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「サラリーマンは自営業者よりローリスク」という時代はもう終焉した

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世界中で雇用のあり方が激変しつつある。世界各国で働いてきた著述家の谷本真由美氏は「非正規雇用が増えているのは日本だけではない。OECD加盟国では、1990年代半ばから2000年代後半にかけて非正規雇用の割合が11%から16%に増加している。多くの人がサラリーマンとして働ける時代は終わりつつある」という——。

※本稿は、谷本真由美『日本人が知らない世界標準の働き方』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

ロープでスイングビジネスマン※写真はイメージです - 写真=iStock.com/DNY59

「会社」とは、リスクを回避するための「仕組み」でしかない

現在一般的になっている株式会社というのは、そもそもイギリスで大航海時代に、貿易のリスクを回避するためにできた仕組みでした。

当時の船は木製で、航海技術も未発達だったので、航海中に船が沈没したり、海賊に襲われることが少なくありませんでした。レトルトパウチの保存食も、缶詰すらない時代で、水夫は腐った水と、蛆(うじ)虫の湧いたカンパンをかじりながら航海するという、大変ギャンブル性の高いものでした。

沈んでしまう可能性の高い船一隻に出資するのは大変なので、出資者は、複数の人と集まって、航海の費用を出し合うようになります。複数が集まれば、より多くの資金が集まるので、船を補強することも可能ですし、水夫の壊血病を防ぐために果物を積み込むことが可能になります。

また、船が沈んだ際のダメージも小さくなります。つまり、会社というのは、そもそも自分一人の力や資力では達成することが不可能な仕事を可能にしたり、リスクを回避したりするための「仕組み」だったのです。

コネも資金もない若い人でも、巨額の富を得られる

この基本的な仕組みは、株式会社だけではなく、有限会社や合同会社でも同じです。近代になり、船は工場やオフィスに置き換わり、航海のお金を出す商人たちは共同出資者や株主になり、水夫たちはオフィスの同僚や上司になりました。

しかしこれから働く場所が関係なくなれば、わざわざ複数の人と集まって、オフィスで働いたり、自ら工場やオフィスワーカーを抱える理由がなくなります。かつてに比べて、安価に、そして、簡単な方法で、仮想空間で、限られた期間だけ会社のような形態を作って仕事をすることが可能になったからです。

その象徴のような例がイギリスにあります。ジャック・ケイターは、ノフォークで16歳の高校生だった頃、コンピューターで遊ぶのが趣味でしたが、学校内のネットワークから、自分の好きなウェブサイトにアクセスできないことを不便に感じ、ある日の午後、自宅のリビングで、ノートブックコンピューターを使って「Hide My Ass!」というVPNサービスを立ち上げます。

VPNとは、一般に開放されているインターネット上で、自分専用のネットワークを作って使用するサービスのことです。

「Hide My Ass!」は、その便利さから、ネット掲示板などで徐々に話題になり、ケイターはサービスを拡大します。その際に、仕事をしてくれる人は、すべてUpwork.comなどのフリーランサーを雇うサイトから募集しています。

システムアーキテクトはウクライナのウクライナ人で、その他の協力者もセルビアなど世界各地に散らばっていました。フリーランサーは時間単位で雇用し、一度も会うこともなくサービスを拡大していったのです。

事業を本格的に拡大することになって、ロンドンにオフィスを構え、一度も会ったことがなかった人々をオフィスに呼び寄せました。2014年にはサービスを約48億円で売却しています(出典:The Guardian「HideMyAss! Your secret’s safe with Jack」)。

この事例が示すように、今や、アイディアさえあれば、世界中に散らばっている人と仕事をすることで、コネも資金もない若い人でも、巨額の富を得ることができるのです。

グローバル通信ネットワーク※写真はイメージです - 写真=iStock.com/metamorworks

世界中から時間単位で働く人を探すことが可能

一方で、ケイターが採用したフリーランサーたちは、ウクライナやセルビアなどの新興国に住んでおり、地元のイギリス人ではないことにも注目すべきです。イギリスにも同じスキルを持ったサラリーマンやフリーランサーはいますが、適切なスキルを、妥当な報酬で提供する人が、物理的な距離を超えて雇われてしまったのです。

設備も資金もコネもない高校生ですら、世界に散らばる専門家を時間単位で雇い、管理し、成果物を確認し、事業を展開することができるということは、これが、資金もコネも人材もある企業の場合は、より大きな規模で可能になる、ということです。

つまり、物理的な空間が関係ない仕事であれば、世界中から、時間単位で働いてくれる人を探すことが可能なのです。企業経営者から見た場合、正社員を抱えているよりも、必要な時に必要な技能や知識を持った人を、一時間いくらで雇うことができれば仕事は終わるので、わざわざ「カイシャ」という形態にする必要性がないということです。

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