にあてはまるように思えてしまったりするのも、この効果によるものでしょう。

第三者からの情報は信じられるように思えてしまうことを、ウィンザー効果といいます。これは、多くの人が口コミを信頼する心理のことで、マーケティングなどの研究では、口コミが消費行動に影響を与えることが示されています。

「26度のお湯でコロナウイルスが予防できるという情報を、武漢の研究所に勤務している知人を通じて教えられた」というTwitterで出回った情報も、第三者による口コミの形態をとっています。

あるものが持つ強い特徴により評価がゆがめられることを、ハロー効果といいます。ハロー効果のもっともわかりやすい例として、権威があげられます。誇大広告における「○○大学名誉教授推薦」や、「ノーベル賞の成分」などがこれにあたります。権威のある人の意見であれば、専門外のことがらであったとしても、もっともらしく聞こえてしまいます。

こういった心理的な落とし穴があるために、特に心に不安があるときは、わたしたちは誰でも誤情報を信じてしまう可能性があります。

一度誤情報を信じてしまったとしても、自分を責める必要はありません。むしろ、間違いに気づけたことを喜びましょう。

SNSで誤情報が増幅される「エコーチャンバー現象」に注意

現代では、SNSで情報を得る人が増えています。その際に気を付けなければならないのが、「エコーチャンバー現象」です。

第3章でも説明しますが、この現象は閉鎖空間内でのコミュニケーションが繰り返されることにより、特定の信念・意見などが増幅されてしまう現象のことをいいます。似た属性や意見の人に特化したコミュニケーションに偏りやすいSNSでは、大きな問題になります。

予防接種に反対する人は、実生活ではごく少数であるにしても、SNSでは周囲がすべてそのような意見に思えてくるため、「予防接種は危険だ」という考えが、あたかも「誰もがそう思っている」ように感じられてしまいます。

最近よく聞く「エビデンス」、本来の意味は

現代の医学の基礎には、一貫して「エビデンス」の考え方があります。「エビデンス」とは、医学においては「科学的根拠」というような意味で使用されますが、具体的には、研究の結果や症例の報告、多数の研究を集めて分析したものなど、多岐にわたります。論文として発表されているデータといえば、イメージしやすいでしょうか。

あわせて読みたい

「デマ」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    質疑から逃げた立民は論外だが、自民党も改憲やる気なし。不誠実な憲法審査会の結末

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

    05月07日 10:21

  2. 2

    病床ひっ迫で入院厳しく…「来た時点で肺が真っ白」 大阪の医師が警鐘「第3波以前とは全く別の病気という印象」

    ABEMA TIMES

    05月07日 08:12

  3. 3

    「首相も都知事もリアルな社会人の生活を理解してない」 "間引き運転"で露呈した政治家たちの「わかってない」感

    キャリコネニュース

    05月07日 09:14

  4. 4

    格差問題の必然性

    ヒロ

    05月07日 11:19

  5. 5

    原宿の竹下通りが「地方都市のシャッター商店街化」の衝撃

    内藤忍

    05月06日 16:17

  6. 6

    出口治明さんが語る「35年ローン」で家を買ってはいけない理由

    幻冬舎plus

    05月07日 09:04

  7. 7

    「日本を食い物にする」無責任IOCに批判殺到…世界からも続々

    女性自身

    05月07日 13:46

  8. 8

    今も裁判で「三女アーチャリー」として…松本麗華氏を25年間も縛り続けるオウム真理教

    松本麗華

    05月06日 15:25

  9. 9

    総選挙前に自民党総裁選? 安倍晋三元首相が再登板の可能性

    内田樹

    05月07日 14:46

  10. 10

    朝ごはんの器で1日が変わる コロナ禍で“食”を見つめ直すきっかけに

    羽柴観子

    05月07日 08:40

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。