- 2021年04月10日 09:52
【読書感想】日本の構造 50の統計データで読む国のかたち
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日本の構造 50の統計データで読む国のかたち (講談社現代新書)
作者:橘木 俊詔
発売日: 2021/03/17
メディア: 新書
Kindle版もあります。
日本の構造 50の統計データで読む国のかたち (講談社現代新書)
作者:橘木俊詔
発売日: 2021/03/17
メディア: Kindle版
50の項目で、日本の「いま」を総点検!
この不安な時代に必要な、すべての議論の土台となる一冊。Q 日本で10年以上同じ企業に勤続している人の割合は?
(『データブック国際労働比較』2019年)
A ア:75% イ:60% ウ:45%Q 日本よりも長時間働いている国は?(OECD調査、2019年)
A ア:イタリア イ:イギリス ウ:ドイツ・男女間、役職者と一般社員、正規と非正規、大卒と高卒……、賃金格差は?
・なぜ日本の開廃業率は他国の3分の1しかないのか?
・高年収家庭は低年収家庭の3倍、学校外教育費に支出
・60代後半の就業率、男性は50%超、女性は30%超
・社会保障給付、高齢者・遺族への給付が51・2%
・なぜ日本では必要な人の10~20%しか生活保護を申請しないのか?
・資産額5億円以上は8・7万世帯
・東京の地方税収入は長崎県の2・3倍
・学力調査トップは秋田県と北陸3県……数字からいまの日本が浮かび上がる!
イメージと現実の乖離、あるいは、古い時代の情報がいつまでもアップデートされないまま、というのは、よくあることですよね。
よく知られているものでは、「最近の世の中は怖い、若者の凶悪犯罪が増えてきている」と思っている人は多いけれども、統計的には、若者の犯罪は太平洋戦争後の混乱期をピークに、どんどん減ってきている、というのがあります。
若者の凶悪事件は、マスメディアで大きく、長時間にわたって採りあげられるため、印象に強く残りがちなのです。
この本、日本版『FACTFULNESS』という印象を受けました。
われわれの思い込みに対して、実際のデータで、「事実」を紹介し、議論の下敷きになる情報を共有するための本。
「世界全体」に関して書かれた『FACTFULNESS』を読むと、「人々は思っている以上に豊かになってきて、教育も充実してきているのだな」と、光明が見えた気分になるんですよ。
ところが、この『日本の構造』を読むと、日本の諸データは、悪い意味での「想定通り」のものがほとんどなのです。
例えばどのような項目が調査されているか。いくつかの例を記しておこう。企業と労働者の生産性、企業の開業率と廃業率、人々はどの産業で働いているのか、労働者は一企業に何年勤めるのか、定年制の実態はどうか、賃金や所得をどれだけ受け取っているか、女性の労働の実態はどのようなものか、日本人は幸福な生活を送っているか、そして何を生きがいにして生活しているのか、など多種多様な点がわかるように記述して、日本の企業と人々がどういう状況にいつかを知ることができるようにしている。
僕が若い頃、1990年くらいの日本はバブル景気に浮かれ、日本全体の地価で、アメリカ全土が買える、なんて言われていました。
その一方で、日本人は勤勉で、働きすぎだと諸外国から批判されている、という話もよく耳にしました。
日本人は、太平洋戦争後から1960年頃までの日本人は、敗戦による荒廃からの復興、少しでも豊かな生活をしたい、という欲求から、長時間労働を労働者の側も積極的にやっていたのです。当時は、年に2400時間を超す長時間、日本人は働いていました。
それが、経済成長や生活の安定とともに、1960年頃から減少傾向となり、1975年から90年くらいまでは横ばいでした。この期間は、日本にとっては安定成長期でした。
1990(平成2)年あたりから再び労働時間は減少した。それもかなりの減少率である。日本人は働き過ぎという外からの批判と、内からの反省が、労働時間減少を促進したと考えてよい。この頃から日本人が働く以外のことに関心を持ち出したこともある。
では日本人は本当に働き過ぎか検証してみよう。OECD(経済協力開発機構)が各国の労働者一人あたりの年間労働時間の統計(2019<令和元>年)に注目して公表しており、主要国を掲げてみる。韓国:1967(時間) アメリカ:1779 イタリア:1718 カナダ:1670 日本:1644 イギリス:1538 フランス:1505 スウェーデン:1452 デンマーク 1380 ドイツ:1386
韓国人やアメリカ人は日本人よりも長時間働いている。逆にドイツと北欧諸国の特に短い労働時間は特筆に値する。G7のなかでは日本は中位にあたる。働き過ぎでも遊び過ぎ(?)でもない。
労働時間にはいろいろな論点がある。もっとも重要な論点は、法定労働時間と呼ばれるもので、原則として1日に8時間、1週間に40時間を超えて働くのは禁止されている。この法定労働時間は戦後減少する傾向にあった。この法定労働時間を超えても、労使の合意があれば時間外労働(残業)をしてもよいが、1時間あたりの賃金を割増しせねばならない。日本は25%増であるが、ヨーロッパの50%増と比較すればまだ低い。
このデータをみると、「もはや、日本人は『働き過ぎ』ではない」みたいです。
では、働く時間が短くなった代わりに、「生産性」が上がったのか?



