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幸せを運ぶ飲食店の苦悩



飲食店は、仕事で疲れた身体の癒しの場になったり、献立を考える・作る・洗いものをする〜から解放されて家族そろってのコミュニケーションを取る機会になったり、久しぶりに会う人との大切な時間を作ったり、普段接する機会のない方とも大人数の会食の中で思わぬ共感を得る奇跡を起こしたり・・・まさに人々に幸せを運ぶ役割を担っている。

今、幸せを運ぶ飲食店が苦境に立たされている。

コロナ禍における、二度の緊急事態宣言。とりわけ、二度目の緊急事態宣言や今般のまん延防止等重点措置にあっては、飲食店を中心とした限定的な時短要請が求められたことから、飲食店の存在そのものが感染拡大の原因になっているかのような印象を持つ人も少なくない。

しかし、悪いのは飲食店なのだろうか。

本来、感染拡大防止に率先して心がけなければならない公務員の大人数での会食などの報道が顕著に表しているように、感染拡大防止を心がけて取り組む多くの飲食店がある一方で、「幸せの場」を奪われた人々の極一部が耐えきれずにパンドラの箱を開けてしまっているのが現実なのではないだろうか。

昨日、下記のような大阪の飲食店経営者からの声を間接的に頂戴した。

当店に予約の電話でのやり取りです。
「予約15人ですがお願い出来ますか?」
「8人なのですが個室で予約出来ますか?」
こう言う問い合わせが頻繁にあります。
当店ではソーシャルディスタンスを保つためにもお断りしていますが、断ることがほんとうに心苦しいのが本音です。

5名以上のご予約が他店ではまかり通ることもあるのかもしれないけど、店側からすると背に腹はかえられぬ状況下ご予約を受けることがあっても否定出来ないと思っております。
ご予約を受けてしまうと、こんな状況下全て飲食店が悪いと思われかねません。


最後には「飲食店を取り締まるのではなく、利用者のモラル向上に努めて頂きたい」と言葉を添えられていた。取り締まりとは、大阪府と市が大阪市内4万件の飲食店を回って、感染拡大防止に向けてのアクリル板の設置などの要請が守られているかどうか確認する「見回り隊」のことを意味している。ここで詳細は割愛するが、事実、この「見回り隊」のあり方については、様々な課題問題がある。

要請を守らない飲食店が一部あることは事実であろう。しかし、今まで経験したことのない予測不能のコロナ禍に対して、背に腹は代えられない状況の中で、それぞれの店舗が生き残る努力をしているのが現実だ。(そして、生き残る努力をし続けない苦渋の選択をされた飲食店もあることを忘れてはならない。)

法に基づく厳格な対応が必要であるという認識は持っているつもりだが、取り締まるための「見回り」ではなく、努力の仕方に困っている飲食店の悩みに応える「見回り」であって欲しい。そして、大阪の飲食店経営者の声から分かるように、本来届けたい幸せが届けられず、それでもお客様からの求めがあっても断らざるを得ないような、身を割かれるような思いをされている飲食店が数多くあることを行政側は深く受け止める必要がある。

昨年の緊急事態宣言から今に至るまで、我々は多くを学んできた。たくさんのアイデアが出てきた。
複数の事例を組み合わせて一つ提案をしておきたい。

例えば、「見回り」の結果として感染対策が十分にできている店舗については、現在の大阪府の感染防止ステッカーに加えての新しい認証を付与し、何かしらのプラス特典を行政施策として対応することも考えられる。大人数での予約など今断ざるを得ないお客様に対しては、一人2000円の長期予約券の購入を提案する。その長期予約券を購入することで、時短要請解除後に、改めて大人数での予約を受けて当該飲食店で会食をされた際には、お客様は先に払った2000円で4000円分の飲食ができるようにする。

大阪府は、(GoToEAT的に)一人2000円を店舗側に補助する。〇飲食店としては、予約券を購入してもらうことで先に収入を得ることができる。最終的に大阪府からの補助も受けられる。〇お客様側も、飲食という「幸せ」を先買いする形になるが、コロナ収束後に安く飲食することができる。〇大阪府にとっても、飲食店の感染拡大防止策のインセンティブになるし、利用者(お客様)のモラル向上PRを合わせて実行することができる。


もっとも、急を要する今現在の対応としては即効性が見込めないかもしれないが、三者にとってメリットを見出すことができる制度設計は工夫によって可能である。

今日は、とある西成区のお好み焼き屋に挨拶に行った。換気のためか、扉は開けたままにされていた。透明のカーテンが店のいたるところに設置されていた。店主さんは不在だったが、後程電話をくれた。「大変ですよね〜」と声をかけると、「大変ですけど、皆で頑張っていくしかないですわ〜」前向きな言葉に逆に元気を頂いた。

一人一人が、一店舗一店舗が、本当に苦悩の中で努力をされている。
まだ、厳しい環境がしばらく続くことが予想されるものの、なんとか、なんとか力を合わせて乗り越えていきたい。

再び、飲食店でたくさんの幸せを感じられる日が来ることを楽しみにして…。

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