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パッケージも中身も本物と同じものは激レア? 宇宙グッズの老舗に聞く宇宙食最前線 #世界宇宙飛行の日

「地球は青かった」

この言葉で有名なY・A・ガガーリンをのせた、ソ連の1人乗り衛星船「ボストーク1号」が打ち上げられた日にちなみ、4月12日は「#世界宇宙飛行の日」とされています。

史上初の宇宙飛行成功となった1961年から今年で60年。宇宙開発の技術は目まぐるしく発展し、宇宙飛行士たちの命をつなぐための「宇宙食」もまた進化してきました。JAXA(宇宙航空研究開発機構)公認グッズなどを日本で30年以上開発・販売してきた『宇宙の店』(株式会社 BCC)の立元忍店長にお話を伺いました。


30年以上、宇宙グッズを販売する「宇宙の店」

東京都港区浜松町にある世界貿易センタービルの中にある『宇宙の店』。訪れると宇宙服を着たマネキンや精巧なスペースシャトルなどの模型、そして宇宙食やJAXAのロゴが入ったTシャツなどの宇宙グッズがずらりと並んでいます。

デザインやイベントビジネスを手がける株式会社BCCが、1988年の青函トンネル開通記念博覧会でJAXAの前身である宇宙開発事業団(NASDA)のパビリオン運営を手がけたことが同店の始まり。

それから30年以上、実店舗やインターネット、全国各地の科学館や博物館などでの宇宙グッズ販売や、商品の企画・開発を行っています。

販売されている宇宙食は搭載品と全く同じではない?

宇宙飛行士たちが口にする「宇宙食」もまた同店が販売・企画する商品のひとつです。

立元店長によると現在、販売されている宇宙食の中には、

①中身は宇宙で食べられているものと同じだが、パッケージが異なるもの(JAXA認証)
②中身もパッケージも実際に宇宙に持って行くものと同じもの(JAXA認証)
③過去の宇宙食を再現したもの(JAXA認証なし)

といった違いがあるそうです。

宇宙生活のために栄養が強化されたスペースカレー

①は実際に宇宙飛行士が食べている宇宙食を一般販売用のパッケージで包装。中身はISSで滞在する日本人宇宙飛行士のために開発され、JAXAの認証を受けた「宇宙日本食」です。パッケージに入っている「宇宙日本食」「JAXA認証」の赤いマークが目印となります。

一度炊いたお米をフリーズドライしたアルファ米や、それを使ったシャケのおにぎり、焼き鳥やカレーといった様々なメニューが販売されています。

立元店長は「技術の進歩によって、宇宙食は私たちが普段食べるものとほとんど変わらない美味しさになっています」と話します。

しかし、宇宙ならではの工夫も。例えば、ハウス食品が開発した「スペースカレー」は、長期滞在による骨の減少などのリスクを抱える宇宙飛行士のために、カルシウムやビタミンD、大豆イソフラボンといった、宇宙生活に必要な栄養が強化されています。

カレーや焼き鳥など、今や宇宙での食事は地球で食べるものとメニューも味もほとんど変わらないそう

また宇宙食は長期保存に適するように、一般の食品よりも賞味期限が長いことが特徴。「宇宙日本食」の認証は得ていませんが、JAXAは株式会社ワンテーブルとともに「BSF=BOSAI SPACE FOOD(防災宇宙食)」という防災用の保存食として宇宙の技術を活用するプロジェクトを進めています。

パッケージも中身も搭載品と同じものが「激レア」の理由

発売されるのが珍しい中身もパッケージも搭載品と同じ宇宙食。「ちりめん山椒」は飛散防止のために固まった状態で入っていました

立山店長によると②の、パッケージも中身も搭載する宇宙食と全く同じものを販売するというパターンは、実はとても珍しいそうです。

宇宙食に使用されるパッケージには、長期保存や飛散防止をはじめとした様々な技術が詰め込まれています。そのため、商品化する際に単価が上がってしまうのがネック。一般発売されることが少ない理由のひとつとなっています。

現在、発売されているものとしては「ちりめん山椒」があります。①と異なり、認証マークの色は茶色で「ISS搭載同等品」と記載。①のタイプとして瓶詰めバージョンも販売されています。

認証マークも違います

立元店長は「パッケージも含めて宇宙食を楽しんでもらえるよう、これから販売する商品を増やしていきたい」と意気込んでいます。

フリーズドライの宇宙食は"再現" 過去の飛行に思いはせて

最後に③のJAXA認証の記載がないパターン。これは実際に過去のスペースシャトルで使用された「スペースブレッド 宇宙のパン」や、餅やたこ焼き、ケーキなど様々な食品のフリーズドライ商品で、宇宙食に今よりも軽さが求められた時代のものを再現しています。

立元店長は「時代によって宇宙食がどのように変化していったのか、食べ比べてみるのも面白いと思います」とコメントします。

宇宙食の他にも、昨年12月に帰還を果たした小惑星探査機「はやぶさ2」の関連商品をはじめとした、幅広い宇宙グッズを手がける『宇宙の店』。

世界宇宙飛行の日に際して、立元店長は「宇宙という分野はまだまだニッチ。グッズや宇宙食を通して、1人でも多くの人に興味を持ってもらい、未来の宇宙飛行士誕生につなげることができれば」と力を込めます。

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