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「コーポレートガバナンス改革」は誰のためにやってきたのか?

≪間違ったコーポレートガバナンス改革で、日本は人材も国際競争力も失った≫

アベノミクスの結果、国民は貧乏になってしまっており、
それについてしっかり認めない限り、好転のための有効な施策を打てないということを先日指摘しました。

「アベノミクスの結果について正直に説明を」2021年2月10日

この中で、国民の賃金が上がらない原因の一つとして私が上げたのが、
間違った「コーポレートガバナンス改革」です。

「グローバル競争に勝ち抜くためには、グローバルスタンダードを取り入れたコーポレートガバナンス改革を進めることが重要だ」と言っている政治家はたくさんいますし、
スガ総理の国会での演説でも、コーポレートガバナンス改革は、成長戦略の柱の一つとして掲げられています。

コーポレートガバナンス改革とは、日本の企業を統治する上でのルールを変えるということです。
カタカナなので、何だか最新で格好いい制度にするべきだと言っているような感じがしますが、
日本で、この路線でのコーポレートガバナンス改革が本格的に始まったのは、1990年代後半です。
それによって、どういう現象が起きているのか、
このグラフが端的に表しています。

この四半世紀で、残念ながら、日本企業の売上はあまり増えていないのですが、
経常利益は3倍に増えました。
それはなぜかというと、短期で利益を出して、株主に配当するためです。
配当は6倍にも増えました。
では、売上が増えないのに、なぜ利益を3倍にできたのかというと、人件費と会社の将来のための投資を削減してきたからです。

結果、人は使い捨てにされ、社会に「人材」はいなくなりました。
会社の将来のための投資も抑制してきたため、産業競争力は著しく低下しました。

スガ政権は、デジタルやグリーンの分野で世界をリードして、経済を成長させると言っていますが、
例えば、半導体の生産は、30年前は、日本が世界シェア5割だったのに、今は1割。
次世代通信規格5Gは、先進国の中でも大きく後れを取っているだけでなく、日本の周りの東アジア諸国の中でも遅れており、政府を電子化すると言っても、日本の技術力では対応できなく、クラウドを受注したのはアマゾン。
成長著しい太陽光パネルの生産も十数年で世界シェア4割から1%以下に。
蓄電池の分野でも日本企業の地位は大きく下がっています。

事態を確実に好転させるために、今、やらないといけないのは、
各企業の売上が、人を育てたり、将来のための投資にまわっていくような経済の実現です。
国がやらねばならないのは、そのためのルール作りです。

≪海外の投機家のためのコーポレートガバナンス改革こそ、経済が好転しない元凶≫

しかし、2年前に行われた会社法の改正でも、
投資家の力を更に強めるようなルール改正が行われました。

法改正の国会審議にあたり、「そもそも『会社』は誰のためにあると思っているのか?」という私の質問に対し、当時の森雅子法務大臣が「会社は株主のためにある」とはっきり答えたのに、私はぎょっとしました。

ちなみに、日本企業の「株主」とは、 株式市場で株を頻繁に買ったり売ったりしているのは、外国人投資家(投機家)です。

コーポレートガバナンス改革の火付け役であるアメリカは、1980年代から、株主のための制度変更を始めました。
そして日本も外国人投資家などの要求から、それにならってきたわけです。

しかしアメリカでも、今は行き過ぎていて、経済全体をおかしくしかねないと気付き始め、このコロナの直前には、はっきりと方針転換を打ち出しました。
まず、日本の経団連にあたるビジネスラウンドテーブルが、2019年に、株主第一主義を見直すと宣言しました。
2020年のダボス会議の主要テーマにもなりました。

それなのに、わが国は、株主の力を更に強める周回遅れの制度を、
この新年度からスタートしています。

世界がとっくにそのデメリットに気付き、見直し始めている時代遅れの制度なのに、政治家がカタカナを連発して、「どうです?格好いいでしょう?」という感じで取り入れいている。非常に格好悪く、迷惑な状況です。

今、やらなければならないのは、行き過ぎた株主還元の制限です。ヨーロッパでは既にそういった観点から、様々な施策が行われています。

国民のためにもならない時代遅れの政策をなぜわざわざやるのか。それは、これを推進している政治家達が、自分達の言っている内容が分かっていないのか、もしくは、国民の代表のフリをした、外国の投資家の代弁者だということなのでしょう。

≪会社は「公器」は、わが国の常識だった≫

会社は株主のものだけでなく、従業員や、お客さんや、地域社会のためにも存在しているという、
わが国にとっては江戸時代から言われていた当たり前のことが、世界で議論され始めています。世界経済の進むべき道を、既に我々は知っていることを、為政者達は再認識するべきです。

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